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モグラの森① コイキング

 キーテ少年が泣いていました。

 

 部屋の中で爆発が起き、たくさんの粉塵が舞っていました。意識がもうろうとしていました。まったく、自分の足が動きません。鉛のように重く、意識は途切れてしまいそうでした。



 部屋は装飾品の残骸が散乱していました。うめき声が聞こえてきます。

 その中、キーテ少年と祖母の2人が私を運んでいました。



 引きずられながら、どうにか魔法学院の外に出てきました。

 たくさんの人々が集まっています。


 爆発した方向を見つめているようでした。

 かき分けるようにして、電灯の下までたどり着きました。

 

 そこで休むことにしました。

 電灯の明かりが道路を照らしていました。2人は疲れきっていました。その時、子供の泣き声が聞こえてきました。視線を向けると、兵士たちがたくさんのゴブリンを馬車の中に乗せているようでした。



 とっさに、私たちは塀の陰に隠れることにしました。

 兵士たちは牢屋に閉じ込められていたゴブリンを馬車に乗せていました。その時、1人のゴブリンが逃げ出してしまい、慌てた顔をして兵士たちが追いかけていきました。


 追いかけている兵士たちが私たちの横を走り抜けていきました。



 すると、馬車の周りに兵士は誰もいなくなりました。

 私たちは身を隠すため、ゴブリンがいる馬車に隠れることにしました。もう動くだけの体力が残っていなかったのです。


 馬車に乗り込むと、ゴブリンは不安そうな顔をしていました。ただ、騒ぎにはなりません。ゴブリンたちにはそれだけの気力が残っていなかったのです。キーテ少年の祖母が横になり服を千切った布で私の足を縛ってくれました。足からの出血が収まってきていました。


 しかし、疲れ果てて、何も考えることができません。体が寒くて、このままでは死んでしまうのではないかと思いました。私の姿を見て、ゴブリンたちが不安そうな顔をしていました。「大丈夫ですか?」とゴブリンの声がしました。しかし、私は返事をすることができませんでした。


 外を見ると、満月の明かりが町を照らしていました。遠くには城の幻影が見え、先端の展望台が月に照らされていました。



 薄れそうな意識の中で、忘れていた記憶のことを考えていました。



 いったい、泣いていた女性は誰だったのかと……

 


 ふいに、魔族の王女ではないかと思いました。しかし、どうしてあの場所にいたのか、私には理解をすることができませんでした。


 少年の祖母が私に語り掛けていました。

 ただ、いつの間にか、私の意識が途切れてしまったようでした。


 


 冷たい風が吹き、ふと私は目を覚ましました。

 目を開けると、ゴブリンたちが死人でも見るように私のことを見つめていました。


 夜が明けたらしく、兵士たちが交代の点呼をしていました。

 勤務交代の声が聞こえてきました。


 その時、ゴブリンの子供たちの歌が聞こえてきました。



 歌は、コイという王様の歌のようでした。

 飛び跳ねることしかできない、コイという王様の哀愁が歌われていました。



 飛び跳ねることしかできない、と歌っていました。

 きっと、異世界人の歌なのかと思いました。


 どうしてそんな歌を歌っているのか、と私は尋ねてみました。ゴブリンたちは町で人気になっている歌だ、と言いました。



 私たちはその歌を聞いていました。

 

 

 

 

 夢うつつにいると、兵士の声が聞こえてきました。顔を上げると、別の馬車にゴブリンたちを乗せていました。


 

 兵士たちの声が聞こえてきました。


「これから戦争がはじまりそうだ」とか、

「ゴブリンたちを戦場まで連れて行き、敵国の戦士もろとも爆破する」とか、

 そんな話をしていました。

 

 ゴブリンたちは泣き出していました。

 しかし、誰も兵士たちに抗うことはできません。



 しばらくの時が経っていました、

 兵士長から指示があり、私たちのいる馬車が走り出しました。


 城門を出ました。

 

 

 大きな荒野が見えてきます。

 たくさんの柵が建てられ、戦闘用の布陣を組まれていました。




 遠距離用の弓矢の準備をしていました。

 その光景を眺めながら、私たちは馬車の荷台で揺られていました。


 おんぼろの馬車がひどく揺れていました。

 走っていると、右の方にモグラの森が見えてきていました。

 

 段々、北の魔法都市の形が見えなくなりました。

 突然、馬車が止まりました。

 馬を走らせていた馭者ぎょしゃが下りていき、馬車から馬を離すと、その馬に乗って城の方へ逃げていきました。

 

 

 私たちは馬車の中から出ることにしました。



 数人のゴブリンが私を降ろしてくれました。

 その時、遠くの方からたくさんの足音が聞こえてきました。


 私たちは足音のする方に視線を向けました。

 すると、遠くの方に1万以上の軍勢がこちらに侵攻してきていました。兵士たちが剣を取ると、私たちに向かって進んできました。


ありがとうございます!!

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