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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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とげとげ

 スワン達と出会って一週間も経っていないが、ご飯はいつもの学食で、いつもの席に座る。連絡を取らなくても、みんなが当たり前に集まるこの席が好きだ。


 最近、五人それぞれのおすすめ母国料理を食べようという話になり、今日は私の番なので、日本式カレーを食べてもらおうと、日本料理のエリアに向かった。


「時間割はうまくできた?」


 横に並んで歩くスワンが尋ねる。


「うん。みんなはもう知っている話なんだけど、先生が授業で実習があれば、その分お金がもらえるって言ってたんだ。お金が入ったら、私もスマホを買うんだ」


「それなら、俺、土曜日に本屋に行こうと思ってたんだけど、みんなでデパートに行く?」


 後ろでホラールが言うと、アムリが嬉しそうにホラールを見た。


「行く!行く行く!みんなでお出かけなんて初めてだね。楽しみ」


 実習は来週から始まるので、私はまだお金が無い。


 アムリが喜んでいるので言いにくくもそう伝えると、学生証にはクレジットカードの機能が付いるので、それで支払えばいいとホラールが教えてくれた。

 因みにその支払いは次の月末に引き落とされるそうだ。

 

 そう言えばそんな話を聞いたかも。クレジットカード最高。 

 と、言うわけで、私達は土曜日に出かける事になった。


「デパートって、色んなものが売っていてわくわくするよね」


「そんな事言ったって、アムリはどうせ何も買わないじゃない。死国のお金は生国で使えないんだから使っちゃいなさいよ。何の為に貯金しているの?」


「なにかあった時の為にでしょ?」


「何かあった時っていつよ」


「そんなの分かるわけないじゃん。保険と同じなの。あれば安心なの」


「何かあったら俺達が助けるから、不要な心配はしなくても大丈夫だよ」


「そうよ。アムリは少し人に頼る事を覚えないとね」


「え…ありがとう。でも、僕は何かを買うよりも、みんなでお出かけする事が楽しいからそれでいい」


 良いな。三人の関係。やっぱり私みんなの事好き。


「良いね。三人の関係」


 同じ事を思っている事にビックリして、私は思わずチヒョンを見た。


「三人って私とアムリとホラールの事?」


「うん。いゆとは最近知り合って、三人は死国に来た時からの知り合いなんだろ?」


「なんでそんな事を知ってるの?まさかチヒョン。あなた、死国管理局の人間?」


 スワンがそう答えるとみんな静かになり、一斉にチヒョンを見た。

 チヒョンはキョトンとしてみんなの顔を見て少し笑ってから「三人の話はいゆに聞いたんだけど」と言って私を指さした。みんなの視線が私に移る。


「それに、いゆは俺と同じ学年だから最近死国に来たばかりだろうし」


「なーんだ。ビックリした。スワン変な事言わないでよ。もー」


「直接聞けって言ったのはあんたじゃない」


「俺、今みたいにスワンとは仲良くなれると思ってなかったな。最初スワンを日本人だと思って日本人ですか?って聞いたら違うわよ!って怒られて怖かったし」


 二人の言い争いが始まりそうだったが、ホラールが悲しい顔をしているのを見たスワンの眉毛が八の字になる。


「ごめんなさい。あの時の私はまだ死にたてで、トゲトゲしてたからしょうがなかったの」


「死にたてでトゲトゲって何?スワンは今もトゲトゲしているように見えるけど」


 チヒョンが言うとアムリが「ちっちっち」と人差し指を立てて左右に動かした。


「スワンはこれでも丸くなった方なんだよ。昔はどんなに遠くにいてもトゲが刺さるんじゃないかってくらい、トゲだらけでトゲトゲだったんだから」


「生国では、棘で自分を守らなきゃ生きていけなかったのよ。生きるって大変だったわよね。なのに、私達はまた生きる為に生まれるのね。私、もう人間辞めようかしら」


「何言っちゃってるの。人間にならないと、スワンの好きなお茶は飲めないんじゃん」


 しみじみと言うスワンにアムリが元気よく言った。


「そうね。私はこうやってお茶に振り回される人生なのね」


 


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