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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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夢比べ

 学食に行くと元気よくご飯を食べているアムリと、いつも通りのホラールとテーブルに突っ伏しているチヒョンがいた。


「おはよう」


 ホラールが私達に気付きあいさつをした。


「おはよう。どうしたの?」


 私はチヒョンの事を指差す。


「アムリの話を最後まで聞いたんだって。朝の四時過ぎまで」


 ホラールが笑っている。


「朝の四時?!」


「だって、チヒョンが聞きたいって言ったんだもん。仕方がなく聞かせてあげたの」


 アムリは満足げだ。


「私達は先に帰って正解だったでしょ?」


 笑って小声で言うスワンに、私は大きく頷いた。




 今朝は焼きたてのロールパンに、濃厚コーンスープとカフェラテを選んだ。普段朝はご飯を食べるのだが、焼きたての文字と匂いにつられてパンにしてしまった。


「今日、選択授業を選ばなきゃいけないんだけど、まだ何にするか決めてないんだ。興味がある事も何もないし」


 ロールパンを一口分ちぎって口に放り込んだ。少し甘くて美味しい。


「生国では何をしていたの?もし学生だったなら、学んでいた事を選択授業で選べばいいんじゃない?」


「生国では」


 ホラールの質問に、私は働いていなかったと答えるのが恥ずかしく、ちぎったロールパンの断面をじっと見た。しかし、答えを待つみんなの目線に耐え切れずに「ニートだった」と小さく答えた。


「何でニートになろうと思ったの?」


 小学生の様に元気に質問するアムリ。私はもっと恥ずかしくなる。


「なりたくて、なったんじゃないんだ。どうしてもしたい事が無くて、なんとなく就職活動をしてたんだけど、いつも不採用で。きっと、私がなんとなく面接を受けている事が相手にも伝わっていたんだと思う。元気がないから不採用ですって言われた事もあったな」


 いい思い出ではないけれど、就職活動を頑張っていた頃が懐かしい。


「元気がないからねぇ。私なら元気がありすぎる方が嫌だけど」


 スワンは片方の眉毛をあげてアムリを見た。


「夢で選ぶのは?ニートだったとしても夢くらいはあったでしょ?」


 ホラールの質問に私はまたロールパンの断面を見て考えた。私の夢は何だったかな。

 大学生の時はとりあえず就職する事。高校生の時はとりあえず有名になりたくて、中学生の時は・・・と言うか、全部夢じゃなくてただの願望だ。

 幼稚園生の時は夢があったような。思い出せない。


「僕、先に言ってもいい?」


 私が考えているとアムリが元気に手を上げた。


「生国にいた時はね、お金持ちになって、妹と一緒に、屋根と壁と窓と、それからトイレとシャワーがある家に住みたいっていう夢を持ってた!」


 指を一本一本折りながら「あ、ベッドも!」と言うアムリ。


 お金持ちではなかったけれど、自分にとっては当たり前だった暮らしを夢だと言うアムリの言葉に衝撃を受けた。

 けれど、ただ生きてきた私と比べて、一生懸命に生きてきたアムリの夢はかっこよく感じる。


 あ。私の夢思い出した。


「私は、アムリと比べたらカッコ悪い夢なんだけど、子どもの頃はケーキが好きで、なんとなくケーキ屋さんになりたいと思ってたよ。ついさっきまで忘れてて、今思い出したけど」


 もっと素敵な夢を持っておくんだったな。言葉にしてみると、自分のなんとなくの夢が改めて恥ずかしい。アハハと笑い、恥ずかしさを誤魔化す私をアムリは驚いた顔で見ている。





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