ギルド長の計画② 戦争の計画
アティーナとギルド長は別の部屋に案内されました。
後ろをバレット師団長が付いて行きます。
2人がいなくなると、兵士たちが一緒にいる3人のゴブリンたちを捕らえました。
ゴブリンたちは必死に抵抗しようとしていましたが、兵士たちが足と腕をつかみ、そのまま檻の中へと放り込んでしまいました。
「何故、ゴブリンたちにこんなことをするのですか?」
私は兵士に聞きました。
「何をしているかですって? どうやら勇者様はご存知がないようですね……」
兵士が語りかけてきました。
「ゴブリンたちは南の国によって呪いにかけられているのです。もちろん、私たちは同胞を憎んでいるのではありません。憎むべきは南の王立国家です。正義の鉄槌を下さなくてはならないのです。全て、大魔導士さまのご指示通りなのです。全ての呪いは南の町へと送り返すことになるのです!!」
冷静な口調ではありましたが、兵士の声は怒りに満ちていました。
その声を聴くと、私は返事をすることができませんでした。もしも、ゴブリンたちを人間に戻すことができればと思いました。しかし、呪いのせいでそれはできませんでした。
段々、ゴブリンたちの泣いている声が聞こえてきました。
すると1人の兵士が私に声をかけてきました。
「ここにいても仕方がありません。さあ、勇者様、フランソワーズ伯爵の家までご案内させていただきます」
どうやら兵士たちがフランソワーズ伯爵の家の場所を案内してくれるようでした。
その言葉に従い、少年の家に向かうことにしました。
それは呪いの真実を知るためでした。
城下町を歩いていると、肉の焼けるおいしそうな匂いと、血気盛んな声が聞こえてきました。
家畜の生産量が多い地域のようで、店にはたくさんの家畜の肉が売られていました。
雑踏をかき分けるように1人の女性がよろよろと歩いて来ました。誰か、私の息子を知っていますか? と言いながら、歩いている姿を見つめていました。
目はうつろで、食事をとっていないのか、彼女の頬は痩せこけていました。
町の中を歩きながら、ゴブリンになってしまった子供を探しているのかと思いました。
それを見ても、何もすることができず、私は先に進むことにしました。
住宅街の中を歩いていくと、とても大きな屋敷が見えてきました。
屋敷はフランソワーズ伯爵の家のようでした。
入口の門をくぐり、中庭を通り抜けると、兵士が屋敷の呼び鈴を鳴らしました。
しかし、返答はありません。
「誰かいませんか?」
声をかけながら兵士は窓の中を覗こうとした時、兵士の後ろに1つの影ができていました。
そこには鬼人の女の姿が立っていました。
即座に、3人の兵士がバタバタと倒れていきます。
兵士は草むらに隠されました。
鬼人の女の声がしました。
「ギルド長の指示であなたの元に来ました。私たちは北の魔法都市と戦争をするつもりなのです。勇者、どうか、あなたの力を貸してもらいたいのです!!」
やはり、南の城の兵士のようでした。
私は草むらに隠された兵士たちの姿を見つめていました。
「戦争ですか…」
「そうです。ただ、詳しい話は屋敷の中に入ってからいたします」
鬼人の女が器用にドアの鍵を開けました。
屋敷に入ると掃除中だったのか、箒が置かれ、その横に水が入っているバケツが置いてありました。どなたかいませんか、と問いかけてみましたが、返事が返ってくることはありませんでした。階段の踊り場にある花瓶に花が飾られていました。ただ、だいぶ枯れているのか花びらが絨毯の上に落ちていました。
呪いのせいで、誰もが逃げだしたに違いないと思いました。
正面には大きな肖像画が掛けられていました。
スチュアート少年の父親らしい人物の肖像画がこちらを見つめていました。
大きな髭を生やした白髪の男性が描かれています。
私はスチュアート少年を探すことにしました。
その時、隣にいる鬼人の女の声が聞こえてきました。
「私の名前はボウリッグ・スターレンと言います。勇者であるあなたに魔法学院にいる大魔導士キルケに会ってほしいのです!!」
その声を聴きながら、私は屋敷の中を歩き回っていました。
次々と部屋を開けていきました。
「私たちは戦争に勝つ必要があるのです。大魔導士キルケは複数の魔獣を操り、いままで戦闘にて甚大な被害を被ってきました。ただ、彼は異世界人に強い興味を持っております。勇者によって異世界人が目覚めたことに関心を抱いているようなのです。どうか、大魔導士に会っていただきたいのです!!」
隣で鬼人の女の声が聞こえてきました。
しばらくして、私はスチュアート少年の部屋を見つけました。
少年の姿はありませんでした。
ただ、魔法の本が散乱して、食べかけのぶどうの房が散らばっていました。
少し前まで、スチュアート少年はこの部屋にいたのです。
机の引き出しを開けてみました。
そこには『3匹のゴブリンの物語』の本がありました。
私はその小説を手に取りました。
ありがとうございます!!




