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ギルドランクG。

「おい、まだ起きないのか。」

 デスの声に目を覚ます。いつもより寝過ごしたみたい。

 昨日たくさん歩いたし初依頼もこなしたし、すごく疲れてぐっすり眠れたよ。

 まあ、元引きこもりって言うのかな?

 こっちの世界へ来てから、ずっと忙しいような気がする。

「起こしてくれてありがとう。」

「む。」

 ベッドから降りて、窓の外を見ると、もう早朝を過ぎた緩やかな朝の光景になっていた。

「お腹すいた。」

 しっかりと胃の中は消化されていて空っぽな空腹感。

 よく働いて、よく寝て、よく食べて。

 健康的だね。ちょっと気持ちいいかも。でも体力がないないから、徐々にね。

 とりあえず、もう少し生活ができるくらいに、稼げるようになるまでは頑張ってみようかな。

「ふふっ。」

 私一人だったらしっかり引きこもっていたかもね。


「着替えておけ。朝食を頼んでくる。」

 デスがそう言って部屋を出て行く。


 そっかあ。今まで私がやっていた事も、デスと半分こにできるんだ。

 なんかいいな、こういうの。

 窓に寄って、連なる家の屋根を眺めながら思った。

 二人でやると負担は半分。笑顔は二倍ってあったなあ。

 そうだ、ポイントで買ったお金で、先に生活の基盤を揃えてからランク上げてもいいかなあ。

 そしたらやっぱり不動産調べなくちゃ。


 部屋のドアが開いてデスが入ってくる。

「なんだ、まだ着替えてなかったのか。」

「そういえばデスって、成人してるって言ってたよね。私には実感湧かないんだけど、女の子に特別な感情を抱いたりってするの?」

「……。」

 いきなり何を言うのかコイツは、と言わんばかりに、デスのこめかみに青筋が立つ。

「いやいや、大人として扱った方がいいのかなとか急に思いついて。」

「人間には興味ないな。」

「へえ。人間じゃなかったら誰に興味あるの?」

 デスの言葉に純粋に興味が湧いた。

 人間じゃなかったら、獣人さんとか、あっ、同じ死神さんに女性とかいたりするのかな?

「……!」

 デスが目を細めて、呆れたように睨むような視線を向けてきたので、慌てて謝る。

「ごめん、ほんとに急に思いついただけなの。失礼だったらごめんね。」

「大人でも子供でも、私は私だ。」

 ふうっとため息をつきながら呟いた。

「そっか、デスはデスだよね。」

「昨日はイビキがすごかったな。」

「……うそっ!!」

 私イビキかいてるのー?!

「フッ。」

 え、今のフッはどっち?

 イエスのフッ?

 冗談だよのフッ?


 コンコンとノックの音が響いた。

 まだ着替えてなかった!!

 少し待ってもらって超特急で着替えてから入ってもらった。


「今日の朝食は、丸麦のスープとパン。朝採れサラダです。このクリームのタレをかけてください。取り分け用のお皿も置いておきますね。そしてエルドラドの特産フルーツ、オランジです。朝食は別料金なので銅貨七枚頂きます。」

 テーブルの上に置いてもらってお金を払ってお礼を伝えた。


 デスと一緒に腰を下ろして、朝食を頂くことにする。

「いただきます。」


 焼きたてのふかふかなパンだ。

 朝早く起きて作っているんだろうなあ。

 とっても美味しいです。


 デスはやっぱりスープに手をつけてじっくり味わっている。

 デスってどうしてスープが好きなのかな。

 もちろん美味しいんだけど、スープとかドリンクしか飲まないみたい。

 スープに入っている野菜とか具は食べるんだけど、他の料理には手をつけない。

 死神さん特有の食歴史なのか、デス自身の好みの問題なのか。

 聞いてみたら、元々食べなくても大丈夫らしい。

 魔力を循環させてエネルギーを補充しているとか。

 でも食べられるのなら食べてもいいんだって。

 でも、魔力自体が少なくなったらどうするんだろうね?


「今日はどうする?」

「とりあえずギルドには慣れておきたいから、今日も行ってみようかな。あと不動産も行ってみたい。」

「分かった。」

「ここにとりあえず腰を落ち着けられたらいいなと思ってるから、土地を安く借りるとかしてスモールハウスを建てたいんだけど、ここの土地ってどうなのかなと思って。ファジールと土地事情は同じなのかな。」

「ふむ。」

「聞いてみないとわからないよね。一回ギルドで聞くか、グレルさんとかに聞いてみよう。あ、リベルさんの方が詳しいかな?」

「あの三人なら、そのうち向こうからコンタクト取ってくるだろう。」

「そうだね。」

「デスは? 行ってみたいとかやりたい事とかある?」

「私はいい。」

「ダメだよ。デスもやりたい事あったら言ってよ?」

「ふっ。まあ、あれば言う。」

「約束だよ。」

「分かった。」


 朝食を終えたら、作業着はないけど、なるべく動きやすい服装になるように身支度をする。

 デスは洗って乾かしたコートを羽織って、お互い荷物のチェックをしてから宿を出た。

 私の服、オルテシアさんが案内してくれる時にまとめていくつか買おう。カタログで買ってもいいけど、魔道具とかデスの物も買いたいから、外で買えて魔力関係なく使えるものとかは街で買うようにしよう。


