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デスが怪我をした。

 何か変な感じがした。

 いつもそばにいたデスが、急に一人で散歩するって。

 絡まれたすぐ後だったから尚更違和感を感じて。

 それで、掲示板は後にしてデスの様子を見にギルドを出たら、デスの魔力を感じた。


 なんだろうこの感じ……。


 なんだか嫌な感じがして慌てて探したら、細い路地を入ったところに、武器らしいものを構えたデスが見えた。

 近寄ると、なんだか苦しい。

 デスの向こうにさっきの冒険者たちがすごく怒り狂っているのが見える。

 でも怒り狂った冒険者たちよりも、デスが対照的に冷たい魔力を放っていた。


 デス。


 デスが危ない。


 デスが人を殺しちゃう。


 そんなのダメ!


「デス!」

 デスが驚いて私を見ている。急いで駆け出してデスに抱きつく。

「デス、ダメ!」

 二人が向かってくる。土魔法で落とし穴を……。


 その時、デスが私を庇って立ちはだかった。

「?!」

 デスの背中が衝撃を受けて、抱きついていた私も一緒に倒れたけど、私はなんともなかった。

 でもデスの顔が苦痛に歪んだ。


「こんな子供に何するの!」

 ガヤガヤと人が騒ぎを聞きつけて、集まってきた。

 それを見たからか、二人は逃げるように走り去っていった。

 治さなくちゃ。

 ヒーラーの杖を服の下から出してデスに回復魔法をかける。


 苦痛の表情は消えたけど、意識が戻ってこない。


「何かありましたか!」

 騒ぎを聞きつけたのか、カルダさんが駆けつけてくれた。

 デスの様子に気づいて、辺りを見回し、すぐにギルドの中に入るように言った。

 私は従って、デスを抱きかかえようとしたら、カルダさんが抱き上げてくれた。

「詳しく話を聞かせてもらいますよ。彼は治癒室に運びましょう。」

「はい。」


 ギルドの中にある治癒室のベッドに寝かせると、ギルド常時勤務の治癒師が診て、異常はないと言ってくれた。

 私は、自分が見たことだけを話したので、あとはデスが起きてから事情を聞くということにしてカルダさんには戻ってもらった。

 デスの横の椅子に腰掛け、寝顔をじっと見る。


 私が邪魔したせいでデスが怪我しちゃった。

 でも、止めなくちゃいけないって思ったの。


 ……デスの中にはどんな闇があるのだろう……。


 あの時のデスの魔力に、何とも言えなような不安を感じた。


「う……過ち……?」

「デス?」

 意識が戻ったようだ。

「……まな。」

「よかった、目が覚めた?」

「……大丈夫か?」

「私? 私は大丈夫よ。デスの背中を殴られたのよ。痛みはない?」

「……あの二人、まなに敵意を抱いていたから、排除しようと思ったんだが。」

「ダメだよ。簡単に……排除なんて言ったら。私まだ何もされていないんだから。」

「そういうものなのか。」

「そう思わないの?」

「……死神だからな。」

「デスはデスなんでしょ。」

「……。」

 黙って起き上がって、じっと見つめてくる。

「すまなかった。」

「……うん。びっくりしたんだからね。」

 ヘラっと笑って空気を軽くしようと努める。

「私が怖くはないか。」

「うん。……怖くはないよ。相棒だものね。」

「……。」


 少し視線を逸らしてベッドから降りたデスは、改まって向き直してくる。

「今日みたいな時に、相手から手を出してきたら私はまた同じ事をするかも知れない。」

「……。」

「でも、できる限りあの武器は使わないように努める。」

「でもそれじゃ、デスが身を守ったりできないんじゃ?」

「大丈夫だ。あれが無くとも戦う術はある。」

「うん……でも必要な時は使ってもいいと思うよ。」

「分かってる。」

 デスが少しニッと笑ったから、やっとホッとできた。

 でも、あの二人にはこれからも要注意だね。

 私も自分の身は自分で守る。その事は忘れないように気をつけよう。

 そう思っている事を、デスに伝えると、分かってくれたようだ。


 そのあと様子を見に来たカルダさんに、事情を話して、むやみやたらに挑発しないようにと注意を受けて、その日はギルドを後にしてゆっくり帰ることにした。


「まな!」

 え?

 ギルドを出てすぐに声をかけられる。振り向くと、背中に大きな荷物を背負ったリベルさんが手を振っていた。

「リベルさん!」

 思わず駆け寄る。

「偶然だね。もしかしたらこっちにいるんじゃないかと思ったけど、会えたね。」

「お久しぶりです。すごい荷物ですね。」

「うんちょっとね。あれ?」

 デスに気づいたようだ。


「この子どうしたの?」

「あ。紹介しますね。彼は、デス。私の相棒です。」

「あ、相棒?」

「はい。いつも一緒にいたデス、と言えば何となく分かるでしょうか?」

 デスは、フンと斜めにリベルさんを見上げていた。

「いつも一緒にって、まなは一人……人形? いや、ごめん! そんな子いたっけ?」

「人形で正解だ。」

 デスが一言放つ。

「……。」

「……。」

 しばらくの沈黙の後。


「ええええええっ?!」


 リベルさんの驚く声が、街中に響き渡った。


読んでいただき、ありがとうございます。

リベルさん再登場です。

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