四十八話 帰りを待つ文
帰りの道で、信長は後ろを歩く者たちの足音を聞いていた。
正徳寺を出る前に着替え、長袴は再び箱へ納めてある。肩で荷を支え直す男が、道の端へ寄って紐を締めた。待っている間、信長は馬の首を道へ向けたまま、先の空を見た。
舅は、初めに見た物だけで終わらせる男ではなかった。
それでよい。初めの姿を笑い、後の姿を褒めるだけなら、あそこまで話を続けることもない。
しかし、よい婿であったと一言持ち帰れば、濃の用は済むのだろうか。
父は息災である。兄も同じだと伝えよ、と頼まれた。その二つを忘れぬようにしている自分が、少しおかしかった。
「先へ一人やれ」
脇の男へ命じた。
「那古野へ、滞りなく済んだと知らせよ。帰りは途中で一夜置く」
「御帰着は、明朝と」
「そう伝えよ。母上にも聞こえるようにな」
男が頭を下げ、人を呼びにいく。
信長は、舅の前で何を着たかまで言い添えさせようとして、やめた。そこまでを道の者に語らせれば、濃が自分から話すと言った用も、また別の口から母へ届く。
だが、無事に戻ると知らせることまで、妻へ任せる必要はない。
荷の紐を締めた男が列へ戻った。
信長は、それを確かめて馬を進めた。
*
翌朝、那古野の門で帰着の声を聞いた清十郎は、持っていた縄を巻き終えてから立った。
取次ぎの男が人を呼び、倉へ運ぶ物と、先に表へ渡す物を分けている。清十郎が門の外へ迎えに出る用はない。内側の邪魔にならぬ所へ寄ると、供に続いて信長が入ってきた。
初めに目が行ったのは、主の顔より、その後ろの箱だった。
自分の運んだ箱と同じような木の角が、朝の光に白く擦れている。渡した物は外へ出て、帰ってきた。清十郎は、ここでそれを受け取る。
「そちらを頼む」
男が箱を差し出す。
清十郎は両手で受け、底の重さを確かめた。空の時のように抱えれば、蓋を傾けてしまう。
孫四郎が横から手を伸ばした。
「紐が緩んでおるぞ」
「先に置く」
清十郎が答えて足を止めると、若者は早く運べと言いかけた口を閉じた。二人で板の上へ下ろし、結び目を確かめる。
門の近くで誰かが、置き場が違うと声を荒らげた。
孫四郎の顔がそちらへ向く。こちらを責めた声ではないと分かっても、顎の辺りには力が残っていた。
「手を離せば、結び直せぬ」
清十郎が言うと、孫四郎は箱へ目を戻す。
「分かっておる」
こちらへ怒るほどの声ではなかった。
清十郎は縄を引き、孫四郎に端を持たせた。外へ出て働く者にも、ここへ残る者にも、目の前で間違えられぬ用はある。そう思えば、空になった門ばかりを見ずに済む。
信長が、脇を通りかかった。
「奥の物は、そこの取次ぎへ渡せ。ほかの荷へ重ねるな」
男たちが返事をする。
清十郎も頭を下げ、箱を持ち上げた。信長の足が遠ざかると、孫四郎が小声で言った。
「美濃の殿とは、うまく済んだのであろうな」
「御本人に聞けばよい」
「聞けるものか」
返事が早く、清十郎は少し笑った。
若者は不服そうに見たが、箱から手は離さなかった。
*
紗季の部屋へ帰着の知らせが来た時、汁の椀を置くところだった。
昨夕の使いは、会見が無事に済んだと伝えてくれた。それでも、帰ってきたと聞けば、膝へ置いていた手が先に動く。
立ち上がると、槙が机の端へ椀を寄せた。
「戸口でお待ちになるだけなら、お召し物はそのままで」
紗季は、自分の袖を見下ろした。
何か整えねばと思っただけで、どこが乱れているわけでもない。お梅が笑い、先へ行って戸を開ける。
板敷へ出ると、朝の風より先に、門の方から戻る人の声が届いた。
