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68話 イチカ バチカ

壊滅的な被害を受けたというのに、目の前に群がっていたベンシルリッキの人々は無事だった。


「あなたが助けてくれたんですか……?」


崩壊した民家に誰かがこちらにやってきた。無傷。やりようによっては空襲はしのげる。


「生き残ったんですか……?」


にわかには信じ難かたい。近くには防空壕や堀など衝撃を防げるものはなかった。こいつ、幽霊の類かもしれない。


「はい、お陰様でみんなは無事です」


老人の市民の後ろに多くの民衆がいる。互いに無事だったことを喜び、泣いている。


「青い光が守ってくれました」


「光……?」


何がなんだかわからん。そんな全体防御装備はない。


「ひとまず、お前たちが無事で良かった。ゼヴェリアには向かえるか?」


「こんな瓦礫の中じゃ、私たち老いぼれは……」


「わかった。琴音、卯月を呼んでくれ。俺たちは他に無事なやつがいないか見回る」


言われた通り、オルガ大佐に連絡。そうして瓦礫の中、生存者がいないか徘徊。


前に来た広場の皇帝の像は倒壊している。市場も瓦礫によってなぎ倒されている。


道中、人は何人も見た。だが、大火傷を負った焼死体や身体のない瓦礫に潰された遺体が散乱。


少し歩いて宮殿に向かったが、至る所で崩壊しており、見るも無残な光景。


石造りの建物と空襲は相性が悪い。衝撃で瓦解してしまう。


かのドレスデンもなかなかの惨劇だったらしい。建物は粉砕されるわ、消火に使った水が地下に溜まるわで蒸し風呂状態。


そして、兵舎を通りかかった時、虫の息だった兵を見つけた。老兵と言うべきか。


兵舎の地下から自力で外に出てきた様子。兵舎の建物横に横たわっている。


「……」


「安城、この人まだ……!」


「助けるぞ」


火傷はないが、頭から出血。左腕と内臓も負傷している。


安城はインベントリから水色の液体が入った円筒ケースを取り出し、


「これを飲め。琴音はこれを身体に」


と、私に手渡し、老兵に液体を飲ませる。


言われた通り液体を老兵にかけるとみるみるうちに傷は塞がった。


回復薬の類だろうか。にしても回復速度が異常。人体の自然治癒のそれではない。


「……ありがとう」


「皇帝とか兵隊はどこに行ったんだ?」


「……文字通り蜘蛛の子散らすように逃げた」


身体が痛むのか、立てない様子。顔を顰める。


「奴らの追随を躱すために、ボズテペ将軍を東へおとりにゼヴェリアへ逃げた……」


「なんでここにいるんですか?」


「……生まれ故郷だからだよ。それ以上でも、それ以下でもない。気がかりなのは、ブルサ将軍に同行した息子だ。ここで帰りを待ちたい……」


ブルサ将軍の部隊、今のところ生存者はいない。でも、デェシュメック領付近の駐屯地に散開してたらしいから、望みはある。


「……行く場所は決まったな」




補機を吹かせて卯月は帝都郊外に接舷。船体各所のスラスターが微調整。


後方艦底部からハッチが開き、そこから避難民が搭乗。


結局、あの避難民と老兵以外、生存者はほとんどいなかった。いても十人弱。遺体は見える限りでは点在する程度だった。大半が逃げ切れたのだと信じたい。


「ご苦労だった。二人とも」


オルガ大佐は私たちに敬礼。海軍の士官制帽のバッジが輝く。


「でも、残りの音信不通部隊は追えてない。しかも空軍も動員されてる」


「わかった。空軍には大将がいる。あっちに情報を通達する」


安城の情報報告にオルガ大佐は対応。


「問題はどっちがどっちに向かったか」


東と西、二手に別れた。偽司令官であるジュストン中佐が音信不通部隊と同行するのは、無理がある気がする。


作戦中と同時に司令を下す必要がある。


故にジュストン中佐か、音信不通部隊かで別れたはずだ。


正直、賭けになる。外れればロスタイム、被害は拡大するだろう。


「大規模な攻撃作戦にはこの卯月を以て制止させた方が得策だと思う」


オルガ大佐の意図は、音信不通部隊相手には卯月をぶつけるという話。


「でも、ジュストン中佐はどう拘束するんですか? 二つ返事で止まる相手じゃない」


「……」


「……」


どちらも考えあぐねている。


「まだ拘置所なるものは出来てないんだ。各なる上は……」


「上は……?」


オルガ大佐に何か策がある様子。


「総統に捕まえてもらう」


オルガ大佐はかしこまった表情で発言。


「……どういうことだ?」


「総統は単純に言えば、シールドを剥がしたり、どこにいるか探知できたりする」


「でも、連絡がつかないんじゃ……?」


「そこなんだよなぁ……」


安城の反論にオルガ大佐はしかめっ面で言い返せなかった。


「今って日本だと深夜四時……、わかった。オルガさん、ヒンベルってどこに住んでるんですか?」


「ん〜と、本拠地のすぐ近くだったはずだ」


顎に手を当てて答えた。


「わかった、賭けに出る。卯月はゼヴェリアに進路をとって、味方分隊をボズテペ将軍に向かわせて」


「ちょい、ま――」


私はデヴィースの大使館に向かった。

ご視聴頂きありがとうございます


週末の報告は久々ですかね


まあいつも通り、どうでもいいので読みたい人だけ読んでください


公募用に再編するにあたって、意外と根本から変えないとダメみたいな試算で参ってました


公募用を逆輸入して修整もしたいんですけど、しばらく先ですかね


チャットgptにこの物語の情報入れて、その見解を聞いて修整するって感じで本文は人間が書いてるのでご安心を


まあ、なんか問題は琴音の主人公性とその根底にある意志、動機って感じで、私が琴音を完成させるにあたって色々参考にしたキャラがいるのですが、


自身で考察、分析した結果、ことごとく内向的で受動性の上で主人公性が成り立つキャラばかりで苦戦を強いられてます


まあ、何とか琴音の性格や思考を変更せずに本質的目的を発見できたので、後はどう表現するかってくらいですかね


あと、誠に遺憾ながらだいぶ物語の根幹に関わる人が保管庫行きになりました


「保管庫行き」の意味はググれば一発で出てくるはずです


それでも、その人に代わるキャラ濃い人を立てる予定です


面白そう、続きが気になる、と思って頂ければ


ぜひとも作品フォローをお願いします


最新話から評価できるので星をつけていただけると作品更新の励みとなります


よろしくお願いします

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