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偽の勇者⑦ 一滴の血

 妻の背中が見えました。

 

 

 彼女の腹にナイフが刺さっていました。その光景を見ると、私の体は熱を持っていました。沸騰しそうな熱さを感じていました。その熱を抑えることができませんでした。


 妻を見て、アスレスを見て、何度となく、2人の顔を交互に見つめました。それは怒りのようでした。感情が制御できなくなっていました。怒りで震えていました。最後に、私はアキレスの顔を見つめていました。



 その時、妻の声が聞こえました。


「残念だったわね……、あなたの望みを叶えることはできないわ……」


 アスレスが暴れていました。

 妻が彼の体を押さえつけているようでした。

 

「ふざけるな……そこをどけ!! 私たちがどんなに虐げられてきたのか、魔族であるお前たちなんかにわからないんだよ!!」


「そんなことはないわ……前のことだけど、勇者と王女様はあなたたちのような存在を作らないようにと努力していたのよ……」


「それは知っている。ただ、地龍の力にあらがうことすらできなかったんだろう……お前らができるのはその程度のことだってことさ……さあ、どくんだ!!」


 しかし、妻はアスレスを放しませんでした。

 諭すように話していました。


「そうじゃないの……。私たちは魔族と人間との関係を良くしたいと思っていたのよ。あと1つだけ言っておくけど、王女様はまだ諦めてないのよ……」


「へえ、そうかよ。じゃあ、お前も王女のいるところに連れて行ってやる!!」



 アスレスはナイフを抜き、妻に向けて右手を振り上げていました。

 しかし、アスレスの手が吹き飛びました。



 次の瞬間、アスレスの頭がなくなっていました。

 私が攻撃したようでした。

 

 私の体が真っ赤な血のように変わっていました。

 肉体が熱くなってきました。


 

 妻が倒れていました。

  

 

 私は妻を見つめていました。

 大丈夫か、と私は声をかけようとしました。

 しかし、それは無理でした。



 気が付くと、私は戦場に立っていたからです。

 

 

 どうしてこの場所にいるのか、私には理解ができませんでした。私は戦場の真ん中に立っていました。近くでは南の国の兵士と北の国の兵士たちが戦いをしてました。


 戦いの中を歩いていきます。

 私の手から一滴の血が落ちると、兵士が消えていきました。

 次々と兵士が消えていきました。


 魔法というより、特殊な攻撃のようでした。

 300人ほどの兵士が消えました。


 巨体の兵士が大きな斧を振り下ろしました。

 次の瞬間、大きな斧と巨体の兵士が消えていきました。


 地面には一匹のヒルが動いていました。

 その生き物は地面を移動していき、兵士たちに絡みつくと、彼らは粉々に崩れ落ちてしまいました。


 内部に力がみなぎっていることが分かりました。

 私の声が聞こえてきました。


「やっと、エネルギーを吸収できたな……。これで体を自由に動かすことができそうだ……そろそろ剣でも使用するか……」



 右手を水平方向に軽く振りました。

 直線が引かれたように空気が切断されていきました。 

 その線に触れると、近くにいる兵士たちが真っ二つに切断されていきました。

 100メートル先の兵士まで切断されていきました。

 

 アティーナがその攻撃を受け止めました。

 既に、スケルトンの兵士はすべて消えていなくなっていました。



 アティーナの声が聞こえてきました。

 彼女は怒っていました。



「どうして私に攻撃しているのよ!!」



 不満を口にしていました。

 しかし、私はふざけているようでした。

 ワザと困っているかのような顔をしているだけでした。


 その時、ユウマの声が聞こえました。

 アティーナの肩を叩いていました。 


「こいつはオレの仲間なんだ。ここからはオレが対応をさせてもらえないだろうか?」


「え、あなた誰?」

 と、アティーナの声が聞こえました。


「オレか? じゃあ、オレの説明をさせてもらおうか。オレは世界を愛する者であり、世界が笑顔で埋め尽くすことを願う者さ。誰一人、悲しい顔をさせないため、オレは戦わなくてはならないんだ。だから、あなたのような美しい女性は戦うべきじゃない。さあ、勇者、オレが相手をしてやるよ!!」



 それを聞いて、アティーナは返事をすることができませんでした。

 彼女の顔が赤くなっていました。



「う、うつくし……、まあ、いいわ……。ここはあなたに譲ってあげる……」




 ユウマが私の方に歩いてきました。


ありがとうございます!!

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