信長は、髪も衣も、出ていった時と全く同じではなかった。腰の袋を供へ渡しながら、こちらを見つけて足を向ける。
「お帰りなさいませ」
「父御は、息災であったぞ」
挨拶のすぐ後に言われ、紗季は夫の顔を見た。
「新九郎殿も、そう伝えてくれと。そなたが案じる前に申せば、二つ減るであろう」
紗季は笑おうとして、うまく口元を動かせなかった。
会ったのだ。父と兄に、この人は会って、話をしてきた。
美濃を離れてから、文で受け取る顔ばかりが増えた。声の調子も、席を立つ時の動きも、自分には分からないまま季節が過ぎる。けれど今は、目の前に、その二人を見た夫が立っている。
「兄上は、何か」
「そなたからの頼みはないかと聞かれた」
「それで」
「まず、それだけと伝えた」
紗季は、ようやく頷いた。
父も兄も、病に臥せていると疑っていたのではない。ただ、変わりないという言葉を、会った人の声でも聞きたかった。
ほかに何を話したのか、次々に尋ねたくなる。
だが、信長の足元には、道の土が乾いて付いていた。廊下の端では、湯の支度を確かめる女が、こちらの話の終わるのを待っている。
「お休みになってから、また伺っても」
「聞くことは、もう増えたか」
「はい」
答えると、夫が笑った。
「母上は」
「お待ちになっております」
「では、まず、そちらじゃな」
信長が歩き出し、紗季も傍らへ続いた。
母へ話すと約束したことが、今度はこちらの足を少し重くする。
*
土田御前の休んでいた部屋は、庭に面していた。
信長が来たと聞くと、戸を開けさせ、机の脇を空けるよう女へ告げる。朝の膳は、もう下げられていた。
息子は戸口で一度止まり、母へ礼をした。帰蝶が少し後ろに控えている。
「滞りなく済みました。昨夕、知らせた通りに」
「聞きました。よう戻りましたね」
そう言ってから、土田御前は息子の顔を見た。
出立の時から、聞きたかったことは変わっていない。
「利政殿の前でも、その姿で通したのですか」
「寺で着替えました」
帰蝶の指が、袖の上でわずかに動いた。
土田御前がそちらを見ると、嫁は背を正した。
「母上。先にお話しすべきでした。あの姿でお入りいただくよう、私から三郎様へ申し上げたのです」
土田御前は、すぐには返事をしなかった。
帰蝶は顔を上げている。三郎がそう言えと命じたようには見えぬ。
「そなたが」
「はい。父が、お会いする前に三郎様を見限ってしまわぬようにと考えて……いえ、驚かせたい気持ちも、ございました」
言い直した声は、小さかった。
あの朝の嫁が、なぜ困った顔をしなかったか、ようやく分かる。
分かってみると、胸に残った物は、安堵だけではない。
「私も、驚いておりましたよ」
帰蝶の頬に赤みが差した。
その隣で、信長が妻へ顔を向ける。
「俺が、そうすると決めた。そなた一人の仕業のように申すな」
少し強い声だった。
帰蝶が息を吸うより先に、土田御前は息子へ言った。
「今、この娘を叱る話ではありませぬ。私に自分から話すため、そなたを待っていたのでしょう」
三郎の口が閉じる。
嫁を庇ったからといって、帰蝶のしたことを何もかもよしとしたわけではない。
土田御前は、今度は嫁に向き直った。
「父御を驚かせたい気持ちまで、私が止めることではありませぬ。ただ、持たせた支度を使うつもりがある、その一言を、私は待っていたのです」
「申し訳ございません」
帰蝶が頭を下げた。
この娘の口からは、待つ者のことを思ってほしいという言葉を、以前、自分も聞いている。人の待つ心には気づけても、自分が誰かを待たせている時には、同じようには見えぬのだろう。
土田御前は、息子を見る。
