15話 穴を掘ります
時には発想の転換って大事だと思う。
街の外に出る問題は悉く失敗した。
原因は、いろいろあるが、街の出入りの検問が以前よりも厳しくなっていることと純粋におれへの監視が厳しくなっていることだ。
特にこの前からおれ付きになったアメリアというメイド。
とうとう専属のメイドなるものがついてしまった。
そこでふと思った。「門から堂々と出ようとしているから問題があるのでは?」
そう、地上から街の外に出る必要はないのだ。
「そうだ、穴を掘ろう」
次の作戦は決まりだ。まず、人気のつかないところで穴を掘る。
そして、その穴を領の外まで広げる。
もちろん、領に迷惑が掛からないように使用後はちゃんと埋める。
となると、必要になるのは道具だな。
とうとうあれを手にするときが来たか
脱出界のエクスカリバー、
その名も
「スコップが必要だな」
幸いにも、鍛治師の知り合いができたので、訪ねてみようと思う。
「ドリー!、いるかー?」
「おお!だんな!久々だな!」
先日の自転車騒動でドリーともかなり親しくなった。
多少のわがままだったら聞いてくれるだろう
「ここの鍛冶屋でスコップみたいなものって作ってるか?」
「・・・・だんな、スコップってなんだ?」
「何って、穴を掘る道具なんだけど?」
おれは懇切丁寧にスコップの概念を説明した。
先端が平たい金属になっていて、柄が長く木製になっており、土に突き刺して掘る道具。
ドリーはしばらく黙っていた。
「だんな、そんなもん何に使うんだ?」
「だから穴を掘るんだよ」
「いや、だから穴を掘るのは分かったんだけど、何のために穴を掘りたいんだ?」
「・・・何って、そりゃお前、自由のためだよ」
、、、、
ドリーはおれに着いてきているアメリアの方を見た
アメリアは首を振った。
ドリーとアメリアは揃ってすごい呆れた顔をした。何か通じ合うものがあったらしい。
「はぁ、よく分からないですが、ものは作れますぜ」
この世界、穴を掘るのは基本的に魔法で行うらしく。手で穴を掘ることを基本やらないため、
スコップのような穴掘りの道具はないようだ。
おれはドリーにスコップと、ついでに穴掘りに役立ちそうなものを何個か発注しておいた。
◇
数日後。
「できたぜ、だんな!」
完成したスコップを受け取る。
「おお……」
前世で見たことのあるスコップとほとんど変わらない。
試しに地面に突き刺してみる。
ザクッ。
土がきれいに掘れた。
「完璧だ」
「そんなに喜ぶようなもんか?」
ドリーは不思議そうにしている。
だが、おれにとっては重要な一歩だ。
これで脱出作戦を実行できる。
次に穴を掘る場所を選定しようと思う。
できれば屋敷から離れていて、人目につかない場所がいい。
さらに、街の外まで掘ることを考えると、なるべく街の端に近いほうがいい。
そんな条件に当てはまる場所を探していると、街にうちが所有していて手つかずの土地があることを思い出した。
◇
「おやじ、余ってる土地貸してくれ!いつか返すから」
「は?なにするんだ?」
「なにって、自己研鑽?」
「?、、、、
(まぁ前みたいに街の外に行ったり、街中走り回るよりはマシか)
まぁいいぞ、人様の迷惑になることはするなよ」
((((ええぇぇぇぇぇ・・・・))))
その場にいた、使用人、メイドがドン引きしていたが気にしない。
うちのおやじは頭がおかしいのだ。息子とは言え土地を貸すというのにちゃんと目的を聞かないのは経営者としてどうかと思う。
なにはともあれ、準備は整った。
さらば、おやじ この街での生活も楽しかった。
おれは脱出して、新天地でも頑張ろうと思うよ。
いつもの脱出セットにスコップを持ちおれはもらった土地に来た。
アメリアも当然のようについてきている。
「ご主人様、本当に穴を掘るだけなんですか?」
「そうだ!」
「……そうですか」
アメリアが疲れた顔をしていた。
別に無理についてこなくて良いのに
とりあえず、どれくらい時間がかかるか分からないが穴を掘っていこう。