 ギルドの朝は、相変わらず掲示板の前が一番賑わっていた。

 あれだね。依頼受注も早い者勝ちなんだろうな。

 ギルドで新たにランクGの依頼から、今度はテイ草採取を選んだ。

 報酬が銅貨五枚だけど、エルドラドの周りの川まで行かなくてはいけないみたいで、外へ行くのも慣れておくといいだろうとなんとなく思って選んだ。


 テイ草採取。エルドラド周りの川の近くにて採取。量は麻袋一つ分。

 期限は当日のみ。

 報酬は銅貨五枚。詳細はギルドまで。


 テイ草は綺麗な水辺で育つ植物らしい。エルドラドを取り囲む川はとても綺麗な水が流れていて、綺麗な花々だけじゃなく、依頼にあったテイ草もたくさん育っていた。ちらほらと採取をしている人が他にもいたが、冒険者ではなくエルドラド住民だった。

 自分が飲む分を自由に取ることはできるみたい。ギルドが依頼したテイ草は販売用になるそうだ。

 周りを観察すると、川では釣りをしている人も数人いた。


 外には魔物もいるけど、流石に人が大勢集まるところには近づいてこないらしい。が、少し離れると旅人などを狙って待ち構えているタイプの魔物もいるようだ。怖いね。


 私たちも滞りなく採取できたので、ギルドに戻って報告をする。その場で麻袋の中身をチェックしてもらい二人分の報酬をもらった。


 ギルドカードが返却されたので何となく裏を見たら、ギルドランクがFに上がっていた。

「え?」

「はい。ランクが上がりましたね。おめでとうございます。駆け出しの冒険者としてのスタートですね。」

「もうランクが上がったんですか?」

「ええ。ランクGは余程のことがない限りすぐに上がりますよ。ただし、Fからは長いですよ。」

「そっか、練習。」

 そういえば最初、そう説明受けていたね。一般の依頼を受けてもいいと判断されたってことかな。

「そうです。」

 ランジュさんが肯定するように頷いた。

「これからはランクFの掲示板から受注してくださいね。幅はグッと広がりますから、よく考えて選んでください。失敗などをするとまたランクGに降格もあり得ますので。」

「はい。ありがとうございます。」


 お礼を言って、Fランクの掲示板をチェックしてみようと動きかけたら、横から声が飛んできた。

「おかしくないか?そいつら、まだそんなに依頼受けていないよな?!」

 顔を向けると、初日にランクGの掲示板で会った冒険者だった。

 名前なんだっけ。声をかけてきた茶髪の男の方だ。

「なあ、あんた、依頼何個こなしたんだ?」

「今日ので二つ目です。」

「二つ? おかしいだろ?」

 今度はギルド職人に突っかかる。

「おかしくありませんよ。ランク昇格は受けた依頼の数で決まるのではありません。最初に説明した通り、ポイント制ですよ。」

「俺ら、もう五つ目だけどまだランクあがってねえよ? 贔屓じゃねえの?!」

「ぶっ、あいつら、五つ目だってよ。」

 騒ぎを見ていた冒険者のうち誰かの呟きが聞こえてしまった。

 茶髪の男が、カアッと顔を真っ赤にしてプルプル震え出した。


 すかさずランジュさんが、おかしそうに呟いた冒険者をたしなめる。

「アレンさん、ダメですよ。」

「や、すまんすまん。」


「いいですか、バッシュさん、ザイトさん。ギルドの依頼はポイント制。仕事の出来高、速さ、正確さ、色々な要素を見るんですよ。ただ依頼をこなせばいいのではないのですよ。」

「……くっ。」

 居たたまれなくなったのか、二人で連れ立ってギルドを出て行ってしまった。

 デスがじっとその様子を眺めていたが、不意に戻してギルド職員に声かける。

「ランクFからが本当の冒険者か。」

 ランジュさんがにっこりと笑う。

「ご名答。」

 そうだったのかあ!

 そっか、見習いみたいなものなのね。


 ランクFの掲示板を見てみたら、依頼の幅が本当に広かった。そして報酬も少し高くなっていて、少し興奮してくるのを感じながら、さっきの二人、バッシュさんとザイトさんの昨日の様子を思い出した。

 すごく人を下に見ているところがあったから、今きっと悔しい思いしているよね。

 こういうところが、面倒だね……。


『何でまながそれ持っているのよ。』

 双子の姉、れなの怒った顔が脳裏に浮かんで消えた。


読んでいただき、ありがとうございます。

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