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ミラ先生の特別授業

世界が滅びかけても。


人は学ぶことをやめない。


知ること。


考えること。


未来へ繋ぐこと。


それが観測者の使命だった。

朝。


地下施設の放送が流れる。


「本日の警戒レベルは2。」


「午前中は比較的安全です。」


久しぶりに警報のない朝だった。


食堂では子どもたちが朝食を食べている。


ジンは大きなパンを頬張りながら笑った。


「このパン、意外とうまい!」


少女が笑う。


「今日は焼きたてなんだよ!」


カイトも思わず笑顔になる。


第四世界にも、こんな日常が残っていた。


その頃。


ミラは第四世界のミラに案内され、一つの部屋へ向かっていた。


教室だった。


黒板。


机。


椅子。


決して新しくはない。


だが、きれいに掃除されている。


現在のミラは驚く。


「学校……?」


第四世界のミラは静かにうなずく。


「地下施設の子どもたちのために作ったの。」


「世界は崩れても、勉強する場所だけはなくしたくなかった。」


その言葉に、ミラは少し目を潤ませた。


子どもたちが教室へ集まる。


一人の男の子が尋ねる。


「今日は先生が二人いるの?」


教室に笑いが起こる。


ミラも笑顔で答えた。


「今日は特別授業です。」


黒板に大きく書く。


『理科 ― 磁石と見えない力 ―』


イロンが教室の後ろから見ている。


ミラは机の上に磁石と鉄球を置いた。


「みんな、磁石って知ってる?」


子どもたちが元気よく手を挙げる。


「知ってるー!」


ミラは磁石を近づける。


鉄球が「カチッ」と音を立ててくっついた。


教室から歓声が上がる。


ミラは続ける。


「目には見えないけれど、力はちゃんと存在するの。」


「世界にも、そういうものがたくさんあります。」


イロンは静かにその言葉を聞いていた。


授業が終わると、一人の少女がイロンに近づく。


「お兄ちゃん、本当に鉄の声が聞こえるの?」


イロンは少し困ったように笑う。


「声というより……気配かな。」


少女は目を輝かせる。


「すごい!」


ジンが肩をたたく。


「ほら、人気者じゃん。」


イロンは照れくさそうに視線をそらした。


夕方。


現在のミラと第四世界のミラは観測室へ向かう。


そこには一枚の古い地図が広げられていた。


第四世界のミラが静かに口を開く。


「明日、あなたたちに伝えなければならないことがある。」


現在のミラが真剣な表情になる。


「……世界均衡理論のこと?」


第四世界のミラはゆっくりとうなずいた。


「そう。」


「第三世界が平和でいられる理由。」


「そして、この世界が滅び続ける理由。」


部屋の空気が重くなる。


その時。


窓の外で夕日が紫色の空を照らしていた。


第四世界の一日は、静かに終わろうとしていた。


第18話 END

第18話を読んでいただきありがとうございます。


今回は久しぶりに戦闘のない日常回でした。


崩壊した世界でも、子どもたちは学び、笑い、未来を信じています。


ミラが教師であること、イロンの能力が「理科」の授業と自然につながる場面も描きました。


次回、第19話では、いよいよ「世界均衡理論」の真実が明かされます。


そして、第2部は第20話で完結。


第四世界と第三世界、二つの世界が迎える運命が描かれます。

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