盗賊が出ました。デス視点
ちょっと投稿時間が、予定より遅れました。
スモールハウスに着くと、自称リベルの婚約者が来ていた。
リベルは、友人として付き合ってるようだが、まながリベルの側で暮らすなんてずるいと言いながらしょっちゅう様子を見に来る。
ふん。面倒だな。
「あら、まなさん。」
「おはようございます、ナディアさん。リベルさんならお出かけですよ。」
「そんな事あなたに教えてもらわなくても知っていますわ。」
まなの言うこんもりヘアーを震わせながらキイキイ喚く。
やかましい女だ。
さっさと無視して家に入るところだが、まなはご丁寧に相手する。
「今日はあなたに話があって参りましたのよ。」
来てやったと言わんばかりに反り返る。
「うーん。今日は仕事があるので無理なんですけど、別の日なら。」
「まあ!」
気に入らなかったようだ。
「わざわざ訪ねてきた客をその様な言い方で追い返しますの。相手を侮辱することになりますのよ。」
「ふっ。」
あまりな言い分に冷笑が漏れる。
こらこら、デス、面倒になるからやめて。
まなが小さい声で囁く。
「前もって約束してくだされば、都合のいい日を相談できますよ。」
暗に、突然来るのもマナー違反だとチラつかせられたと受け取ったようで、プンプン怒って帰って行った。
ガラガラと馬車が遠ざかるのを眺める。
「何だったんでしょうね。約束を取り付けもしないで帰っちゃった。」
うーん。少しくらいは話聞いてあげても良かったかな。
でも多分、話長くなるよね? と呟いている。
そんなお節介を焼かなくてもいいと思うが。
まなはスモールハウスに入って、さっそく調合の準備を始めたようだ。
材料はまだ残っているから、今は私は必要ないだろう。
まなは、お節介なようでありながら、あっさりしたところがある。
ネチネチしたのを好かない私は、そんなところが楽でいい。
せっせと準備をしているまなを見ていると、フッと笑みがこぼれる。
今日はちょっと調べておくか。
「まな、他の様子を見てくるから。結界を張っておく。」
「はーい。用があるときは結界に触れるね。」
「うむ。」
庭全体に結界を張ってから、ハイスピードで正門まで駆ける。
前のように空を飛べたら楽なんだが。こればっかりは能力を削られてしまってるから仕方がない。
駆けつけた正門には、門番のバルがいた。
近づいて目礼をすると、私に気づいたバルが、おう! と声をかけてきた。
「どうした?」
「討伐のメンバーはもう出たのか?」
「おうよ。早朝にもう出ている。被害を食い止めるためにもな。」
「そうか。ここはとりあえずは万全なのか?」
「ふふ。坊主なのにしっかりしてるな。」
頭をグリグリしながら腰を屈めてきた。
「今のところ、二つの正門に一人ずつランクAを配置。後はランクBの有志のみだ。だが、俺は必ずここを守る。安心しな。」
ピリピリとした空気を物ともせずに、冷静にニヤッと笑った。
いつもの丁寧な言葉遣いではなくなっている。やはり多少は気が昂ぶっているのだろう。
「ふ。」
「坊主も、まなのそばにいてやりな。」
黙って頷いて引き返す。
念のために外も視ておこう。
正門近くの店の屋根に飛び乗って腰を落ち着ける。
「鷹の目。」
視界が身体を離れ、門を超えて橋を渡り、川を越える。
広がる草原を翔ける。
魔物がチラホラ点在しているが、大した魔物じゃない。
ぐるりとエルドラドの周りをチェックする。
怪しいところはなし。
もう少し先へ伸ばしてみるか。
噂にあったツクノ平原方面へ向けてみる。
しばらく進むと、複数の馬車や馬が駆けているのが見える。
いくつかのグループになってあちこちにいるようだ。
あるグループの先頭に、グレルがいた。
やはりギルドから出た冒険者達のようだ。
だが、この辺には他の気配はない。
強盗が身を隠すとしたら森の中か?
左手方面に鬱蒼と木が多い茂っている森がある。
迷いの森と言われていて、なかなか中に入る奴はいないと聞いているが。
念のために視ておくか。
森の上空を見下ろしながら進んでいく。
特に目立ったところはないな……。
「む。」
結界にまなが触れた。
森まで向かっていた意識が瞬時に体に戻る。
視界が屋根の上からの景色に戻った。
ポーチからギルドカードを出して魔力を込め、まなを呼び出す。
「どうした?」
「デス、今忙しくない?大丈夫なら、回復薬(大)が十本できたから、ギルドに卸してくれる?私は次の十本を作ろうと思うから。」
「分かった。戻る。」
今すぐに危機が来ると言うわけではなさそうだな。とりあえずは大丈夫か。
ギルドカードをポーチにしまって、スモールハウスに戻った。
読んでくださって、ありがとうございます。




