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スープの味。

 まずは、スモールハウスの換気と掃除をしましょうということで、窓とドアを開け放す。


「こんな小さい家は初めて見たよ!」

 リベルさんが、感動して声をあげている。

 私も、思っていたより快適そうな空間にワクワクしている。

 秘密基地みたい!

 ファジールで使っていたテントも出して、テントに設置しておいた結界の魔石(強)を取り外して、スモールハウスに付け替える。家事セットやその他諸々もスモールハウスに運び、空になったテントは改めてバッグに仕舞った。


 リベルさんに見学したいと言われて、他の人が入れるか気になったし許可すると、すんなりと中に入って来れたみたい。

 スモールハウスは私以外の人も入れるみたいだね。


「すごい。小さくてもちゃんと機能的に作られているね。料理もできて、トイレもある。シャワー室もある。二人なら十分に座って話したりできる。すごいよ!」

 それに、とロフトになっている寝室を見上げる。

「空間をうまく使っているね。上に寝る所を作るなんて!」

 ロフトに上がるハシゴを登って寝室を見ながら、ロフトの板をコンコンとノックする。

「一体誰が作ったんだい?しっかりしていて安定している。何よりこの奇抜な発想。すごいよ。」


 ひとしお感動をした後、椅子に腰掛けてふーっとため息をつく。

「まなにはいつも驚かされるよ。バッグからこんな家出せるのもびっくりしたし。」

「口外禁止だ。」

 デスが口止めをする。

「わかってるよ。僕を信用してくれてありがとう。」


 ひとまず、リベルさんも荷物を片付けてくるから、掃除などが終わったら改めてお茶をしましょうという事で別れた。


 さて、問題はデスの寝る場所です。


 今までは人形だったから、テーブルや枕元に置いて寝ていたんだけど、今はもう生身の身体だから、同じようにはできないしね。

 隣で一緒に寝てもいいんだけど、デスが嫌だって。私、そんなにいびきをかいているのかな。ガクッ……。


 とりあえず、ロフトは私が使って、リビングのテーブルと椅子を寝る時はバッグにしまって、寝る場所を確保って感じがいいかな。

 布団って売ってるのかな。

 そうだ、カタログ。

「オープン。」

 カタログで寝具をチェック。ページを軽くめくっていくと家具の一覧が見えたので手を止める。

 こんなのあったっけ?

 庭に置くタイプの鉄製テーブルセットや、日よけのパラソルまである。もちろんデザインは青と赤のストライプじゃなくて、こっちの世界に合わせてある。


 カタログの表紙を見ると、ポイントは十分に貯まっていた。『デスの大ガマ』みたいな高い買い物はまだ難しいけど、ポイントに基本困る事はない。

 どうやってポイント貯めようか心配しなくても貯まっているのって不思議。

 デスとも話して、多分カタログで買ったものを使うとポイントが貯まるんじゃないかと結論をつけている。


 寝具がないかページをめくっていくと、あった。

 布団、ベッド、小上がりタイプの畳。色々あって、それぞれ五十ポイント前後と買いやすかったので、デスの希望を聞いて細長いスタイルのソファベッドにした。

 度々しまわなくても、椅子として使えるからだって。意外と倹約家?


 元々あった椅子だけバッグにしまって、テーブルはそのままベッドの横につけてみる。

 わあ。形になるじゃない!

「とりあえずこの形で行こうか。」

「うむ。」

「リベルさんはもう終わったかな?今度は私たちがお茶にご招待しましょう。」

「きのこスープはどうか。」

「ふふ。いいよ。じゃあ、きのこスープにしましょう。」

「うむ。」

 デスが嬉しさを隠すように素っ気ない返事をしているけど、丸分かりなところが可愛いです。


 キッチンに立って、バッグから先日エルドの森で採取したきのこを数本出す。

 チキンスープで、きのこは薄切りがいいかな。


 バッグから、いつか買った鳥系魔物の燻製を取り出す。


 使う分だけカットして鍋に入れて水を足す。肉の臭み取りに合うハーブセットを鍋に投入。

 日本にいた時は生姜を入れていたけど、ファジールのお店では見かけなかった。

 火の魔石で沸かしながらじっくり出汁を取る。

 その間に、きのこを薄切りしてザルに入れておく。

 本当は溶き卵なんかを入れると美味しいんだよね。卵はないから、葉物の野菜を細かくカットして入れる。

 あとは塩を入れるだけで十分美味しいスープになるんだよね。


 じっくりコトコト。


 家にこもっていた時、お母さんはいつからか、私の分を作ってくれる事がなくなった。

 両親とも仕事で、れなも学校でいない時に、スープはよく作りだめをしていた。

 一回大量に作ると、あとの食事が楽だったからだ。

 スープさえ作っておけば、うどんもできるし、野菜煮込んでスープも色々できるし、余ったご飯とチーズを入れてなんちゃってリゾットも作れた。

 毎月お金はくれていたので、ほとんど食費に使っていた。

 家にある食材は、どれを使っていいのか分からなかったから。


 ゆっくり煮込んでいく。


「いい匂いだな。」

 デスの声に、思考の海から浮上する。

「うん。もう少しでできるよ。リベルさんにも声かけてあげてね。」

「ふん。呼ばなくてもいいと思うがな。」

 ブツブツ言いながらも、呼びに行ってくれた。

 苦笑いしながら味見して、少し塩を足して火を止めた。


 リベルさんとテーブルを囲んで、引っ越し蕎麦気分で、スープを振る舞う。

 リベルさんのティータイムから大分時間も経っているしお腹も空いたので、バッグに入っていたお弁当も出してテーブルに並べた。


 きのこスープにサラダ。サラダには、ベーコン風に炒めた燻製をトッピングしてある。スープの出汁に使ったお肉をバラして手作りソースをかけたもの。ジャガイモと人参を蒸して塩とバターを乗せたもの。そしてカゴに、買いだめしたパンを盛り付ける。


 リベルさんは、いつの間に作ったのと感激していた。

 すみません、ファジールで作ったお弁当なんです。とは言わずに黙って笑っておく。

 三人で、エルドラド散策はいつにするか、調合の話、デスの話、色々会話を交えながらの楽しい食事になった。


 以前は、空腹を満たす為と食費を浮かす為だけに作っていたスープだったけど、今はデスや友達が喜んで食べてくれる。

 私の中で、スープの位置が変わっていく。

 美味しそうに食べるデス達を見て、私は満たされていく。

「美味しいね。」

「うむ。」

 みんなで一緒に食べるスープは、とても美味しかった。

読んでいただき、ありがとうございます。

スモールハウス憧れます。

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