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ギルド初仕事は採取かな。

 ランクGのクエスト一覧、とある掲示板の前に立っている。

 他にも初心者と見受けられる冒険者が二人、同じように掲示板を覗き込んでいた。


 私達は、受付にいたランジュさんに案内をしてもらっている。

 ランジュさんは、小柄で薄茶色の髪がツンと横に跳ねていて、笑うとえくぼが可愛い人だった。

「こちらが初めてギルドの依頼を請け負う、ランクGの方向けです。上にランクGとあるのが分かりますね?」

「はい。」

「魔物討伐や一般者からの依頼などはランクFからになりまして、Gランクは、まず依頼を受けて達成して報告するという流れに慣れていただくために練習するランクとなっております。」

「練習?」

「はい。ですから、ギルドが必要なものをお願いする形のものしかありません。一般人や商人など実際の依頼はランクFに上がってから、各ランクに合わせた内容の依頼を受けていただく形になっているんですよ。」

「へえ!」

「まずは興味があるものを選んでみてください。」

「どうしようか……。」


 テイ草採取。


 テイ草採取。ギルド菜園のテイ草採取。量は樽一つ分。

 期限は当日のみ。

 報酬は銅貨五枚。詳細はギルドまで。


「へえ。ギルドが作っている菜園があるんだね。でも報酬が銅貨五枚ってことは今の宿には泊まれないね。」

「うむ。今泊まっている『ムンドウ』は夕食付きで銀貨一枚。せめてその日を暮らせるくらいは稼げないと。それか、二つ達成して銀貨一枚にするか。」

「働かざる者食うべからずっていうしね、頑張らなくっちゃ。」

 二人の会話を聞いていたランジュさんが、苦笑いをしながら黙って聞いている。


 隣にいた冒険者が、薬草はわりにあわねえよ。鉱石採取の方が俺ららしくない?とか話している。同じランクの人なんだね。


 他にも薬草採取、きのこ採取、鉱石採取、荷物運搬の手伝い、地図のトレースなどがあり、それぞれ下に場所や仕事の内容、期限、報酬などの詳細が載っていた。


「まずは薬草採取かな。デスは?」

「うむ。それでよい。刈るのは職業柄慣れがないわけではない。」

「……デス、それって冗談で言ってる?」

「何がだ。いや、そうか、アレで刈るのはまずいか。他のにするか。」

「アレって?」

「何を聞くことがある。カマだ。」

 デスが心底不思議そうに言う。そっかあ、死神さんだものねって違う!

 え、薬草をカマで刈るの?


「きのこ採取だと銀貨一枚もらえるようだな。」

 デスが気づいたように言う。

「うん。もしかしたら探して採らなくっちゃいけないからその分大変なのかも。」


 きのこ採取。エルドの森にて採取。量は手提げカゴ一つ分。

 期限は当日のみ。

 報酬は銀貨一枚。詳細はギルドまで。


「ふむ。」

 思案顔したデスがチラッと頷き、きのこ採取の依頼の紙を指さして言った。

「私はこれを受ける。」

「えっ、デス一人で?一緒の依頼受けないの?」

「ん? 依頼はそれぞれ一つだろう?」

「大丈夫ですよ。こちらの依頼は何人でも受け付けておりますよ。人数制限など条件があるものもございますけど。」

 ランジュさんが助け舟を出す。


「ふむ。」

「デスがきのこの採取に興味あるなら、私もそれにするわ。」

「別に興味があるわけでは。……スープの具に良いと思ってな。」

 ……それを興味があるって言うんじゃないの?


 とりあえず、一回やってみよう。


「ランジュさん、私たちこの『きのこ採取』の依頼を受けてみたいと思います。」

 デスの言動にちょっと笑いながら、依頼受注のお願いをした。

「はい。分かりました。」

 ランジュさんは少し呆れ顔を隠しつつにっこり笑って、ではこちらへと細長く伸びた廊下の横に並んだ部屋の一つへと案内した。


 部屋に入るとそこには、テーブルとソファーが置かれているだけの小さな部屋だった。部屋の奥は明かり取りにガラスがはめ込まれた窓になっている。

「ここはミニ会議室です。冒険者と依頼人が話をする時は、こちらを使うことが主流です。」

 へえーっと部屋に入りながらキョロキョロと見回す。


「この部屋には特殊な魔法がかかっていて、外に会話が漏れないようになっているんですよ。」

「そんな魔法があるんですか。」

「ええ。依頼の詳細には守秘義務があるので。今回の依頼はランクGですし、守秘義務を行使することなんてないのでカウンターの受付で受理しますが、必要に応じてこういう使い方をすることもあります。覚えておいてくださいね。」

「依頼者の信用問題にも関わりそうですものね。」

「そういうことです。」

 ランジュさんがにっこりして、話を進める。


「きのこ採取についてですが、場所は『エルドの森』です。当ギルドからさらに上層に向かって進んで行ったところにあります。道すがらに地図もありますので、確認しながら向かってください。そして森の入り口に管理人がいますので、ギルドカードの掲示をしてください。」


 ギルドカードに依頼ナンバーが付くため、それを見せればクエスト受注したと分かるようになっているらしい。ふむふむ。


「なおその依頼は、管理人にギルドカードを掲示した時点でスタートとなります。本日受けるのか明日受けるのかはそちらの都合に合わせて下さい。」

「はい。」

「何か質問はありますか?」

 デスがスッと手を挙げる。

「個人用に採取は構わぬか?」

「くすっ。もちろん大丈夫ですよ。住民も食用に採っていますから。ただし、乱獲防止のために一人三本までとなっています。人数制限もありますから気をつけてね。」

「まな、きのこのスープだ。」

 デス。ニヤッとクールに笑っているけど、全然決まっていないよ。


 私たちはとりあえず、エルドの森の場所を把握しておこうということにして、依頼受注は色々準備もあるだろうから明日にしようと話し、ギルドを後にした。




読んでいただき、ありがとうございます。

続きは月曜日に投稿予定です。

よろしくお願いします。

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