「そなたにも、申しております」
「はい」
短い返事の後、三郎は座り直した。
利政との話を、自分の言葉で伝え始める。目の前の男を見ずに決めたくはない舅だったこと。父の時の縁を、今の自分がどう受け取るかを問われたこと。使いの返事を誰の所へ戻すかという話にもなったこと。
帰蝶へ衣の箱を開けさせるのではなく、息子がこちらを向いて話している。
土田御前は口を挟まずに聞いた。
こんなふうに話すこともできるのに、なぜ、と思う気持ちはなくならぬ。それでも、分からぬまま末森へ帰らずに済むことを、今は受け取っておこうと思った。
「父上も、よう御覧になったのでしょうね」
帰蝶が言うと、三郎は妻へ目をやった。
「そなたのことまで、よう話してくださったぞ」
「私のことを?」
嫁の顔が明るくなる。
三郎は何か言いかけ、母の目に気づいたのか、口元を押さえた。
「後で、申す」
土田御前は、それ以上聞かなかった。
*
紗季が父へ文を書こうと思ったのは、母が末森へ帰る支度を始めた後だった。
信長は自分の部屋へ戻り、ようやく旅の衣を替えて休んでいる。土田御前も、帰着を見届けたからには、末森の用を長く空けておけぬという。
見送りの前、紗季は母の部屋を訪ねた。
「お待たせしてしまいました」
「待つと決めていたのは、私です」
母はそう答え、そばの女へ包みを渡した。
自分が勧めなければ、夫は別の姿で発っただろうか。それとも、何も変わらなかっただろうか。母があの朝から何を考えていたかも、紗季は全部聞いたわけではない。
それでも、自分の言葉で話したことを、受け取ってくださった。
「父上にも、私から返事を書きます」
「ええ。三郎の口で聞いたことと、そなたが今、思っていることは、同じではないでしょうから」
紗季は頷いた。
別れ際、母は、もう一度、こちらを見る。
「次に、何か思いついた時には」
「はい」
「驚かせぬ相手には、先に一言」
紗季は耳まで熱くなった。
母の声に叱る鋭さはなかったが、忘れてよい言葉でもない。
「承りました」
笑って答えると、母もわずかに口元を緩めた。
門へ出る時には、紗季も少し後ろへついていった。母の供が出発の用を整える間、清十郎が内側へ寄り、人の通る所を空けているのが見えた。
目が合い、彼が頭を下げる。
紗季は軽く頷き返した。
昔なら、顔を見ただけで、ほかのことが見えなくなった。今は、母を送り出す人の動きの中に、清十郎がいる。その手が何を持ち、誰のために場所を空けたかも、目に入ってくる。
懐かしさは、なくなっていない。
ただ、声を掛けて一緒にいてほしいと願うより先に、そこにいると知って安心している自分に気づいた。
*
部屋へ戻ると、紗季は机へ紙を置いた。
父上も兄上もお変わりなく、と夫から聞いた。その返事に、こちらも変わりなくと書けば済むだろうか。
筆を持ち、しばらく、白い所を見る。
衣の支度に慌てたことは、書ける。母を待たせてしまい、注意されたことも。それでも、書く前には、少し自分をよく見せたい気持ちが働く。
父を驚かせようとした娘が、母にも叱られた。
そう書けば、父は笑うだろう。
紗季は口元を緩め、そのまま筆を下ろした。
『三郎様より、父上も兄上もお変わりなくお過ごしと伺い、嬉しく存じます。
御対面のお召し物を整える折には、私一人で気を急き、着る御本人に伺うのが後になりました。無事に用いられたと聞き、ようやく安心しております。
三郎様の母上にもお見送りいただきました。待ってくださる方へ知らせる言葉が足りず、帰ってから御注意を受けました。私もこちらで、教わることがまだ多くございます。
