偽の勇者② モグラの話
「調子に乗りやがって、この野郎。偽の勇者ふぜいがにおかしなことをしやがって………」
崩れ行く空間から大きなモグラの声が聞こえてきました。
その声を聞いて、私は笑っていました。ただ、私の胸には大きな穴が開いていました。
段々、空間は崩れていきました。
私は真っ暗な空間にいました。
この空間には魔族の王女が封印されているようでした。
王女が眠っていました。
その時、私の意識が壊れていました。
「ハハハッ、ハハハッ、わ、私は勇者なんだ……、世界を救わなくてはならないんだ……」
そんなことを口走っていました。
大きなモグラの魔力がこの空間を侵食してきていました。
次第に、意識が戻ってきました。
どうしてこんなことになってしまったのか……
私は激痛を感じました。
私は世界を救わなくてはならないと思いました。
眠っている魔族の王女の所へ向かいました。
本当の王女を封印するためでした。
ただ、ふと思います。本物の魔族の王女を封印して全てが解決できるのだろうかと、しかし、いまは勇者を演じるだけと自分に言い聞かせることにしました。その後、どうなるか私が判断することではないと思いました。
痛みがある体を引きずっていきました。
呼吸が荒くなります。
私の胸の傷は致命傷になっているようでした。
ずっと、回復魔法で治療をしていました。しかし、長く持つことはないと思っていました。その前に王女を封印しなければなりませんでした。
その時、体が動かなくなりました。
激痛を感じます。
右足に視線を向けると、大きなモグラが私の右足を潰していました。
モグラの声が聞こえてきました。
「やっと捕まえた。絶対、お前を許さない……少し、からかってやっただけなのに、こんなふざけたことをしやがって……」
モグラの顔は怒りに満ちていました。
次に、左足が潰されました。
うぎゃあぁぁぁ……
うめき声を上げました。
モグラの声がしました。
「お前さぁ……。ちょっと見ていたけど、自分のこと勇者だと言ってるみたいじゃないか……それを見て、からかってやったのに……こんなことをするなんて絶対に許さないからな……あと、1つ、良いことを教えてやろう……絶対に、この世界に勇者は生まれてこない。何故だかわかるか?……わからないだろう……。じゃあ、教えてやる……勇者の力は、オレが封印しているからさ…………」
そう言い、モグラは笑っていました。
ただ、私は言葉を発することができなくなっていました。
「まったく、勇者の振りなんてしやがって……、このまま放置しても死んでしまいそうだがな……。まあ、最後はオレの体の一部にしてやろう!!」
モグラが私の頭を掴みました。
大きな口を開けると、私の体を一飲みにしてしまいました。
ぐしゃりと体がちぎれる音がしました。
全ての感覚を失いました。
その時、私は夢を見ました。
その夢は国王様との謁見のようでした。
偽の勇者の夢でした。
私は世界平和のために旅に出ることになりました。
今、王様との謁見をしています。
謁見の間にはアティーナ、ギルド長、ジャン・リュック・ブランド、ボウリッグの鬼人の2人、さらにたくさんの近衛兵たちが集まっていました。
ありがとうございます!!




