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19話 はぐれ者は逃げ出した

私とヒンベルの考えは一致した。正直かなり考えづらいが、もしかしたら。


仮にそうだとしたらどうやってここまで……? 多分そいつは、人格だけの来たのではなく身体もそのまま来ている。


「同族として文句言いに行きたいね」


「それは同感」


そいつのせいで、私たちに日本人が風評被害に遭っているのは辞めさせたいところ。


「そしてここに私たちの居場所はないね」


「そうだね」


ここにいるだけで両者踏んだり蹴ったりだからいても仕方ない。


「素晴らしい提案をしよう。君もバックレないか? 見ればわかる、社会への不順応具合、至高の領域に近い」


ヒンベルが変なノリで私に懇親会をドロンすることを打診してきた。とてもじゃないが組織のトップとしてあるべき姿ではない。


「何言ってんの、当たり前じゃん」


当然、私の出す答えは一つだ。二言はない。


「バックレる」


「いいだろう」


☆


私たちはその勇者ってやつに会いに行くことにした。そいつはなんでもコントーレ西部マドレーヌ領のフィゼナって街を根城にしているらしい。


そのためフィゼナから最寄りのワープポイントにワープした。マドレーヌ夫人が誘致した新設の港。車道はアスファルト、歩道はコンクリートで舗装され、整備された区画に高層ビルの建設現場が並んでいる。


ベセトアが直接置いた駐留施設から出ると、もはや現代地球の先進国の都市の光景だった。


ちらほらと高さ二十~三十階建てのビルが完成している。道路や工事現場には日本にあるのと変わらないミキサー車やクレーン車が待機。


私たちは歩道に沿って海岸の方へと歩く。潮の匂いを感じる。ノイキャンで消されないくらいの潮風も吹いている。


「どこ行くの?」


「三千年も昔から使われてる戦艦」


「三千年!? ってことは災厄の時から使ってるってこと?」


ヒンベルたちは確か三千年先の未来から来てる。そして今の時間軸前後で災厄が発生したとのこと。


「そうだよ、改修とかしてテセウスの船だけど、本当に三千年前から使われてる」


しばらく歩道を歩くと、ふ頭に入る前からその巨体は見えた。


漆黒の身体にそびえ立つ艦橋、そして大艦巨砲主義を想起させる主砲が目立つ。


主砲は四基、前後にそれぞれ二基。そして四門の巨砲を備えている。


艦橋下の側面はハリネズミのように機銃が生えている。上方は一基に付き四門、下方は一基に付き二門。上方は下方より多少大きい。艦橋部にも複数の機銃が張り巡らされている。


更に近づくと邪魔な建物は視界から消え、全体が見えた。しかし、その時ちょうど視界に収まるほどのサイズ。およそ六百m以上はある。


漆黒で見えづらかったが、至近距離で見るとスラスターやミサイル、魚雷発射管のようなハッチが船体から浮かんできた。


この戦艦に視点を合わせると、人と同じように詳細を表示する選択肢が現れた。押してみる。


「日本宇宙海軍『空母赤城』……?」


この表記を見て違和感が走った。ベレウゼの船ではない、それに他にも……。


「これ赤城って言うの?」


「そうだ、赤城だ。宇宙戦艦赤城」


ヒンベルはそう言って赤城に乗艦した。


艦内は近未来チックという感じで照明は廊下の天井と足元にあり、両サイドの壁には病院みたいに手すりがある。おそらく艦内重力制御が利かなくなった時に、それを伝って活動するのだろう。


にしても新品というか、あまり使われていない様子。床は少々くすんでいるが、掃除はされている。手すりだってほこりかぶってない。


「この赤城ってほんとに三千年前から存在したの?」


「……そうとも言えるし言えない、テシウスの船。聞くに昔はこんな無個性の量産型みたいな見た目じゃなかったらしい」


ヒンベルは外の景色が見える窓から海を眺めながら、何やらスマグロで資料を調べ始めた。そして画像が送られてきた。


かつての水上戦艦赤城を彷彿とさせるデザインで、船体に青いラインが入っている。航宙母艦として航宙機の離着陸の甲板がある。


「それが今は戦艦……と」


「新天地に着いてから改修はできたけど、資源難で細かなパーツや配色は経費がかなりかかってね。衰退したエーリム派、ベセトアの前身には寸分違わず改修するってのはできなかったんだよ」


「だからあの時見た戦艦は全部そっくりだったんだ……」


突如宇宙戦艦が日本に集結した時、二隻のラインの入った巨大戦艦を除き、形も配色も全て同じだった。


「一番艦とかも昔は上品に輝く白姫戦艦とも言われたけど、今じゃおぞましい黒色戦艦だよ」


「あの大きな戦艦?」


「ああ、災厄当時の最新鋭艦ケンテプロッテ級。五十余りが建造されけど、ベセトアが保有してるのは一番艦とその姉妹艦一隻だけ。他は全て沈んだよ」


災厄の時、駆り出されたのかな、今いるタイプの宇宙船と共に。量産型と聞くからもっと膨大な数の有人艦と無人艦があったのだと思う。しかもベレウゼって色んな異世界と交流があって、そこでも作られてたらしいし。


私たちが赤城の廊下を歩いていると向こうから白衣の女性がこちらにやってきた。


エマさんだ。

視聴頂きありがとうございます


次回から試験的に午後9時10分に投稿します


面白そう、続きが気になる、と思って頂ければ


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最新話から評価できるので星をつけていただけると作品更新の励みとなります。


よろしくお願いします。

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