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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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カタツムリ便

 金曜日の朝。


 目が覚めて思いっきり両腕と両足をベッドから出して背伸びをする。それから、がばっと勢いよく布団をめくり、ベッドから出る。これが私のいつもの日課。これは生きている時も死んでからも変わらない。


 でも今はスワンと二人部屋だから、起こさないように静かにする。変わったのはそれだけ。


 朝の空気を部屋に入れようと、バルコニーの窓を開けた。鼻から深く息を吸って口から全身の空気が無くなるくらい沢山吐く。前にチヒョンと日本町と韓国町に行った時は夏の様に暑かったが、学校のあるこの辺りはいつも気候が丁度いい。


 バルコニーの柵に寄りかかり、昨日の事を思い出した。あの植木の前通るの気まずいな。目が無いから顔なんて見えてないか。あ、でも人間って呼ばれたから私の事見えてたかも。


「うわっ」


 昨日落ちた植木の辺りを見ようと外に体を向けると、何かが目の前を猛スピードで通った。


 何だろう。


 もう遠くに行っていて黒っぽい点にしかは見えない。


「おはようございます。日本の船仂いゆさんですか?」


 急にどこからか声が聞こえる。鳥さんかな?と、思い周りを見るが動物はいない。


「あ。私は下の方にいます」


 下と言われて、一瞬、あのゴキブリを思い出した。


 嘘でしょ。話しかけないって言ってたから違うゴキブリ?


 言われたとおりゆっくりと手すりの下の方を見ると、生国には絶対いないであろう、手のひらよりも大きいサイズのカタツムリがいた。一瞬、気持ち悪い!と思ったが、日本の郵便のマークが入った帽子と、綺麗な赤い色をした殻を背負っていたので、少しだけ可愛く見える。


「日本の船仂いゆさんですよね?」


「そうです」


「お手紙です」


 そういうと、カタツムリは殻に紐でくくり付けられている大きなカバンから器用に口を使って筒状の紙を引っ張りだした。


「ありがとうございます」


 カタツムリの口から筒を受け取った。


「それでは失礼します」


 カタツムリは長い目玉でお辞儀をすると、壁を伝って下に降りて行った。


 この世界で手紙なんて初めて。


 筒を止めていたどこかで見たことのあるマークのシールをはがし、紙を広げると、死国管理局日本支部と書いてあった。



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