森のゴブリンの治療②
森の中に入ると、兵士が付けた木々の道しるべに沿って歩いていきました。
しばらくの間、森の木々の間を歩いていきました。
目的地の待機所に着くと、たくさんの兵士が集まっていました。
その横にゴブリンの死体が並べられていました。
その光景を直視することができませんでした。
やりきれない怒りがありました。
さらに、この場から立ち去りたいという気持ちが溢れてきました。
逃げるように待機所を抜け、その先に進むことにしました。
森の中に1人の兵士がいました。
兵士はゴブリンの体に剣を突き刺そうとしていました。
アティーナが兵士に命令をします。
「待ちなさい! 殺さないで! ゴブリンに用事があるの。そのゴブリンをこっちに連れてきなさい!!」
兵士は不満そうな顔をしていました。
やむなく、兵士はそのゴブリンを連れてきました。
私の前にゴブリンを置きました。
「ゴブリンに用があるんでしょ? 自由にして良いわよ……」
そう言うと、アティーナが近くの木の下に座っていました。
私のことを見つめていました。
きっと、何をするのか確かめるつもりなのだと思いました。青い石の欠片を握り締めていました。これは秘密にしておくべきだと思いました。ただ、このままゴブリンが殺されるのを見ていることはできませんでした。
私はゴブリンに触れてみることにします。
傷だらけの体でした。
治癒魔法と、青い石の欠片を使用してみることにしました。
青い石の欠片が光り始めました。
段々、青い石の欠片の力によって、ゴブリンの周りが光で覆われていきました。
ゴブリンが人間に変わっていきます。
その光が収まると、そこに1人の少女が倒れていました。
少女は泣いています。
やはり、人間がゴブリンに変えられていたのです。
ゴブリンが人間に戻っていました。
すると、ザイールが来て、少女の顔を真剣に見つめていました。
「おいおい、なんてこった。こりゃ、サイモンさんのところの娘じゃねーか!!」
ザイールの声が響いてきました。
ゴブリンが人間に変わるのを見ると、びっくりしたようにアティーナが立ち上がっていました。
呆然と、彼女は立ち尽くしていました。
さっきの兵士は腰を抜かしてしまい、その場に倒れ込んでいました。
その時、草むらの中から声が聞こえてきました。
「ああ、何てことをしてしまったんだ……」
視線を向けると、一匹のゴブリンが立っていました。
ゴブリンは森の中に逃げていきました。
アティーナがゴブリンを追いかけていきます。
しばらくして、アティーナがゴブリンを引きずるように戻ってきました。
ゴブリンの声が聞こえました。
「放してください。どうか放してください。ぼくは村に住むジョセフ兄さんの弟なんです。どうか、助けてください……」
それを聞いて、アティーナはゴブリンに質問をしていました。
「ねえ、本当に、あなたは人間だったりするの?」
「え、ああ、そうです。でも、何も悪いことなんてしてませんから……」
「悪いことってなに? 村の人たちはあなたたちがいなくなって心配しているのよ。ちゃんとわかっているの?」
「え!? そうなんですね。じゃあ、怒ったりしていなかったですか?」
ゴブリンは心配そうな顔をしていました。
「怒っているわけないじゃない。村の人は心配してたわ」
それを聞いて、ゴブリンは安心したようでした。
アティーナが私の顔を見つめていました。
「ねえ、勇者、あなたなら人間に戻せたりするの? この子も戻してあげたら?」
私はゴブリンに視線を向けていました。
ゴブリンは不安そうでした。
人間に戻れるのに、どうしてそんな顔をしているのかと思いました。
すると、ゴブリンの声が聞こえてきました。
「待ってください! ぼくには呪いにかかっているんです。人間に戻るとその呪いが家族に向かうと聞きました。どうか、ぼくを人間に戻さないでください!!」
ありがとうございます!!




