表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/70

キーテ少年の冒険② モグラの森

 夕暮れが訪れる頃、私たちはアパートメントの小さな部屋に着きました。

 部屋の壁にはランタンが掛けられており、その明かりが部屋の中を照らしていました。


 部屋に案内されると、窓際にある椅子に座っていました。

 小さな木製のテーブルには作成途中であるパッチワークの布が置いてありました。その布に触らないように、窓の外を見つめていました。窓際には綺麗な花の植木鉢が置かれてあり、その向こうには暗くなってきた町の景色が見えました。



「あなたが勇者なんてね……」


 少年の祖母が料理をしながら、私の顔をマジマジと見つめていました。


 しばらくすると、夕食の時間になっていました。

 テーブルのランタンに火が付けられ、山羊の肉が置かれると、キーテ少年がその肉を嚙り付いていました。

 

 食事をしながら、モグラの森には行きたくない、と少年の祖母が言いました。

 何故かと聞くと、『モグラの森』の話をしていました。




 それは50年程前のことでした。

 祖母が小さい頃の話です。

 

 その頃、モグラの森には多くの蛇が生息していました。蛇の皮はよく売れ、結果、たくさんの猟師たちが森に集まるようになっていました。


 猟師たちは地主に雇われ、この町に出稼ぎに来ている人たちばかり、大半は森の中で生活をしていました。毎夜、川辺で食事をしながら古風な歌と踊りをしていました。段々と彼らの踊りに誘われるように、近くに住んでいる下民たちが集まるようになると、毎日のように宴が行われていたということでした。

 

 ただ、森はぬしであるモグラが管理していました。多くの蛇もモグラのエサであったのです。しかし、多くの人々がモグラのことを忘れていました。


 冷たい風が吹き始める頃、森の中で異変が起きていました。早朝、近くに住む村人がの森を訪れると、たくさんの頭部のない猟師たちの死体が放置されていました。



 森のぬしであるモグラが激怒していると気が付きました。

 


 その日から、森はひっそりと静まり返り、猟師たちの笑い声が聞こえなくなりました。しばらくして、大きな石塚が建てられたというのです。小さかった頃の祖母は恐怖でしかなく、1度も森に入ることはなかったということでした。


 

 モグラの森の話を聞いていると、次第に、部屋のランタンのともしびが小さくなりました。

 キーテ少年が灯油を取りに部屋の外に出ていきました。


 

「あれから、どのぐらいの月日が過ぎたのかしら。まだ、あの森に入るのは怖い気がするわ……」

 と、少年の祖母は言いました。



「それなら、どうして森に行くのですか?」

 と、私は尋ねました。

 

 祖母は笑っていました。

 

「あの子が行くというなら仕方がないんです。だって、あの子は私にとっての最後の宝なんですよ」



 祖母は腰が痛くて子育ては大変だ、と陽気に笑っていました。

 それでも、キーテ少年だけは守らなくてはならない、と話していました。



「おばあちゃんは心配しなくていいんだよ。ぼくはスチュアート君と一緒にモグラの森には何度も行っているんだ!!」


 キーテ少年の声が聞こえてきました。

 ランタンに灯油を入れると、急いで、少年は自分の椅子に座りました。

 


「そういえば、昨日の話だけど、スチュアート少年は他に何か君に話をしていなかった?」

 と、キーテ少年に聞いてみました。


「うーん、何だっけな…、えーと、騙されていたとか、逃げた方が良いとか、そんな話をしていた気がするけど、よくわからないや。ただ、スチュアート君はすっごい急いでいる感じでした。すぐにいなくなっちゃったし……」



 そう言うと、キーテ少年は腕組みをしていました。

 少年は思い出そうと必死になっていました。




 トントン



 その時、ドアを叩く音が聞こえてきました。



「突然、申し訳ございません。そこに勇者様はいますでしょうか?」


「はい、何でしょうかね?」

 と、祖母が返事をしました。


「いま、この国ではクーデターが起きようとしています。勇者様、私たちに力を貸しては頂けないでしょうか!!」



 切実な声が聞こえてきました。

 ドアを開けると、近衛このえ師団長、バレットが立っていました。


ありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