死んだワケ
「まずはホラールからどうぞ」とアムリ。
「俺達が死んだ原因なんて、いゆは興味ないよ。ねぇ?」
話すのが嫌なのか、ホラールは右の眉毛をあげて嫌そうな顔をして私に言った。しかし、アムリは私が答える隙も与えずバッと腕を伸ばした。
「あるある!いゆあるよね?だからホラール。さあ、お先にどうぞ」
アムリは椅子に深く座り直してから姿勢を正すと、ホラールに恭しく手を出して話をするように促した。
「俺はたまたま知り合いの店の手伝いをしてた時に銃で殺されただけ。平和な町だったから、強盗二人組が来た時は冗談だと思ってたんだ。銃も偽物に見えたし。だからコインチョコをあげたらお返しに弾を貰った。それが原因」
「怖くなかったの?」
「多分、うわーっとは思っただろうけど、その時の記憶や痛みは覚えてないんだ。多分即死だったんだと思う」
私は死ぬかもと思った時怖かったな。
「でも、店をたまたま手伝った日に強盗が来て死ぬなんて。それが俺の運命だったのかなって今は不思議な気分」
スワンは生きている時、金持ちの家のお嬢様だったそうだ。
「私は道を歩いている時、知らない男達に刺されて死んだの。私、不倫でできた子どもだったんだけど、きっとパパの元奥さんが私のママのせいで離婚することになったからそれでずっと殺すタイミングを狙っていたんだと思うの。ホラールとは違って意識がある程度あったから、今じゃ考えられないくらいの痛みだったわ」
二人にとっては今はもうなんてことない話なのか、他人事のように話をしている。二人が話を終えると「いゆは?」とアムリが聞に聞かれた。私はあの時の恐怖を思い出し、事細かく話すと「交通事故だったんだね。死国で一番多いよ」と言われた。
私にとっては人生初の交通事故だったのに、そんな一言で済まされるなんて。でも、二人の話を聞いてからだと確かにインパクトはない。どうせ死ぬならもっと派手に、偉い人を助けてとかそんな理由がよかった。なんて変な考えが浮かぶ。
「でも、おばさんに捕まらなければ事故には遭わなかったし、直ぐに救急車を呼んでくれたら助かったかもしれないのに。あのおばさんに私の運命を変えられた」
少しでも共感してもらいたくて、とりあえずむすっとして言うとホラールが小さく笑った。
「その近所の人って普通の人でしょ?神様じゃないんだから、他人の運命を変えるなんて出来ないよ」
「いゆはもともとそういう運命だったのよ」
「ねえねえ!いゆの話はもう終わりでしょ?次は僕ね!」
終わりとは言っていないのに、アムリはわざとらしく「んんっ」と喉を鳴らすと、静かに話を始めた。




