学食
学食の中に入ると、美味しい匂いが私を包み込んだ。大学の学食を思い出す。もう一あのチキンカツが食べたい。
大きな窓のおかげで全体的に明るく広い。天井には丸い窓か何個かある。六人ほど座れそうな各丸テーブルには、それぞれ手や箸、フォークとナイフを使っている色々な国の人がいる。
「いゆ。これを持って」
ホラールにトレーを渡された。
「今日は何を食べたい気分?」
「うーん・・・肉かな?」
「じゃあ、スワンについて行って。俺達はあっちに行くね」
「ええ。取ったらいつものテーブルにいくわね」
スワンと一緒に食べ物を選びに行った。沢山の料理が一つのお皿に一人分で盛られて並べられており、ざっと見ただけでは何種類あるのか分からない。知っている料理より見た事のない料理の方が沢山ある。
「いろんな国の人がいるから全世界の料理があるのよ。壁ごとに置いてある料理が決まっているの。そこのオレンジの壁の所はデザートとか飲み物。あっちの黄緑色は野菜、スープ類。そこの白い壁はパンやご飯の主食が置いておるの。肉を一切使ってない食べ物もあるわよ。食べたい料理を全部取ったらあそこのカウンターにいる人に学生証を渡すの。デポジットとして取った料理分のお金を取られるんだけど、食器を片づける時に、学生証を機械にかざするとその時に返金されるの。食器を片づける場所はそれぞれの壁の両端。特にこのお皿はこことかは決まってないわ。一人何皿とっても、何度お代わりしても大丈夫なんだけど、かなりの量を残すと、残した料理の金額はそのまま取られちゃうから欲張って沢山取らない方がいいわよ」
お腹すいてる時は何でも食べられると思って沢山取りすぎるから気を付けよう。
「今私達が並んでいるのは水色の壁。メインのおかずの所よ。ここが一番混むの」
ステーキを食べたいと思ったが種類がありすぎて迷う。私はスワンに進められたステーキを選び、ソースは和風を選んでテーブルに戻った。
「いゆはステーキにしたんだね。僕も昨日それ食べた!なんのソースを選んだの?」
「和風ソースだよ」
「僕和風ソースはしょっぱくて少し苦手だったな。チョコソースが意外と美味しかったよ」
チョコソースなんていかにも子どもが喜びそうな感じ。年下には見えるけど、アムリは何歳なんだろう。
「ねえ、みんなは今何歳なの?」
「俺達はみんな同じ年。今年三歳になるよ」
「三歳…」
私は、こんな冗談を言われた時、なんて返すのが正解か分からなく、どう返したら面白いのかと黙り込んで考えてしまう。冗談に乗るべきか、笑うべきか。私が黙っていると、スワンが「あぁ」と何かひらめいた声を出した。
「いゆは死国に来たばかりだから知らないのよね。死国では死んでこっちに来た日が零歳なの。つまり、死年月日が死国で言う誕生日よ」
死んだのに誕生日って、矛盾している。でも、死国に誕生だから間違ってはないのかも。
「死国では生国の年齢は使わないの。私達はこの世界に来て三年経つから三歳なのよ。いゆは今日この世界に来たから零歳。来年の今日が一歳よ」
スワンがステーキを一切れ口に入れると次はホラールが話始めた。
「死国ではね、髪の毛や爪は伸びるけど、ここより先の世界が無いから身長が伸びたり、老化もなくて見た目の変化はないんだよ。赤ちゃんだけは歩けるようになるまでは成長するんだけどね。それまでは死国の保育士さん達が育てるんだって。ちなみに生きてたら俺は今二十三歳」
「私は今年二十二歳よ」
「あ。私はスワンと同じ二十二歳だよ。アムリは?」
「僕は十八歳!」
アムリは小柄だし十二歳くらいだと思っていた。
「十八って事は十五歳で亡くなってしまったんだね」
「うん。ねぇ、いゆ。何で僕がここに来たか知りたい?」
アムリが誇らしげな顔をして目をキランとさせた。それを見たスワンとホラールはお互いに顔を見合わせて「でたわね」「でたな」と言った。




