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 同時に2つの封印魔法が体を覆いつくしていきました。


 地龍の力でもあらがうことはできませんでした。

 不満の声が聞こえました。



「これで終わりじゃないからな……。オレを封印なんてできるはずがないんだから……」



 スチュアート少年が銀のナイフを私の胸に刺していました。

 私が封印されていきました。


 最後に、妻の泣いている姿を見つめていました。

 スチュアート少年の声がしました。



「あなたも一緒に封印させてもらいます……」




 そうして、私は封印されました。

 私と地龍は封印された空間の中にいました。




 最後の光景を思い出しました。

 妻の姿でした。


 彼女は私の姿を見つめていました。

 泣いていたのです。

 こうして偽の勇者としての旅が終わったと思いました。



 ただ、地龍は不満そうな顔をしていました。

 ねてしまったようです。

 私は笑ってしまいました。

 まあ、自分らしく生きたのではないかという気がします。


 地龍は私の顔を見てくれません。

 しかし、私の心が揺らぐのを待っているようでもありました。


 きっと、私が勇者として生きようとしたら、その感情を利用されて、地龍に飲み込まれてしまうことになると思いました。ただ、自分が偽物であったから、そのようなことが起きることはありませんでした。地龍と一緒に封印されることができたと思っていました。



 たまに、私は地龍に声を掛けようとしました。

 でも、地龍は何も話してくれません。


「封印されているのだから、もう、お前と話すことはない……。それに私はどうも会話というものが馴染なじめないから。人間以外の生き物だったらみんなそんなことを思っているはずだな……」



 そう言うのでした。


 そのため、私は黙っています。

 すると、それも地龍にとっては不満であるようでした。

 ぶつぶつと独り言を話していました。


「私が魔力を与えてやったというのに……」


 と、文句を言うのです。


 その言葉を聞いて、私は魔力のことを考えていました。魔力とはいったい何だったのだろうかと。実際、私は魔力に興味を持つことがなかったのです。



 きっと、誰もが魔法を使って、夢のような生活をしたいと思ったはずです。きっと、地龍からしたらその夢をかなえただけなのかもしれないと思いました。



「お前は世界から恨みを買うことになるだろうな……」



 と、地龍が言いました。

 地龍は私のことをあざ笑っていました。




「ところで、最後に、泣いていた女のことはどう思っているんだ?」



 地龍の言葉が聞こえました。


 ふいに、私の心の中をのぞいたかのようでした。

 地龍の頬が緩んでいました。



「おやおや、おかしなことが起きているな。どうやらあの女がこちらに向かってきているみたいじゃないか。こんな封印された空間にまで来るとはな……。お前は愛されていたのだな。退屈しのぎにからかってやろうじゃないか……」




 地龍の声がしました。

 ただ、私は返事をしませんでした。



 きっと、嘘なのです。地龍は虚言を吐いて、動揺させて、私の心に入り込もうとしてくると思いました。


 その時、地龍の魔法が私を覆い尽くしていきました。


「これは嘘ではないぞ。あの女はお前を追いかけてきている。ただ、言葉にするのも非常に億劫おっくうなものだと思うようになってきたわ。人間というのはどうしてこんなに言葉というものを使いたがるものなのだろうか……」


 

 さらに、地龍の力が強くなっているようでした。

 



「まあ、よい……。では、お前の魂を勇者の魂と入れ替えてみようじゃないか……。本当の勇者としての人生を歩んでみるんだな……そうすればお前も気持ちを変えることになるだろうさ……。ああ、そうだ、良いことを考えたぞ。お前を追いかけてきた女と、魔族の王女の魂と交換してみようじゃないか……これは面白そうだ……」



 地龍の声が聞こえていました。


 段々と、封印された世界が消えていきました。

 私は宿屋のベッドで寝ていました。

 


 鏡を見ました。



 そこには勇者の顔が映っていました。


ありがとうございます!!

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