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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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遺影と戒名


 家の玄関扉が開いたままになっている。という事は家に誰かがいるという事。車庫には母の車だけ停まっていた。


 事故に遭ってからやっと帰って来ることができた自分の家。


最後に会ったのが隣の家のおばさんだったのが唯一の心残りだった。きっとあのおばさんは、いい子だったのにね。若いうちになくなっちゃって。とか言ったんだろうな。おどかしに行きたい。


 ここは父の実家であり船仂家の本家の為、昔はお正月やお盆の度に人が沢山集まったそうだ。でも、私の覚えている限り、多くの人が一度に集まっていた記憶はない。


 一応、靴を脱いできちんとそろえてから家の中に入った。今までは気が付かなかった、所謂『その家のにおい』がした。まるで自分の家ではなく他人の家の様で変な気分。


「あ。そうだ」


 自分の遺影には何の写真が使われたのか、戒名は何なのかを見に仏間へと向かった。


 変な写真じゃないといいな。


「あれ?」


 仏間にあるのは昔から飾られている御先祖様の遺影のみで、私の写真はそこに無かった。


 お仏壇の中を覗き込み、位牌を見る。私は仏教に詳しくはないが、おじいちゃんが亡くなった時、死者には新しい名前が与えられるというのを知って、自分は何になるんだろうとずっと気になっていた。だが仏壇の中にも今まで見た事のある位牌しかない。日付を見ても私が死国に行った日に近い年月日の物もない。


 おかしい。そう言えば。新盆のはずなのに庭に盆が無い。なんでだろう。何だか嫌な予感がする。


 仏間を出ると、母が目の前を通った。いつか夢で見た姿に似てやせ細って見える。母を追いかけて行くと、車の鍵を持ち、家を出ようとしているようだ。


 新盆だから親戚が来た時の為に買い出しに行くのかな。父の車もなく、誰もいなくなりそうなので、母に付いて行く事にした。


 私も車に乗り込もうと車のドアハンドルを掴んだが、扉を開けてはけないという注意を思い出した。

 

 危ない危ない。だけど、通り抜け方を全く知らない。


 母が車のエンジンをかけた。おいて行かれてしまう。


 私は思いきって車に乗り込む様に足を突っ込むんだ。すると、すんなりと車の中に足が入り、そのまま乗る事が出来た。物体を通り抜ける瞬間は痛くもかゆくもないが、人とぶつかる時とは違い、巨大なゼリーの中に入って、動きが鈍くなる感覚があった。しかし一番不思議なのは、椅子には通り抜けずにきちんと座れる事だった。


 車はいつも行くスーパーとは違う道を走っている。私はこの道に身に覚えがあった。

 

 この道を通るということは・・・。


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