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偽の勇者⑥ 混血魔族の思い

 私は言いました。


「ねえ、君にお願いがあるんだ。どうやら私は地龍の力を手に入れてしまったみたいなんだ。ただ、自分では地龍の力を制御をすることはできそうにない。だから、私を封印してほしい……。そうすれば、君が探している魔族の王女だってよみがえらせることができると思うんだよ……」


 私は妻に依頼をしました。

 

 ただ、彼女の顔を見ることができませんでした。戸惑いがあったからです。こんなことを頼むべきではないという気持ちもありました。しかし、自分の力では制御することはできなくなっていました。


 既に、モグラは消失しています。

 代わりに私がその場所に立っていました。

 

 

 ただ、私は地龍の呪いの力で押し潰されそうになっていました。


 その時、私は勇者が魔族の王女を封印した理由が分かった気がしました。

 大事な人を守ろうとしたのです。

 自分にそのようなことができるのか、まったくわからなくなっていました。


 意識は不安定になっています。ずっと、内部に強い魔力を感じていました。その力を抑えることはできそうにないのです。誘惑の声が聞こえてきました。地龍の力があれば本当の勇者にだってなれる、そんな声が聞こえてくるのです。段々、その声が大きくなっていました。きっと、地龍の力を人間が押さえ付けることなどできるはずがないのです。


 

 私は自分の意識を保つことで必死になっていました。

 すると、妻は立ち上がっていました。


 妻が私を睨みつけていました。

 怒っているようです。


「なんで……どうして……あなたはそんなことを言うの……、本当に、ふざけないでよ……、いつも、あなたが自分勝手なことを言って、いったいどれだけ私が悩んでいたか、全然、わかっていないのね……絶対、私はあなたを倒すことなんてできないわ………」



 彼女は泣きそうな顔をしていました。

 その顔を見ると、何処かで安堵をしていました。



 その時、アスレスの声が聞こえました。

 彼は私を指さしていました。



「ふざけるな………お前が、地龍様の力を手に入れただと……。そんなことがあるものか……いったい、地龍様を何処に隠したんだ!!!」



 既に、私の周りには数十人の混血魔族の兵士が取り囲んでいました。



「お前ら、こいつを捕らえろ!!」



 アスレスの声が聞こえてきました。

 兵士が武器を構えます。

 特殊なアイテムを持っているようでした。


 1人の女性兵士が歩いてきました。


「ごめんなさいね。恨みはないけど、あなたに拘束させてもらうわ……」

 

 突然、女性の長い髪が蛇に変わりました。

 地面をうように複数の黒い蛇たちが向かってきました。

 黒い蛇たちが私の体を覆いつくしていきました。



 1人の兵士が風神の力を宿した盾を天にかざしました。周辺に風の壁ができていました。別の兵士が金色にきらめいている爪をを付けて私の方に走ってきました。

 大きなたかのような翼で兵士が飛び上がり、バラのような三又みつまたの鞭が地面を打ち鳴らしました。複数の兵士たちから水の魔法が放たれてきていました。



 攻撃が私に向かってきました。

 ただ、巻き付いている黒い蛇のせいで、攻撃を避けることができませんでした。

 攻撃を受けるとかすかな痛みを感じます。

 とっさに、私は黒い蛇たちを振りほどこうとしました。


 私の手から魔力が放たれていました。

 凄い力です。

 気が付くと、兵士たちの半分が消失していました。

 


 消失した兵士たちを見ると、残った兵士たちは攻撃を止めました。

 呆然と立ち尽くしていました。



 その時、妻が私に声をかけました。

 

「どうしてしまったの? あなたがこんなことをするなんて…………」


 妻の声が聞こえました。

 それを聞いて、私は返事をしようとしまいた。

 しかし、声が出ませんでした。

 身動きができなくなっていたからです。

 体が硬直しているのを見ると、妻が戸惑っているようでした。

 

「いったい、どうしたの……」


 その時、笑い声が聞こえました。

 アスレスの声でした。


「はははっ……や、やったぞ……、とっておきの魔法が効いたみたいだな……お前らよくやった……さあ、地龍の力を手に入れるのだ……この力は誰にも渡すものか………………」


 視線を向けると、足元には魔法陣がありました。

 アスレスの魔法のようでした。

 私を捉えるための魔法をを狙っていたようでした。



「さあ、私に地龍の力を渡すのだ……。私たちの平和な世界を作るためにな……」



 そう言うと、アスレスが走ってきました。

 ナイフを突き刺そうとしています。

 アスレスが迫ってきた時、私は目を閉じていました。


 次の瞬間、ナイフの音が聞こえます。

 ゆっくりと目を開けました。


 すると、私の前に妻が立っていました。

 私をかばって、妻がアスレスのナイフを受けていたのです。


 私は震えていました。  


ありがとうございます!!

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