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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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歪む影

「ふぅー・・」


 今日は久しぶりになかなか眠れない。スワンがまだ起きているなら話でもしようかなと思ったがぐっすりと眠っている。


 私は静かにベッドを出てバルコニーへ向かった。


 バルコニーへ出ると月明かりのせいで星は綺麗には見えないが、生国と変わらずきらきらと輝いていた。


 部屋の方を向いてベランダの低い柵に腰かけた。

実家のベランダで柵に上っているのを祖母に見つかると叱られるので、祖母の姿を見かけると急いで柵から降りてたのを思い出した。祖母は生まれ変わりを選んだのか、平均寿命まで生きられて死国で暮らしているのか分からないが、もし死国にいるなら会いたい。


 生国の家族は元気かな。友達は悲しんでくれたかな。


 月で出来た自分の影が歪んで見え始めた。


「みんなに会いたいな」


 目に溜まった涙が一粒流れた。


「泣いてるんですか?」


「えっ。ごめん」


 スワンを起こしてしまったと思い、涙を拭いて顔をあげるが、扉は閉まっているし扉の向こう側に側に彼女の姿はない。


 そういえば今聞こえた声はスワンの声ではない。


 嘘でしょ。初めて幽霊の声を聞いてしまった。蛇ににらまれた蛙のような気分。私も今は幽霊なんだろうけど昔から怖いモノは怖い。というか、話しかけられていると言う事は、相手には私の姿が見えていると言う事になる。なのに私には相手の姿は見えない。それがもっと怖い。


「どうしました?」


 またあの声だ。どうする?聞こえないふりをする?下手に返事をして憑りつかれるのも嫌だし。


 恐怖の中悩むが、例の幽霊はお構いなしに話かけてくる。


「もしかして、私が見えませんか?あなたの右手の近くにいるんですけど」


 右手?


 私は聞こえていないふりをした。顔を動かさない様に目だけを自分の右手の付近に動かすが、目が限界で痛いし見えない。気付かれない程度に顔をゆっくり動かした。人は居ないが細く長い二本の線が不規則に動いている。


髪の毛!と思ったが、何故二本だけ?それに風も無いのに髪の毛が動く訳ないし、この動き方に見覚えがある。


月明かりでよく見ようと体を動かし、その線の先をたどると見えたのは黒光りの塊。ゴキブリだった。


「うわあっ!」


 ビックリして声を出してしまい、手で口を押えようとするとそのままバランスを崩し、背中から真っ逆さまに落ちていく。


「きゃー!ごめんなさーい!」


 あの声がだんだんと遠くなっていく。


 このまま落ちたらきっと死んでしまう。どこにも捕まる事が出来ず、死ぬかもしれないと言う恐怖が私を襲う。しかし、人生二度目の死の恐怖のおかげで以前よりも冷静な自分がいた。


 バキっという音と痛みと共に、「痛っ!」という声が聞こえた。


「大丈夫?何してんの?」


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