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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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 その日、私は夢を見た。

 

 夢の舞台は昼間の病室。そこは異様なほど静かでベッドが四台置かれている。使われいるのはその内の一台だけで、私はそのベッドの横に立っている。


 ベッドの上で横になっている人は、頭や体が包帯だらけで、点滴の管や線が繋がっている。包帯の巻かれていない顔の右頬には、大きなかさぶたが見えていた。この人、すごい大怪我をしたんだなと一目でわかる。

 

何気なくベッドに備え付けの名札を見て、私は驚いた。そこに書かれていたのは、私の名前だったからだ。もう一度顔を見るが、顔がはれているせいなのか、横になっている人は自分の顔には見えない。

 

 死ぬ前の私?


 しばらく自分に見えない自分を見ていると、病室の扉が開き、疲れた様子の母が入ってきた。


「はぁー…」

 

 母はため息をついて、ベッドにいる私の頭を撫でた。

 

 頭を撫でられるなんて、子どもの頃ぶりだ。 


 母は私の腕をさすりながらもう一度ため息をついた。実際に撫でられている感覚はないが、その光景を見ていると、鼻の奥がツンとして視界がぼやけてくる。 


 ん?


 母がさすっている右腕と同じ自分の右腕が掴まれている感じがする。そして私を呼ぶ声。


「いゆ。いゆ。起きて、いゆ」


 だんだんと視界が暗くなって行く。それと同時に、私を呼ぶ声が大きくなっていく。


「大丈夫?」


 目を開けると目の前にスワンの顔があった。


「珍しく起きるのが遅いと思ったら、涙を流してるんだもの。びっくりしちゃった」


 自分の目を触ってみると確かに涙でぬれていた。


「ホラール達には先に行くように連絡をしたから急がなくても大丈夫よ。怖い夢でも見たの?」


「怖い夢じゃなくて、自分が入院してた時の夢を見たの」


 私は制服に着替えながら、夢の話をした。


「死ぬ前の夢を見ただなんて不思議ね」


 この世界では生きていた頃の夢は見ないそうだ。


「見るのは死国での夢や、将来の夢だけなの。私も生国の夢は見た事がないわ」


 支度をして私達はみんなが待つ学食へ向かった。



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