兄上にも、私を案じてくださったお礼をお伝えくださいませ。
帰蝶』
読み直し、父を驚かせたいと夫へ勧めた所まで書いた方がよいか、迷った。
そこを書けば、父が何を思ったかまで、こちらから答えを求める文になりそうだった。父の見た夫を、自分の手柄にすることもない。
紗季は書き足さず、墨の乾くのを待った。
槙に見てもらうと、返ってきたのは字の直しではない。
「お届けは、表へ便を確かめてからでございますね」
「ええ。私からも、そうお願いしたいの」
美濃の父へなら、誰にでも渡せばよいわけではない。差し出した紙が、どこへ入って、誰の手から父へ届くか。それを聞いてから託すことは、相手の仕事を疑うこととは違う。
槙は紙を受け、表の取次ぎへ尋ねにいった。
紗季は空いた机へ手を置いたまま、父がこの字を見る時の顔を考える。
返事を待つ間にできる用は、まだ、いくらでもあった。
*
清十郎がその文を受け取ったのは、数日後、門脇の取次ぎであった。
槙が持ってきた包みを、取次役の男が受け、宛先を確かめてから清十郎へ渡す。美濃から来ていた作兵衛が、帰る時に引き受けると答えたので、その手へ渡す役を頼まれたのである。
作兵衛は表の用を済ませ、門の内へ戻ってきた。
「利政様へ、濃姫様から。ほかの紙とは一緒に包んでおりませぬ」
清十郎が差し出すと、作兵衛は外側の文字を見て頷いた。
以前、同じ主の文を運んだことがある男の顔だった。懐へ入れる前に、包みの折れた所を指で直す。
「確かに預かった。お前は、変わりないか」
「見た通りだ」
答えてから、清十郎は少し言葉を足した。
「姫様は、よくお働きになっておられる」
「それは、お前のことを聞いたのだがな」
作兵衛に言われ、清十郎は目を上げた。
聞かれたことへ、また別の答えを出していた。あの人がどう暮らしているかを言えば、自分の暮らしも説明した気になってしまう。
「……ここで、荷の用と、取次ぎを」
「そうか」
作兵衛は、それだけ聞いた。
作兵衛が門の外へ向き直った時、清十郎も一歩出かけた。見送るためだけの足が、敷居の手前で止まる。
外まで行くとは、頼まれていない。
作兵衛は振り返り、近づいてきて、清十郎の肩へ一度手を置いた。
「受け取った物は、届ける。お前は、自分の用を済ませよ」
慰められたと受け取るには、いつもの声だった。
清十郎は頭を下げ、門内へ戻る。作兵衛がどちらの道へ進むかを、いつまでも見てはいなかった。
*
作兵衛が美濃へ帰り着く頃には、道の土を払っても、足袋の縫い目に細かな砂が残っていた。
稲葉山の館で取次ぎを待ち、呼ばれて部屋へ入ると、利政が紙を脇へ寄せた。
「帰蝶からか」
「はい。濃姫様より、御前へお渡しするようにと」
作兵衛は文を差し出した。
主が開く間、視線を少し落とす。運ぶ役を引き受けたからといって、中まで読む用が増えたわけではない。
利政は初めの二行を読み、そこで一度、口元を動かした。
「着る本人に聞くのが後になったそうじゃ」
作兵衛は、意味を測りかねて顔を上げた。
主は説明を続けず、先を読む。
しばらくして、今度は、小さく声を立てて笑った。
「母御にも、叱られたか」
文を向けて見せることはせず、利政は読み終えた紙を机へ置いた。
「息災にしておられましたか」
作兵衛が尋ねると、主は頷く。
「そう書いてある。教わることが多いともな」
作兵衛は、門で清十郎から聞いた、よく働いているという言葉を伝えた。
その声を聞きながら、利政は紙をもう一度手に取る。娘の姿を見たという話と、娘が己で書いた話が、同じ所へ重なるのを確かめるようだった。
