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キーテ少年の冒険① 魔法の杖

「では、明日の戦争のための準備をしなくてはなりませんね……」


 案内役の魔導士の声を聞こえてきました。

 私は2人の後ろを歩いています。



 魔法学院では大きな声が聞こえており、たくさんの学生たちが戦争の準備をしているようでした。治外法権の場所なのかもしれません。部屋を出る時、キルケ大魔導士が窓からその光景を見つめていましたが、全く興味がなさそうで、ぼんやりと紅茶を飲んでいるだけでした。きっと、戦争についても、ゴブリンのことも、大魔導士には何の興味も持つことはないようでした。



 その後、魔法学院を出ると、用事があると言い、鬼人は姿を消していました。

 異世界人を連れてくる準備をするのだと思いました。



 近くの公園のベンチに座っていました。


 公園にはたくさんの人が集まっていました。芝生の上にいる親子連れが昼食をとっていました。大きな木の下に集まり、ワインを飲んでいる老人たちの楽しそうな声が聞こえてきました。

 真っ白い屋根の家があり、2階にいる男性がチェロを弾いています。隣の窓が開いて1人の若い女性が歌をうたっていました。



 ずっと、私はスチュアート少年の部屋にあった本を見つめていました。


 きっと、本を読むとゴブリンになるのだと思います……



 手に持っている本を見つめていると、この公園の平和な時間は幻想でしかないと思えてきました。ポケットにある青い石の欠片を握りしめながら、私はそそくさと公園を出ることにしました。



 スチュアート少年の屋敷に戻ってくると、1人の少年が私に声を掛けてきました。

 少年は背が低く、スチュアート少年より1、2歳年下であると思います。


「あの、ごめんなさい。今日、スチュアート君の家に来たんですよね? 昨日、スチュアート君に頼まれたことがありまして……」

 と、少年は言いました。



 とっさに、私はカバンの中に『3匹のゴブリンの物語』の本をしまうことにしました。

 少年は自分の名前をキーテと言いました。



 スチュアート少年の友人であるとのことでした。

 昨日の朝、スチュアート少年から1つの頼みごとをされたというのです。

 


 スチュアート少年が彼の元を訪れて、モグラの森に隠しておいた魔法の杖を持ってきてほしいと依頼をしてきたというのでした。話を終えると、急いでいるのかスチュアート少年は何処かへ行ってしまったと言うのです。その時、スチュアート少年は勇者である私のことを話していたというのでした。

 

 

 

「ぼくはモグラの森に行かなくちゃいけなくて。どうか、勇者様、手伝ってもらえませんか?」


 私はキーテ少年に問いかけました。


「ねえ、君は、スチュアート少年が何処にいるかわかりそう?」



 キーテ少年は首を左右に振りました。

 きっと、魔法の杖はスチュアート少年が取りに来るというのでした。



「勇者様、どうか、ぼくと一緒にモグラの森に来てください……」



 キーテ少年は手を合わせて、私にお願いしていました。

 その時、少年の名前を呼ぶ声がします。


 

「キーテ、何をしているの? そろそろ夕食の時間だから一緒に帰りましょう!」



 その声がする方に視線を向けると、そこには50代ぐらいの女性が立っていました。

 しかし、キーテ少年は不満そうな顔をしていました。

 

 

 

「おばあちゃん、止めてもダメだよ。僕は勇者様と一緒にこれからモグラの森に行くんだからね!」

 

 キーテ少年はふくれっ面をしていました。

 それを見ると、祖母は諭すように声を掛けてくれました。



「あなた、あんな危険な所に行ったらすぐに死んでしまうわよ……」



 祖母は呆れた顔をしていました。

 それでも、キーテ少年は納得していませんでした。



「いつもいつもぼくのやることを止めようとするけど、もう勇者様と話をして決めたことだからぼくは森に行くからね!」




 そう言うと、キーテ少年は私の後ろに隠れてしまいました。

 どうやら、私に助けを求めているようです。

  


 

「そうなの、勇者様なら仕方がない。そう言うことなら、私も一緒に行きましょうかね~。ただ、今日は夕暮れだから、家で休んで明日行きましょう。今日の夕食はあなたが好きな山羊やぎの香草焼きよ」




 祖母は笑顔で、キーテ少年を見つめていました。

 

 

 

「え!! 山羊やぎの香草焼き!? じゃ……、じゃあ、仕方がないな……。今日は、家に戻ることにするよ!! ばあちゃんも来たいなら一緒に来ればいいよ!! 勇者様、今日はぼくの家でゆっくり休みましょう!!!」


「ありがとうね、じゃあ、今日は帰りましょうね」


 祖母の声がしました。

 そう言うと、2人は自分の家に帰ろうとしていました。



「あなたも一緒に来るのよ!!」


 キーテ少年の祖母が私の手を引っ張ってきました。



 まだ、私は何も話していませんでした。

 いつの間にか、私は彼らと一緒にモグラの森へ行くことになったようでした。


「さあ、早くいきましょう!」


 祖母の声が聞こえてきました。

 やむなく、私はキーテ少年の自宅へと向かうことにしたのでした。


ありがとうございます!!

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