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ドローガ村へ出発。

「はい。それじゃ、お気をつけて。」

「ありがとうございます。」


 東の正門で外出の受付を済ませると、外に出た。


 いつもの外出時には、西の正門からマルさんが見送ってくれたけど、ドローガ村は東方面にある為、今日は初めて東の正門を利用した。


 門番さんも初めて会う人で、いつもと違った風景が、長旅初依頼のドキドキを増長させる。


「まな、こっちだ。」

「うん。」


 ドローガ村への道を進んで歩きだす。

 道はある程度舗装されていて、その通りに勧めば迷うことはないらしい。


 私はいつものバッグと別に新たなリュックを買った。多くの冒険者が使っているようなリュックだ。

 デスもマントを外して、丸めたテントと箱型の荷物を背負い、いつものバッグを肩にかけていた。


 デスも私も、収納バッグがあるけど、カモフラージュの為にあえて、多くの冒険者と同じように荷物を詰めている。


 もちろん重たいものや、ドローガ村への依頼品は収納バッグへ。

 戦闘になった時に困らない程度にしてある。


 私のリュックの脇には、回復薬などの瓶を収納できる仕様になっていたので、そこに何本か詰めた。


「ドローガ村までの間に出るとされている魔物は?」

「えっと、主にウルフ、アント、フロッグ、ラビット!」

「おしい。」

「えっ、あと何だっけ?」

「オオガラス。」

「あっ、そうだった……。」


 昨日出発する前に、魔物図鑑を読んで予習したのだ。

 例のお金で本を買う時に、デスと相談して決めた本。

 他にも欲しい本はあったけど、お金を貯めて順番に買うつもり。


 これから出るであろう魔物の対策も読んである。


 アントは出会いたくないなあ。

 巨大なアリなんて見たくない……。


「ウルフは相手したことあるけど、他のは初めてだよね。」

「ああ。」

「ドローガ村ってどんなところかなあ。」

「農作業が進んでいるってことぐらいしか聞かないな。」

「うん。今回の依頼品も農作業で使う魔石とかだから、すごく農業に力を入れているんだろうなって思った。」

「うむ。」


 緑と土肌が広がるエルデ平原は、基本的にあまり魔物は出ない。


 この辺りは身を隠すようなものもないし、ウルフが縄張りにしているためと、冒険者の姿が多いため、他の魔物はほどんど見ない。

 ただし、エルドラドから離れるほど危険度は高くなり、魔物の種類も増えていく。


「しばらくはウルフも出ないだろう。」

「うん。ありがとう。」


 時々休憩しながら、リベルさん特製の薬草茶で水分補給をして歩みを進めていく。

 依頼で数日出かけることを伝えたら作って持たせてくれたのだ。しかもレシピ付き。

 ありがとうリベルさん。


 そのうち、道は舗装されたままだけど周りの風景は、だんだんと未開拓のものに変わっていった。


 もう振り返ってもエルドラドは見えない。


 太陽がずいぶん上の方に登ってきていた。


「もうすぐお昼だね。」

「うむ。これから魔物も出るだろうから、その前に食べておくか。」

「そうだね。」


 周りに誰もいないことを確認して、舗装された道から少し離れる。

 そしてバッグから、スモールハウスを出した。

 出発前に、『結界の魔石(強)』と『隠密』をスモールハウスの中に設置しておいた。


 デスと中に入って扉を閉めれば、効果を発揮する。

 こんなに安全で快適な旅ってないよね。


 他の冒険者も結界石とかを使っているらしいけど、性能の良いものほどお店にはあまり置いてなくて、直接、作成依頼をして入手するものらしい。

 もちろん、お値段もその分跳ね上がる。


 カタログ様様です。

 こうして周りのことが分かってくると、私のもらったスキルはすごいのかもって思う。

 しかもこのカタログ、成長するみたいだし。


「まな、疲れていないか?」

「うん、まだ大丈夫よ。」

「依頼期限には余裕があるから、無理しなくて良いからな。」

「うん分かってる。ありがとう。」


 デスはお茶の用意を始め、吊るしてある茶葉をプチプチとちぎっていく。

 私は食事の支度を始め、ここが外の世界で、エルデ平原を超えている途中だという事を忘れそうな時間になった。


 デス特製のブレンドティー。

 作りおきをしておいた、豆と芋のきんぴら。

 お店で買った、ホロロ鳥って魔物のお肉にスパイスを擦り込んで蒸したものを少し。作り置きのソース付き。

 リベルさんに分けてもらった野菜と作り置きの出汁でスープ。デスのスープには蒸した鳥を割いたものも少し入れた。

 そして『ココ』のパン。


「うん、美味しい。」

 蒸したお肉、あっさりしていて美味しいっ。


「今まで、宿で見るような薫製肉しかないと思ってたから、生で売っているのを知った時は衝撃だった。」

「氷魔法で保存しようと思えばできるはずだしな。」

「そうなのよ。どうして思いつかなかったのかしら。」

「ふ。」


 今はいくつか買って、バッグにしまってある。

 ほんと、このバッグありがたい!


「デスのお茶美味しい。カフェ開けるよ。」

 フルーティな香りがすごく癒される……。


「ふ。気に入ったならよかった。」

 あっ。

 デスのキラースマイル出ました。

「……デスって、笑うと破壊的だね。」

「?」

「いつもクールな顔してるけど笑うと可愛いってどういう事。」

「……。」

 あ、眉間にシワが寄った。

 やば。怒られる。


「おいしーなー。」

 お茶をぐいぐい飲む。

「……ふん。」


「あ。」

「……。」

 馬車が二台、ガラガラと音を立てて通り過ぎていった。


「ほんとに気付かれないもんだねえ。」

「護衛の依頼だろうな。」


 冒険者風な人が馭者の隣に座っていたから。


「護衛の依頼はどのランクからだろう?」

「Bランクからと聞いている。」

「やっぱりランクは高いんだね。人の命を守りながらだしね。」

「うむ。」


 土魔法で壁を作って守りながら……。

 想像してみたけど、ちょっと怖いな。


「デスって勉強家だよね。」

「?」

「私が気になって呟いた事にいつも答えをくれるから。」

「ああ……記憶力がいいみたいだな。」

「いいな。うらやましい。」

「……勉強しろ。」

「うっ。」

「ふっ。」


 デスがくつりと笑う。


「そろそろ出るか?」

 デスの言葉に頷いて、お皿などを片付ける。


 スモールハウスをバッグにしまって出発すると、デスが武器を召喚した。


「魔物?」

「ああ。さっき馬車が通っただろう?」

 鎌を肩にかけて辺りを見回す。

「魔物を刺激したようだ。」

「分かった。」


 今すぐには襲ってこないみたいだけど、対処できるように私も心構えを変えた。


 歩道に戻って、ドローガ村へ向かう。


 本当だ。

 さっきより空気がピリッとしてるような気がする。


 私たちは歩みを少し早めながら、真っ直ぐに道を進んでいった。

読んでくださって、ありがとうございます。

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