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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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地獄管理局

「今日はいゆ達も一緒だね!同じ授業なんて無いからわくわくする!」

 

 今日は三学年合同で地獄を見学しに行く日だ。


「私もちょっと遠足みたいでわくわくしてる」


 こんな時、私はアムリとよく気が合う。そしてそんな時は両手でハイタッチをするお決まりになってきた。


「話でしか聞いた事ないけど地獄ってどんな所だろ?みんなは行った事あるの?」


 私の発言を聞いて、みんなは大笑いした。


「あるわけないじゃない」


「地獄に行った事あるかなんて、生きている人に死国に言った事あるか聞くのと一緒だよ」


 ホラールがそう言った後、すぐにチヒョンが「地獄は良い所じゃないよ」と乳白色のスープをスプーンですくいながら言った。


「地獄に行った事あるの?」


 もぐもぐしながらアムリが聞きく。その質問にみんなはチヒョンに注目し、みんなの視線にチヒョンは少し驚いている。


「いや。ここに来たばかりなのに何で行った事あるんだよ。想像しただけで良い所じゃないって分かるだろ?」


 やれやれとした顔を見せ、首を左右に振り、チヒョンは再びスープをスプーンですくい口に運んだ。


「そうよね。地獄が良い所じゃないなんて誰でもわかるわよ。くだらない質問なんてしてないで早く食べなさいよ」


「スワンも気になってたじゃん」


 


「今日は三学年合同の見学学習です。机の上にあるこのイヤフォンを両耳につけてください」


 先生が手にしているイヤフォンは、一般的な形ではなく、スパイが使っていそうな一センチ程の薄い円形の形だった。もしかしたら、スワンもスパイの授業これ使っているのかも。


「地獄は死国と同じように色々な国の人がいます。今回、私達三学年が行くのは自殺した人が行くあまり厳しくない階級です。地獄の住人の中には静かな人や、凶暴な人、死国とは違い、危険な人物もいます。話しかけられても決して相手にしないように。では、出発します」


 私達は、関係者専用電車で死国管理局へ向かった。バスで死国管理局へ行った時よりも早く、約五分で到着した。


 死国管理局には正面の出入り口ではなく、こちらも関係者専用と書かれた扉から中に入った。


 中は部屋ではなく真っ赤な絨毯が敷かれている横幅が広い長い廊下だった。汚れが一つもない真っ白い壁と天井。そして一定間隔の幅で、真っ赤な扉がある。


 みんなが入って来たのを確認すると、先生は扉を閉め、一番前へ移動した。


「皆さん、遅れずについて来て下さい」


 真っ赤な扉にはそれぞれ不規則な番号が書かれている。先生が立ち止った扉には『四九八九』と書かれてた。


 その扉の中に入ると、また同じような廊下に出た。今度は黒の絨毯が敷かれている。汚れが一つもない真っ白い壁と天井。そして一定間隔の幅で、真っ黒な扉がある。


「ここは地獄管理局の本部内です。まずは地獄内を見学してここに戻り、本部内の見学をしてから自由行動に移ります」


 ぞろぞろと廊下を歩き、先生が突き当りの扉を開けると死国管理局で見た時と似た舞踏会のお屋敷のようなロビーが見えた。しかし、感覚的に言うと、地獄の方は埃やクモの巣の装飾がお似合いで(実際にはないが)、豪華な幽霊屋敷というだった。


 二階もある様だが階段は何処にも見当たらない。窓もあるが全てに格子がはめられており、監獄にいるような気分だった。


 そしてもう一つ死国管理局と違うのは、ロビーに人はかなり少なく、スーツの人や、制服っぽい格好の人しか見当たらない。みんな似たようなバッジを襟着けているのできっと地獄管理局の人に違いない。


 死国管理局の時とは違い、人が殆どいないおかげで誰にも邪魔されず、スムーズに出入り口の厳重な扉の前に着いた。扉を開ける前に先生が一度止まり、みんなの方を向いた。


「これから、地獄管理局の外に出ます。今まで嗅いだことのない臭いや、びっくりするようなものを見ます。学校でも話しましたが、稀に、極めて稀にですが、地獄の住人に話しかけられる事があります。そんな事があっても、必ず無視するように。決して話を聞いたり、興味本位で仲良くなってはいけません」


 先生が厳重な扉を開けると、異様な臭いが鼻を突いた。生臭さと嘔吐物の様な臭い。それらが混ざったなんとも言えない臭いだ。


「うわっ」


「くっさ」


「なんだこの臭い」


 口々にそう言いながらクラスメイト達が鼻と口を押さえるが、先生は平気そうに鼻も口も押えずに外に出た。


「建物の中に臭いが充満してしまうのでさっさと出て下さい。最後の人は扉を閉めて来て下さいね」


 クラスメイト達が嫌がりながら外に出る。


「凄い臭いだね」


「俺この臭いだけは本当に慣れないと思う」


 そう言いつつも、先生の様にみんなほどは嫌がっていないチヒョン。


「ここが地獄です。全学年が到着次第見学に入ります」


 地獄は、地下にあるのかと思う程薄暗く、全体的に赤みがかっている感じで、私が持っていた地獄のイメージそのものだった。元気そうな草木など一つもなく、岩だらけで、建物は私達の後ろに立っている地獄管理局のみだ。


 地面はべたべたしていて、地面から靴が離れる度にとバリバリと言う音が聞こえる。学校の靴が白じゃなくてよかった。


「うきゃー!くっさーい!」


 扉の開く音がした後に聞こえた聞き覚えのある声。


 この声って。


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