モグラの森④ 妻との会話
私たちはモグラの森に向かって走ってました。
その時、魔法使いの老人が杖を振りかざし、木の枝でユウマの足に絡ませました。
身動きができなくなっていると、近くで爆発が起き、私たちは吹き飛ばされてしまいます。
ユウマの声が聞こえてきました。
「勇者、こっちは何とかする!! お前は自分の信じた道を進め!!!」
地面に叩きつけられると、しばらく息ができなくなりました。額から血が目に入ってきましたが、手で血を拭い、這いつくばってモグラの祠に向かっていきました。
荒野からは戦いの音が聞こえてきました。
負傷兵が森の中に運ばれてきます。
治療班が兵士たちを回復させていますが、負傷した兵士の数は増えていくばかりでした。
私は茂みに隠れて移動していました。
ただ、足の傷が悪化したらしく、右足から大量の出血していました。
傷のせいで、既に足の感覚がなくなっていました。
段々、意識も不安定になっていきました。
さっき、ポーションでも盗んできたらよかったのにと、そんなことを考えてさえいました。
その時、誰かが私の足を掴んだのです。
顔を上げると、亜人の真っ黒な影が私の足を掴んでいました。
私をモグラの森の奥へと引きずっていきました。
暗い森に入りました。
そこにはたくさんの亜人の影がいました。
気がつくと、亜人の影たちに取り囲まれているようでした。
私を森の奥の方へと運んでいきました。
湖の畔まで来ると、亜人の影が消えていきました。
すると、水の底からぬるっとした黒い影が現れてきました。
黒い影が水上を滑るように移動してきます。
黒い塊は私の近くまでやってきました。
大きな口を開けると、影の中に私は飲み込まれていきました。
抗うことはしませんでした。
きっと、闇の中に妻が待っていると思ったのです。
黒い影に飲み込まれて、私は真っ暗な闇に覆われた世界にいました。
そこには亜人たちの影がさ迷っていました。
それを払い除けるように私は闇の中を這いつくばっていました。
妻の声が聞こえます。
――あなた、何でここに来たの……
声のする方に視線を向けていました。
そこには大きな壁がありました。
闇で作られた壁のようで、たくさんのひび割れができていました。その向こう側から妻の声が聞こえてくるようでした。
私は声を掛けてみました。
「ここにいたんだね。ずっと探していたんだよ……」
――うん、ありがとう。でもね……、あなたは逃げた方が良いわ……
「逃げ? え、何を言っているの?」
――私は、やっと、探してた人を見つけられそうなの。だから、あいつが来るのを待っているの。きっと、あいつが来たら大変なことが起きると思う。その前に、あなたはここから逃げてほしいの……
壁には小さな隙間がありました。
そこから中を覗くと、うずくまっている妻の姿がありました。下を向いているため、表情を確認することができませんでした。
「ねえ、あいつって誰のこと?」
私は尋ねました。
――大丈夫、気にしないで。あなたを危険な目に会わせたくないの……ただ、私は世界を元に戻そうとしているだけ……
「世界を戻そうと。そう言えば、小さい頃、同じことを女性に頼まれたことがあったな……。そうだよ、あの時のことを思い出したんだよ……」
――そう。じゃあ、あなたも同じね。ただ、ここからは私が対応をするから、あなたは森から出ていってほしい……
「待って、自分も手伝うよ。それに怪我をしててさ、もう体を動かすことができなくなっているんだよ……」
すると、妻の声が聞こえてきました。
――じゃあ、その場所で休んでいてほしい……終わったらすぐに戻ってくるから……
妻の声がしました。
段々と、妻の歩く足音が小さくなっていきました。
黒い壁が崩れ、暗い闇がなくなりました。
闇が消えると、私は湖の畔に取り残されていました。
私は一人になっていました。
亜人たちの影はなくなっていました。
妻の姿は見つかりません。すぐに、彼女を追いかけなくてはならないと思いました。
しかし、私は怪我をしています。
どうやっても体を動かすことができませんでした。
その時、私は決心をしました。
3匹のゴブリンの小説を取り出しました。
私はゴブリンになることにしました。
魔族の力であれば体を動かすことができると思ったのです。
妻を追いかけなければなりませんでした。
ありがとうございます!!




