13話 脱出手段は自分で作るものです
乗り物を作りたい。
馬車潜り込み作戦が失敗して思った。
「馬車がないなら自動車を作ればいいじゃない。」
「わふぅ?」
ルルにマリーさん的発想は早かったようだ。
馬車に潜り込んで、街から抜け出す方法は発想は良かった。
ただ運が悪かっただけだ
ただし、あの一件以降、街から抜けるときの検閲が厳しくなった。
まぁ領内に犯罪組織がいたのだからしょうがない。
グレックに連なる関係者も軒並み捕まった。
門番にも何人かグルがいたらしい。
まぁ気を取り直して
まずは構想からだ。
いきなり自動車を作ろうにも、エンジンどうするの問題があるのでまずは初歩から
車輪から初めて見よう
この世界の馬車は基本木製で構成されるが、この際、サスペンションやタイヤなどを作成したい。
ここで、タイヤの素材をどうするかが重要だ。この世界にゴムなんてものはなく(少なくとも流通はしてなく)
弾力があり、摩耗に強く、野ざらしでも劣化しない素材、、、
マッドリザードの皮とかなら何とかなりそうだ。
マッドリザードは山の麓の沼地部分に多く住みついている魔物であり、比較的街の近くのため素材が多く納入される。素材的にも堅いゴムのような性質を持っており耐水性や衝撃吸収にも優れるため、防具やカバンなどにも使われることが多い比較的万能な素材だ。
とりあえず木で車輪を作り、その周りをマッドリザードの皮で巻いてみた。意外とちゃんと形になっている。
次に、まず車輪を試すために、車輪をつなげた基礎の上に板をのせ、いわゆるスケートボードのようなものを作成した。
何回か試作と調整を重ね、転がすとまっすぐ進むくらいまでの完成度にはなった。
次は実際に乗ってみよう。
ルルちょっと押してくれる?
「がぅーー」
ルルの出した風に押され前に進む。うまくいったようだ。
思っていたよりもうまくいったかもしれない。
屋敷の使用人たちはおれを好奇の目で見ている。
おまえら仕事しろよ。
次は実際に街に出て運用してみよう。
そこから試作と調整の日々が始まった。
◇
ヴィントブルクの街では珍しい光景がある。
街を車輪のついた板でスイスイ進む少年がいるのだ。人々は道を開けて少年を見る。
この街にはじめて来た人間はまさかこんな奇行をしているのが、領主の息子だとは思わないであろう。
そして、目ざとい人間は少年の乗っている物に興味を示した。
「よし、車輪についてはなんとなくうまくいった気がする。」
あとはこの板に動力をつければ自立式の移動手段は確保できるのだが、魔法的な何かが必要になってしまうので、後回しにしよう。
自力で移動する手段としては、次のステップとして自転車の作成に入りたいと思う。
しかし、構想までは決めることができたのだが、制作の難易度がスケートボードとはけた違いになってしまうのだ。
特にチェーンが難しい。漕ぐ力をそのまま車輪を回転させる力に変換できる機構を作成するためには、ものづくりの専門家の力がいるかと思う。
よし、鍛冶屋に行ってみよう。
幸いにも街は普段からうろうろしているので、鍛冶屋のめぼしはついている。




