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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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アムリのワケ

 アムリは生きていた時マンホールの中で暮らしていたそうだ。ホラールは銃で撃たれて、アムリはマンホールに住んでいたなんて、同じ日本に住んでいたとは思えない。

「まずね、僕には二歳下の妹が一人いて、それがとても可愛いの」

 アムリが胸の前で手を組んで幸せそうな顔をした。

「僕達はね、すごく貧乏な家に生まれたんだ。それでも、両親に愛されてたら幸せだったと思う。だけど、両親の心には僕達を愛する余裕がなかったみたい。だから僕達は施設に預けられちゃったの。でもね、その施設は最低最悪で、食べる物なんてほとんど無かったし、みんなちゃんとしたところでトイレをしないから、そこら中うんちやおしっこだらけだったの。僕はそこにいる事に我慢ができなくなって、妹を連れて夜中に施設を抜け出したんだ。11月の終わり頃でとても寒かった。知らない土地だったし、どこに行けばいいか分からなくて、眠っている妹をおんぶしながらとりあえず施設から離れなきゃって歩いてたの。そしたら、知らないおじいさんにはなしかけられたんだ。見た目は僕達と同じようにボロボロの服を着てて、ちょっと怖かったんだけど、この寒さから逃れられるならと思って、そのおじいさんに付いて行ったら、そこはマンホールだったの。マンホールの中はね、寒かったけれど外よりは暖かくて幸せだった。次の日から、食べ物はあの場所に行けば手に入るとか、あの場所に行くと危険だから近づいちゃダメとか色々教えてもらって僕達は新しい生活を始めたの。だけどね、しばらくして、僕達を助けてくれたおじいさんは亡くなっちゃったの。マンホールの中で知り合った人がおじいさんは老衰だって言ってた。本当のおじいさんみたいに優しかったからとても悲しかったんだ」

 そこまで話すと、アムリが大げさに「はあ」と、ため息をついた。

「おじいさんが亡くなってから何日か後にね、夜寝ていたら、何か物音が聞こえたの。起きてみたら知らない奴が二人いて、そいつらが僕を見た後に妹を見て笑ったんだ。そして妹を連れ去ろうとしたの。わけが分からなかったけど、僕は必死になって妹を連れて行かれないようにしたんだ。だけど僕の力じゃどうにもできなくて、蹴り飛ばされて殴られたりしたの。お兄ちゃんって大泣きしてる妹を連れて、そいつらは外に行っちゃったの」

 作り話の様なこの話は本当なんだろうか。日本でこんな事があったなんて考えられない。

 アムリは初めは辛そうに話していたが、途中からイキイキと話し始めている。反対にホラールとスワンはものすごく興味なさそうな顔でご飯をたべ、たまにそっちの方を見たり二人で他愛のない会話をしている。そんな二人を気にせず、アムリは話を続ける。

「僕は最後の力を振り絞って、そいつらを追いかけるために何とか外に出たんだ。冷たい空気が肌を突き刺すようにとても痛かった。でも、妹を助ける為ならそんなのどうでもよかったの。何とかそいつらに追いついて妹を返せ!って叫びながら走って行ったら、ちょうど警察官が来て助けてくれて、そいつらを銃でバンバンしたの。だけど、警察官に捕まったら僕達は施設に入れられちゃうと思って、妹を連れて必死に走ってマンホールに戻ったの。きっと、あいつら二人はそのまま死んで地獄に行ったと思う。あの時、僕達みたいにマンホールで暮らす親のいない子どもがいなくなる事が多かったんだけど、きっと全部あいつらの仕業だったと思うんだ」

 アムリの話を聞いて一つ疑問が浮かぶ。

「でも、その時逃げる事が出来たのに何でアムリはここにいるの?」

 そう質問をすると、スワンがいきなり私の肩を掴んで体を自分の方に向けた。

 



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