「下がってよい。返事は、後で渡す」
命じられ、作兵衛は礼をした。
廊下へ出ると、新九郎が向こうから来た。足を止めて道を譲ると、帰蝶は、と問われる。
「お文を、お持ちいたしました。今、御前が」
「そうか」
新九郎は部屋へ向かい、作兵衛はその背を見送った。
尾張で預かった物は、届いた。
それでも、門の内側へ引き返した清十郎の足だけが、少し気に掛かる。どの道を歩かせるのかは、作兵衛一人で決めてやれることではない。
次に会ったら、姫のことだけでなく、あの男自身の仕事の話も聞こうと思った。
*
新九郎が部屋へ入ると、利政は帰蝶の文を手元へ置いたまま顔を上げた。
妹のことを問うより先に、父が言う。
「案じてもらった礼を伝えてくれ、とそなたへ申しておる」
「それは、御丁寧に」
新九郎は笑った。
礼など要らぬと思いながら、何も言われなければ、それはそれで、気になったかもしれない。
父が読み終えた紙を、こちらへ寄せる。
「読むか」
新九郎は受け取り、初めから目を通した。
信長との対面を、妹は遠くで待っていた。その妹が、無事に済んだことだけを書いているのではない。自分の失敗も、母に注意されたことも、父が読む紙へ残している。
尾張の母に教わっていると、美濃の父へ伝えているのだ。
「帰蝶は、向こうの家の話をするようになりましたな」
言ってみると、利政は頷いた。
「向こうで暮らしておるからの」
それは、新九郎も承知している。
ただ、父と婿が会い、妹の文が届き、その度に父の目が尾張へ向くと、自分のいる美濃の座が、前と同じ形ではなくなるように感じる。
妹の嫁ぎ先が頼りになる方がよい。それと、自分が父にどう見られているかが気になることは、別々に胸へ残った。
新九郎は文を返した。
「三郎殿は、衣の支度まで、帰蝶へ任せておったのでしょうか」
「任せただけなら、あの座にはおらぬ」
父の返事は早い。
新九郎は、すぐには頷かなかった。
「私は、三郎殿を悪く申しているのではありませぬ。帰蝶が何をしたのかと、聞いておるのです」
利政が息子を見た。
その目を受け止め、新九郎は言葉を足す。
「妹の話を聞いていたはずが、また婿殿の品定めになっております」
利政は口を開きかけ、やがて笑った。
「それは、そうじゃな」
新九郎は、ようやく頷いた。
何か言えば父へ逆らうことになる、と思って口を閉じれば、残るのは父の言葉だけである。今日の一言が何を変えたかは分からぬが、妹の文を読んだ話として、ここへ座っていてよい気がした。
*
利政は一人になると、帰蝶の紙の余白を確かめた。
返す言葉を別の紙へ大きく書けば、また娘は、何か改まった用があるのかと身構えるかもしれない。
筆を取り、空いている所へ短く返事を添えた。
『文、確かに見た。
母御の言葉を、よう聞いておくように。忙しい折ほど、待っている者への一言を惜しむな。
そなたの書く暮らしの話は、面白く読んでおる。また知らせよ。
利政』
書き終えると、利政は筆を脇へ置いた。
見てきた婿のことなら、娘へ言ってやりたいこともある。だが、紙には、娘自身の話を読んだと残したかった。
墨の乾く間、庭の方へ顔を向ける。
美濃にいた時と同じように、帰蝶へ何もかも命じられるわけではない。嫁いだ先で、別の者に叱られ、別の者を待ち、己で返す言葉を選んでいる。
それを読む父の座だけは、しばらく空けずにおこう。
利政は乾いた文を折り、作兵衛を呼ばせた。
「次の尾張への便に、この返事を持たせよ」
受け取る手へ紙を渡した。
娘の文は、帰る道を持っていた。




