モグラの森③ 過去の呪い
古い、とても古い、過去の映像が私の視界に入ってきていました。
その光景を見つめました。
それは過ぎし日のモグラの森のようでした。
人々が集まり、森の中で祭りをしている姿がありました。
楽しそうな声が聞こえていました。
――さあ、聖なる水を飲む時間です。この水を飲み、あなたは祠に行くことになりますよ……
と、老人の声が聞こえてきました。
瘦せ細った男性は頷きました。
水を飲むと、男性は祠の後ろにある階段を下りていきます。一度、石の祠の前で立ち止まり、近くにいる男性に声をかけていました。
――これから私は儀式に行くことにします。ただ、どうか、家族のことはよろしくお願いいたします…………
そう言い、瘦せ細った男性は祠の中を歩いていきました。
水滴が落ちてくる音が聞こえてきました。
寒いのか、男性の体は震えていました。
しばらくして階段が終わると、崖のような場所を下っていきました。深い闇が続いています。ふいに、男性は手を滑らせ、落下していき地面に叩きつけられました。
しばらく男性は起き上がることができませんでした。
彼は泣いていたようです。
すると、大きな塊がこちらに歩いてきました。
大きな塊の声が聞こえました。
――何だっていうんだ。久しぶりに眠ろうとしたのに、地上がうるさくて眠れやしねえ。ほう、ほう、人間の匂いがするな、もう貢ぎ物の時期か……。ただ、オレは眠りたいんだ。食事を取るなんて気分じゃねえしな。今回は見逃してやる……
大きな塊の顔が男性を見つめていました。
大きな塊はモグラのようでした。
――そうだ!! お前に人間では手に入らないほどの魔力をやろう。その代わり、騒がしい人間たちの首をはねてこい!! それをしなかったらお前は呪いを受けることになるからな!!!
モグラの声が聞こえると、視界は元の世界に戻っていました。
さっきの祭りの映像は何だったのか……。呪いとは何だろうか、いや、ゴブリンの呪いに違いないと思いました。ただ、詳しいことはわかりませんでした。
戦いに視線を向けると、ユウマは騎馬兵の相手をしていました。
馬車から逃げだしたゴブリンたちの姿が遠くなって、アティーナがゴブリンたちを追いかけていきました。
ユウマの声が聞こえてきました。
「俺はこの戦いを止めに来た!! 勇者、お前も俺たちを手伝ってくれないか!! 情けない顔をしてないでさ!!!」
魔法使いの老人が魔法詠唱をしていました。
ユウマは大剣を構えています。
その時、私はユウマに言いました。
モグラの森に連れて行ってもらいたかったのです。
「お願いです。あの森まで連れて行ってくれませんか?……」
「え、森だって? あそこに何かがあるのか?」
「わかりません……。ただ、行かなくてはならないのです。きっと、何かを変えることができると思うんです……」
何の根拠もない話でした。
ただ、どうしてもモグラの森に行きたいと思いました。
「わかったよ。じゃあ、オレが連れて行ってやるさ!」
ユウマは私と少年の祖母を担ぐとモグラの森に走っていきました。
たくさんのゴブリンの後を追いかけていきます。
きっと、あの場所に何かがあると思いました。
それを確かめたかったのです。
私たちは荒野を走っていました。
荒野では戦争が起きていました。魔法攻撃が飛び交って、空には戦闘用に訓練された魔物たちが炎の息を吐き、地面で騎馬兵が走り回っていました。ゾウのような大きな動物がいて、その上で兵士たちが弓矢を放っていました。その腹の下をくぐり、森の方へと走っていきました。
その時、破裂音が聞こえました。
衝撃波により、私は空高く吹き飛ばされていました。
ありがとうございます!!




