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キーテ少年の冒険⑥ 祭壇

「ああ、こんな美しい夜に戦いなんてするべきではないと思うんですよ。そう思いませんか?」



 ギルド長の声がしました。

 体は痛々しく、酷い拷問を受けていた跡が残っていました。



「何故、お前がここにいるんだ……!」


 ギルド長の姿を確認すると、バレット師団長が叫んでいました。

 ギルド長は困った顔をしていました。


「まあまあ、待ってください。私だって来たくてきたわけじゃない。勇者様が来ているというから仕方、いや、無理やり、私は連れてこられたんですよ……。仲間は何処にでだっているんですから……あと、言っときますけど、私はキルケ大魔導士の信者ではありませんよ。私は異世界人なんですから……」



「なんだって、異世界人とはなんのことなんだ……」



 と、バレット師団長が驚いた顔をしました。

 ただ、その顔を見ると、ギルド長は悲しそうな顔をしていました。

 



「いや、実際、転生者というべきかもしれません。私のことを変人であるとあざ笑う人もいるでしょうね……。そう、そうだ、勇者様、あなたはキルケ魔導士からUFOを知っているかと聞かれましたか? ずっと前、聞かれたことがあるんです。はっきり言うと、異世界にもUFOなんて物は存在していません。だって、UFOは未確認飛行物体っていう意味なんですから。わかりますか? いや、こんな話をしても理解はしてはくれないのでしょうね……」



 ギルド長は椅子から立ち上がろうとしていました。

 ただ、足が折れているようでした。



「この世界に来た時、私は勇者になりたいと思っていたのです。自分が選ばれた存在であると信じていました。そんな時、魔法学院では異世界人を捜していると聞き、この学院に来たのです……それなのに、私は勇者になることができなかった。さらに異世界人と信じてもらえなかった。それは、UFOを知らないと言ったからです。結果、くだらないギルドを束ねるだけの男になってしまいました……気が付いたら、何もかも無意味なものになっていました。もう、ずっと前に昔の名前も忘れてしまいましたしね……」




 ずっと、ギルド長は独り言を呟いていました。

 最後に、全てを終わりにしたい、という言葉が聞こえてきました。


 

 勇者になりたかった……

 

 

 そう呟くと、ギルド長は手に持っていた鉄の球を握りしめていました。

 その途端、大きな爆発が起きました。

 

 

 破裂音が聞こえました。


 


 その時、私は我に返ったのです。

 子供の頃、村の祭壇に忍び込んだ記憶が蘇ってきていました。



 ◇ ◇ ◇



 あの日、祭壇の中で1人の女性が泣いていました。

 私は泣いている女性に声をかけたのです。

 

 

「え、あなた、私の姿が見えるの……」



 女性は驚いた顔をしていました。

 私は頷きます。

 

 

「どうやらモグラが眠りについているのね。でも、すぐに目覚めるはず……。もう、勇者はあいつに殺されてしまったに違いないわ。ねえ、あなたに私に残っている勇者の力をあげる。どうかこの世界を元に戻してほしい。それが私たちの願いなのだから……」

 

 女性の姿が消えると、私は自分の家に戻りました。

 何も考えることができず、柿の実をもぎ取ると1人で食べていました。

 渋い柿の実を食べると、そのまま眠りにつきました。

 

 

 次の日、いつものように目を覚ましました。

 しかし、まったく鉄を叩く音が聞こえてきませんでした。

 すぐに、自分の家から出ました。

 何となくですが村の様子が変わっていることに気が付きました。



 ◇ ◇ ◇

 

 

 ふいに、その記憶が蘇ってきたのでした。

 

 私の頭が混乱していました。



 塵が舞い上がっています。

 爆発のせいです。

 

 

 何も見えませんでした。

 ギルド長が爆弾を破裂させたのです。


 怪我をしたらしく、が動かなくなっていました。

 キーテ少年の泣き声が聞こえます。

 2人の盾役になったらしく、私以外、少年と祖母の2人に怪我はなさそうでした。

 

 

「キーテ、早くしなさい! 勇者様を運びますよ……」

 

 少年の祖母の声が聞こえました。

 その横でキーテ少年が泣いているようでした。


ありがとうございます!!

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