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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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 私の家は高台にあり、コンビニへ向かう道路に出るには敷地内の坂を下って行かなければならない。


 坂の両脇には祖父母が趣味で植えた木や花が沢山あり、小さい頃は森のように感じていた。その坂の途中には池があり鯉も泳いでいる。


 昔、夏祭りで取ってきた金魚をよくその池に放していたが、ザリガニに食べられてしまったのかいつもだんだんと数が減り、いつの間にかいなくなっていた。


「うわっ」


 小さな虫が飛んできてスカートに止まった。緑が多い分、虫も多いのだ。


 こんな暑い日に、虫は何の為に飛んでるんだろう。日陰で休んでればいいのに。

 

 服についた虫を手で払っていると、蟻の行列が目に入った。


 今頃みんなもこの蟻達の様に働いているんだよな。就職どうしようなんて考えなくていいな。羨ましい。私って本当にダメ人間。誰の役に立っているわけでもないし、大学にまで行ったのに、就職もせずいまだに親にご飯を作ってもらって情けない…暑い。早く行って戻ってこよう。


 坂を下りきって道路に出ると、隣のおばさんが自分の家の庭の草むしりをしていた。


 おばさんは色々と口煩く、自慢話が絶え間なく出てくるしゴシップ大好き人間なので、余計な会話は極力避けたい。しかし、コンビニに行くには絶対にここを通らなければならないので、おばさんが私に気が付かないように忍者のように気配を消して歩く。


「あら、いゆちゃん。こんにちは」


 捕まってしまった。


「あっ。こんにちは。暑いですね」


 私は、まさに今存在に気付いたかの様に返事を返す。愛想が無いなんて煩く言われない様に、笑顔も忘れずに。


「そうね。おでかけ?」


「はい」


「どこに?」


「コンビニです。じゃ、行きますね」と、歩きながら答えると「何を買うの?」と呼び止められた。


 特にかうものは決めていないが「おにぎりです」と、適当に答える。


 このおばさんは、おにぎりの具は何が好きなの?等どうでもいい事を聞いてくるタイプではないのでこれで会話は続かないはず。


「今の子っておにぎりも握れないのね。うちの孫は握れるのに。それに、ワイドショーで見たけど急須の使い方も知らないらしいじゃない?今の子って。うちの孫は使えるけど」


 暑さのせいか、空腹のせいか、いつもなら笑って過ごせるのに今日はイライラする。


 おばさんってなんでいつもこんな風に人を馬鹿にする様な言い方してくるんだろう。この前だってそうだし、私が小学生の時だって。


 私の中で何かがポンっと破裂した。近所の目なんてもうどうでもいいや。『あの家の子どもは』なんて言われたって関係ない。

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