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シーズン1 7話 セカンドオピニオン

とんだ棚からぼた餅だった。やはり、回り道はしてみるもの。


突如として内定をゲット。しかも、あのベセトアと来た。あの時、停学になっていなかったら、図書館にはいなかった。あの時間帯は普通に研究室にいた。


だが、未だ不透明さがベセトアを隠している。


今、地球の首脳陣はベセトアの提案に対し、懐疑的で答えを慎重に議論している。交流を結ばないと、私は外交官として就職できない。というのも、死刑を定められた星が、突如として死刑を撤回された。


死刑が定められたが故に、人々は大まかに二種類に別れた。


隕石衝突を信じて、もはやこれまでと見限ってやりたい放題やった人間。もう一方は、隕石衝突に否定的でどれだけ衝突コースに入ったとしても耳を塞ぎ、明日を生きようとする人間。私は後者。


第三陣営として、莫大な資金で衝突後も生き延びようとする人間。これは少数派。


彼らは明日を生きるためには手段を選ばずやりたい放題。世界の金融が崩壊したのも彼らのせい。


第三陣営は主に、政財界に多くいる。首脳陣の支持を握る政財界は、あまりベセトアをよく思っていない。


そもそも、前者と第三陣営による後始末は、かなり尾を引くものとなる。テロも前者によるもの。物価高や失業も課題となり、回復の目処は立っていない。


まあ、私はこの世界からの脱出権を手に入れたわけで、ゴミみたいな今の地球はしばらく見ることはないだろう。


そういえば、あいつらにとっても、ベセトアはこの上なく余計なことした奴らだと思う。卒業するまでない命だと思ってはっちゃけてた。途端に死の懸念が無くなって、研究と就活地獄だろう。


あと、最近一同頭に包帯巻いて大学に来ているらしい。実に滑稽だ。その光景を見ることができないのは残念。写真撮って送ってくれた私の友達がうらやましい。友達は情報収集に使えるからいい。


まあ、そのことは痛み分けということにしておこう。そして、私はあれをやる必要がある。自己が招いた結果に苦汁を舐めている奴らに。メールを送っとかないと。


―「YOU LOSE」

 ベセトアに入ることになりました。

 衣食住ついて給与二十五万、完全週二日制、有給二十日、一日七時間労働に休憩一時間、定時退社、ボーナス二回。


「俺の勝ち!

 何で負けたか、明日まで考えといてください。

 そしたら何かが見えてくるはずです。

 ほな、いただきます。」


よし、あいつら全員に送信。もちろん一宮にも。


一部はすぐに返信が来た。


―自慢すんなアバズレ


―性格クズって話は本当だったんだな


―徘徊伝説は野垂れ死ね


散々な言われだったが、何一つ心に響かない。これが強者の余裕。私の登校許可が下りるのは夏休み明け。二ヶ月後くらいだったらどうせ忘れているでしょ。私に実害は出ない、はず。


私はルックス、スタイルは良い一方で性格はゴミだとよく揶揄される。自覚はある。


だが、直すつもりはない。直す労力を使うくらいだったら、自己利益増幅に努力する。


何はともあれ、私はおばあちゃんの老人ホームに会いに行く。一応セカンドオピニオンは聞く予定。あと、施設の人にベセトアの医療技術を受けるための話も聞く。


施設の人に案内してもらって部屋に入る。


「おばあちゃん、もしかしたら治るかもよ……?」


私は微笑んで語りかける。


おばあちゃんはベッドから身体を起こし、こちらを向いた。


「……そう。でも……わかってる治らないって……」


おばあちゃんは自分が認知症にかかっているとは認知している。だが、何を忘れたのかという自覚はない。諦めたような口ぶり。


「そんな事言わないで、宇宙人が治してくれるって」


外のことを記憶できないおばあちゃんに、わかりやすく説明する。


「なんで宇宙人が……治してくれるの?」


「私が宇宙人の仲間になって―」


私が言い切る前に、おばあちゃんはそっと私の手を握った。


「琴音、自分を売ったの……?」


心配そうに見つめてくる。


「そんなことないって、待遇もいいし、安泰……」


「琴音、人の為に善意を尽くすのはいいけど、その為だけに仕事を選んじゃダメ」


「……」


「しかも、仕事通して救うものじゃない……やめてとは言わないけど……本当に、良かったの?」


少し、心外だった。確かに、ベセトアの医療を受けれると聞いただけ、釣られてしまった。喜んでくれるという一心で引き受けた。


「……良かったよ。別にベセトアに入ったからって幸せになれないわけじゃないし、頑張っていくつもり。だがら、心配しないで」


私の言葉に少し驚いた様子だった。


「そう……。琴音がいいなら良かった。あなたはこれから多くの人と出会うと思う。でも、いつもみたいにしてちゃ、ダメだよ?」


「……わかった」


「私、生きてて良かった。安心して琴音を見送れる」


「……」


結局、おばあちゃんは頑なにベセトアの医療を受けなかった。本人の意志がない以上、ベセトアは医療処置を施せない。


そして、十二月三日に旅立った。これで私の二親等内の人間は居なくなった。遠縁を当たらない限り、親族はいない。


でも、後悔はない。今まで通り強く生きるだけ。元から一人のことが多い。


おばあちゃんは最後喜んでくれたのだ。死が必ずしも不幸ではない。


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