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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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気分のいい朝

 聞き覚えのある声に挨拶をされ、薄く目を開き、足からたどって顔を確認するとホラールが立っていた。

「おはよう。早く目が覚めたから外に出てみたの。ホラールは?」

私はホラールに気付かれない様に目やにが付いていないかさりげなく確認してから挨拶をした。

「俺は眠れないまま朝になっちゃって、なんとなく外に出てきただけ」

 ホラールは自然に私の隣に座った。しかも人ひとり分開けて、ではなく直ぐ横に。少し動くと体が触れ合う距離だ。目覚めの良い朝は久々だったが。こんなに気分の良い朝は初めてだ。そしてここは天国に違いない。ホラールはきっと天使だ。

「ここの花、咲いているところ見たかったな」

「朝だからね。朝方の花しか咲かないよ。でも、ここの花壇って、育てるのが難しい花も見る事が出来るし、花がない時は絶対にないから一年中カラフルなんだよ」

「へー、素敵」

 そう返事をした直後、自分が昨日と同じ服装だった事に気づいてしまった。これは恥ずかしい。しかし、ホラールは私が昨日着ていた服なんて覚えていないかもしれない。現に、私もホラールが昨日どんな服を着ていたかなんて覚えていない。幸いなのはコンビニに行く前に部屋着じゃなくて小奇麗な服に着替えていた事。生きていた時の私ナイス。

死んだ人はみんな白い服を着ているものだと思っていたが、全身白い服の人なんてどこにもいない。とにかく、服が昨日と同じだと気付かれないように話を続けなければ。

「一年中花があって色とりどりだなんて素敵だね!」

 さっきと同じような事を言ってしまった。

「うん、凄く綺麗だよ」と、ホラールもさっきと同じような返事をした。

少し沈黙の後、顔を出してきた太陽を薄目で見上げ「お腹空かない?」とお腹をさすりながら聞いてきた。それを聞いて、私もお腹がすいた気がして来た。

「うん。今何時なんだろ」

「もうあと十五分くらいで七時」

 ホラールが時間を映しているスマートフォンの画面を私に見せた。

「スワンはもう起きてるかな」

「いや、いつも遅くまで寝るタイプだからまだ寝てるよ」

「スワンが起きる前に戻ろうかな」

 ベンチから立ち上がると、ホラールに指先を握られ、指先から一気に体が熱くなる。

「少し散歩してから帰らない?」

 私の手を握ったまま沢山の木々がある森を指さした。

 枝と葉の隙間から漏れてくる太陽の光が、私達に降り注ぐ。その光に反射してホラールの髪の毛がキラキラと輝いており、思わずその姿を見ずにはいられなかった。ずっと見ていると、私の視線に気付いてホラールが微笑みかけた。きっと、心臓があったら今バクバクしていたに違いない。

「リラックスするよね」

「うん。気持ちよくて眠くなってきちゃった」

「さっきもベンチで寝てたのに?」

「さっきはうとうとしてたの」

 ホラールはあははと笑った。少しでもお上品に見えるように、私は控えめに欠伸をした。



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