5話 逃亡作戦始動!
「持ち物よし!!」
なんとか屋敷にあるものをくすねて逃亡に必要なものを準備した。
・水
・食料(携帯食)
・剣
・エリクサー
旅を生業とする人たちであれば、テントなども用意するのだろうが、子供には無理だった。
まあ、何とかなるだろ
逃亡ルートとしては、街の隣にある風の森を抜け隣町までたどり着くシンプルな方法である。
風の森は嘘か本当かは不明だが、精霊の加護により強力な魔物が寄り付かないらしい。
すぐ隣の魔獣の森にさえ入らなければ、子供でも簡単に森を抜けられる寸法である。
ただし、精霊のお気に触らないように道の開拓等は行われておらず、道は過酷である。
「クレイル? 今日はどこか出かけるの?」
母現る。しかし、ここで諦めるわけにはいかない
「街にちょっと!」
「そう?気を付けなさいね。夕飯までにはちゃんと帰ってくるのよ」
「わかった、かーちゃん!」
「もう、かーちゃんじゃなくてお母様でしょ?」
「おう、かあちゃん!」
「・・・」
うちの親、放任主義しすぎないか。貴族の子供が一人で街に出ようとしたら普通止めるか、お目付け役をつけようとすると思うが、アイデンバーク家はこれが普通らしい。
逃亡する身としては、難易度が下がるのでありがたい。
母には申し訳ないが、今日でお別れさせてもらおう。この家の生活もなんだかんだ楽しかった。
しかし、これもアイデンバーク家、領地、そして自分を守るため。自分はアイデンバーク領より早く離れなければならないのだ。
自分がこの領地にいるとみんな不幸になる。
さらば、、、
次の難関、それは街の門番だ。
自分の顔は領内には広がっていないが、街の警備隊等、一部の者は把握している。
門番も把握している可能性が高い。把握していなくても、子供が一人町の外に出ようとすれば怪しまれるだろう。
じゃあ、どうするか、、
問題ない、この日のために警備隊の警備が一番手薄になる交代の時間を突き止めておいた。
さらに、警備隊の中で一番やる気のない男の交代の時間になれば、すり抜けも容易だろう。
そして、屋敷でひたすら気配を消す訓練をしてきた。今日こそ、日ごろの成果を試すとき
「何とかうまくいったな」
とりあえず、外に出ることは出来た。あそこまで、想像通りに警備がザルだと少し不安になる。
まあ、本来彼らは街の外から何かが侵入することを防ぐために警備を行っているため、
街の中から何かが出ていくことに関しては意識が低いのだろう。
後は風の森を進み、隣町までたどり着きエリクサーを資金源に新しい生活を始めようと思う。
森に入ると、思ったよりも静かであった。
いや、静かすぎると経験を積んだ狩人や冒険者であれば、気づくことができたのであろうが、
森自体初めてのクレイルには気づきようがなかった。




