↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/57

すごい回復薬できちゃった。

 デスが外出から戻って、出来上がった回復薬(大)の十本をさっそく納品しに行ってもらった。

 お昼までまだ少し時間があったから、回復薬をもう一回作ってしまうことにしようとテーブルの上を一度綺麗にする。


 材料を揃えて調合鍋に入れ、魔力を流しながら煮込む。

 もう分量を量ったりすることにも慣れてきたね。

 そういえば……。


 ヒーラーの杖で回復魔力をかけながら煮込んだらどうなるんだろう。


「……。」


 ……やばいです。

 気になり出したら止まらないです。

 でもイケそうな気がする。

 ……ちょっとやってみる?


 既に十本は納品したから余裕が出たというか、材料はまた買えばいいし、うん。

 好奇心に負けました。


 服の下からヒーラーの杖を出して、一瞬迷ったけど魔力を込めて鍋の中身にそれを向けた。

 魔力を放ちながら、まぜまぜ。


 ん?

 仄かに鍋の中身が光ってる?

 良さそうじゃない?


 まぜまぜ。


 鍋の中に投入した薬草の色が、鮮やかな新緑のように変化していく。

 そして細かく分断していき水の中に消えていった。

 かき混ぜるおたまの滑りが軽くなり、薬草による濁りも徐々に消えて、すごく澄んだ透明な液体に変化を遂げる。


「すごい、何これ。」

 感動を覚えながらも、その手は休めずにかき混ぜ続ける。


「これ、完成していない?」

 初めて作ったけど、こんなに綺麗な水初めて見た。

 綺麗な水をさらに浄化したような透明感。

 鑑定眼鏡で視てみる。


『回復薬(聖)ヨモ草、きれいな水、長命草のエキス、魔力まな、製作者まな』


「何これ。」

(大)じゃなくて(聖)になってる。


(聖)って確か……。

「オープン。」

 カタログを召喚して、アイテムのところをチェックすると、回復アイテムがいくつか載っていた。


「……あった。」

 よく似た感じの、見たことあったと思ったのだ。


『聖薬』

 聖水って感じかな?


 説明を読むと、『聖薬』気力、体力、魔力の完全回復。異常状態全般回復。一定時間攻撃力、防御力の上昇。ポイント五千。


「高い!」

 何ですか五千ポイントって。


 もう、いざという時の切り札みたいなアイテムだね。

 でも私が作ったのは、回復薬(聖)なんだよね。聖薬じゃない。

 うーん。どうしようか?

 カルダさんに鑑定してもらう?


 その時ドアが開いて、デスが入ってきた。

「あ、お帰りデス。そうだ。これなんだけど……。」


 デスに説明をして、鍋を覗くように促す。

「ふむ。通常の回復薬より上位な感じはするが、鑑定眼鏡は効能まではわからないのか。」

 鍋を覗きながら、匂いを嗅いだりしている。

「うん。鑑定眼鏡、効能も分かるものにすればよかったかも知れないね。」


「カルダなら、分かるだろう。聞けば早い。」

 鍋から顔を離して、肩をすくめる。

「やっぱりその方がいいかな。へんな薬だったらどうしよう。」

「そんなアイテム名、店でも聞いたことがないしな。」

「だよね。」


 そんな訳で、ギルドのミニ会議室にてカルダさんが鑑定中。

 持ち込んだ『回復薬(聖)』を詰めた一本の瓶を、テーブルに置いた状態でガン見しています。

 回復薬(聖)の残りは鍋の中にそのままある。


 一度瓶から目を離して、目頭を片手で揉んで再度鑑定する。

 さっきから何度も繰り返しているけど、カルダさん疲れているのかな。盗賊のことでバタバタしてるし。

 そのうち、目を離して私の顔をジッと凝視してくる。

 なんですか。


「まなさん、何度鑑定してもこれはまなさんが製作していますね。」

「??」


「回復薬(聖)は、気力、体力、魔力を回復して、さらに異常状態も回復してくれるんですよ。特に呪い系にはよく効くようです。まなさん、あなたは聖職者か何かなんですか?」

「聖職者?」

「はい。神に仕える方の事です。聖堂も王都にあります。(聖)と文字のつくアイテムは、神に祝福された、とされる者が作れると聞いています。」

「神に祝福された?」


 神様には会っているけど、祝福はされていないよね?

「されてはないと思います。」

 多分。


「ふむ……。普通ならば、幼少の頃に発見されて聖堂に召されるんですが、まなさんは余程の僻地にいたか、幼少の時には弱くて発見されなかったか……なんでしょうかね。」


 へえ。異世界から来ましたとは言えないし、僻地ではあるわね。


「どうします?」

「どうしますって?」

「聖職者の資格ありなら、聖堂に行くこともできますよ。」


 チラッとデスと顔を合わせる。

「聖堂って、どんなところなんですか?」

「神に仕えることになりますね。主に祈りや聖薬の作成、浄化奉仕、王宮との繋がりも近くなって、働きによっては王宮に上がることもありますよ。」


 うわ。めんどくさそう。


「行きたくないです。冒険者としてのまなのままでいいです。」

「ふっ。」

「生活も保障されますよ?」

「それでも。」


「……わかりました。ギルドとしても冒険者でいてくれた方が、ありがたいですよ。ただ。」

「ただ?」

「この回復薬は販売できませんね。(大)の方が需要はありますよ。第一、高くて誰も買えません。」

「……ちなみにいくらになるんですか?」

「これくらいの量なら、一つで金貨百枚はしますね。」

「!?」


 家にもまだありますよ。ヤバイやつ作っちゃった?


「まなさんが作れると知れると、聖堂が動きますから、冒険者でいたいなら隠しておいた方がいいと思いますね。」

「それでお願いします。」

 ふう。とカルダさんがため息をつく。

「私も他言はしませんから。これはご自分で保管するか処分するか、判断はお任せしますよ。」

「はい。ありがとうございます。」


 机の上の物をバッグにしまった。

 カルダさんが、頷いてではまたと言って部屋を出て行った。


 うわ。すごいの作っちゃったみたいね。

 神様のカタログで買ったヒーラーの杖を使ったから、こうなったのかも知れない。


「デス、危なかったね。」

「ふ。聖堂へ行ったら自由はなさそうだしな。」

「私は今の生活が気に入っているから。カルダさんでよかったね。」

「うむ。」

「スモールハウスに残したやつも瓶に詰めてバッグにしまおう。一番安全だもの。」

 デスがにっと笑って頷く。


 それから私たちは、瓶に詰め替えた十本の回復薬(聖)をせっせとバッグにしまったのでした。


 その後、懲りずに土魔法の魔力を込めながら、同じものを調合してみたら、素材に入れたヨモ草が鍋の水を全部吸って、ドーン! と成長しちゃいました。

 ツヤツヤと輝くヨモ草を採取するのにかなりの時間を費やしたよ。

「何やってるんだ。」

 デスの呆れ声が突き刺さりました。


 でも良質なヨモ草をゲットです!

次の投稿は未定ですが、時間を作って投稿したいと思います。

読んでくださって、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。