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50話 順当な予算を求める

安城と私はヒンベルに言われるがまま、作戦室のすぐ隣、コントロールルームに誘われた。


「今回下りた予算は、一億ポトル。今日本円で一億二千五百万くらい。これで職員を雇ったり兵器買ったりすること」


ポトルとはベセトアがもたらした通貨。なんでも、ベレウゼで使われた通貨だとか。


「無償提供じゃないのか?」


「職員は基本給に加えて戦時は、特別作戦日当貰うから。あと、キルレ高い人には追加報酬もある」


「キルレて」


キルレなんてFPSゲームでしか聞かない。まるで一方試合を行うような口ぶり。


「兵器もまだ量産体制じゃないし、資源とかはまだ地球から買ってるしね。あ、戦艦だけは無償提供だよ」


「ベンシルリッキって結構陸地多いぞ。使えるのか?」


「陽電子砲はダメだけど、魚雷と機銃はいいよ」


地上で魚雷を使うんだな。何とも頭が悪い。まあ、宇宙戦艦を自称しているのだ。ミサイル並の飛行を見せるのだろう。


「何がいい? ほとんど兵装は変わらないけど、艦長が違うくらい」


資料がヒンベルから届く。開いて見ると数隻の艦艇が映し出される。


ローニ級有人航宙戦艦


――――


※読まなくていいです


小ネタは仕込まれますが、多分気づかないです


わかったらコメントでもなんでも教えてください


――――


諸設定

全長:636m

全幅:132m

全高:200m

主装甲帯:625mm

甲板装甲:353mm

砲塔正面:500mm

主機関:アンリアルエンジン

補機:反物質反応炉

作戦実行最小乗組員:50人

最大許容収容人数:5000人

武装

4連装53cm陽電子衝撃波砲塔×4基(前方甲板2基、後方甲板2基)

機銃:2連8cm陽電子機銃×40基(前方両舷3基、後方両舷3基、艦橋付近対空兵装両舷6基、船体側面両舷8基)

艦橋防衛パルス機銃×2基

速射反物質魚雷発射管×16門(前方両舷4門、後方両舷4門)

艦橋下短魚雷発射管×10門

連装短距離ミサイル発射管× 24門(前方両舷8門、後方両舷4門

多目的ミサイル発射管×4門(艦橋付近前方両舷2門、後方両舷2門)

艦首2連装拡散アンリアル砲

艦橋カタパルト×2基


うわ〜。すごい、仰々しい。あまりの字面に全高までしか目は読んでくれなかった。


作戦投下可能艦艇


212型


ツルカ

ミニネール


211型


卯月


210型


ヨハルネ

ジェシース

アヤネル

カナメナ


209型


シズカーン

クルミル

メイザース

メメン

チヨネ


「何とか型ってあるけど全部変わらん」


言われてみれば、艦名に貼付されている画像の宇宙戦艦の写真は、どれも全部同じ。


まったく同じ形に、まったく同じ漆黒。話に聞いた通り、量産型。となると、判断基準は……。


「どの艦長が――」


「じゃあ卯月で頼む」


「は?」


「わかった」


多分、名前だけで選び上がった。


「あんた慎重に選べよ」


「卯月って日本の艦艇だろ? やっぱそっちの方が慣れ親しみやすい」


予想的中。


「ここぞとばかりに綺麗事を……」


「船はいいとして動かす人手についてだが、一人いくらだ?」


「二等兵なら日当五千。一等、上等はそれぞれ一万、二万。将校クラスは五万超える」


これはなかなか。長期化しようものなら、すぐに予算切れ。短期決戦を必要とされる。だが、あんな弱小文明に対して手こずるかって言われたら、そんなことはないだろう。


「二等兵でも三千は生きてんでしょ? なら二等だけで十分じゃない?」


地球や普通の人間は、始めて三年、五年内は初心者、三十年超えればベテランと言われる。一方、ベセトアの二等兵は三千年。熟達具合は地球の平とは比べ物にならないだろう。


「それもそうだな」


「それはナンセンスだよ、anj」


「気持ち悪い呼び方するな」


「部隊をまとめる長は必要だよ。頭がなきゃ、連携に欠ける」


言われてみれば、合理的な考えだ。団体行動をする以上、指揮を執る人間は、小さな一個部隊にも必要だ。


「あと、ベセトアに二等兵、一等兵は基本いないよ。全員上等兵以上だから」


「末端切り捨てたの?」


「いや、ファータロスでエーリム派に入る人少なすぎて新兵が入んない」


後継がいなかったんだな。


というか、突如として最低賃金は四倍に跳ね上がった。


「そして、兵器は桁違い。魚雷一発五百万、短距離ミサイル、砲弾なら五十万。銃弾もだいたいワンマガ五百」


「じゃ、かなり節約しないと厳しいな……」


魚雷二十発撃てば、資金は蒸発する。魚雷数発、砲弾を多めに買う必要がある。もちろん、銃弾も忘れずに。


「まあ、こんなこと言ってるけど、設備維持費で軽く三割吹っ飛ぶから気をつけてね」


「実質七千万ってこと?」


「そういうこと。あと、人数で変わるけど、食糧配給でもう二割は消えると考えていい」


社会保険料よろしく、どこに行っても金は天引かれるのが定石らしい。私の給料も、日本に税金として天引かれている。社会人になって、驚くほど引かれている。


「そういえば、隊員の小銃は? それも買うの?」


だとしたら予算は死ぬ。


「いや、既に貸与されてるから無償」


「よかった……」


「小銃と言えば、デェシュメックにも武器提供するなら、かなりかかるよ。量産体制整ってないし、地球の方から輸入しないと無理」


「武器ってどのくらいだ……?」


「一般的なアサルトで二十万はいくかな」


「マズくない……?」


「マズいな……」


予算ケチり過ぎ。どうやれと。多分、デェシュメックの軍にも武器提供するなら、あっという間に予算切れだ。


というか、予算一億は馬鹿げている。アニメ制作1クールでも二、三倍は予算が出る。


「でもまあ、どの道勝つからいいでしょ。玉砕突撃とか素手撲殺多用すれば、時間かかっても倒せる」


「あ、これ言い忘れてたけど、君たちはベンシルリッキを日没から次の夜明けまでに降伏させてもらうから」


「……は?」

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