ゴブリン少年
亜人たちの歌が聞こえました。
民族の祈りのようです。
亜人の歌は大地の声であり、水や風まで、その歌と共鳴しているようでした。
亜人たちの歌が聞こえる方へ向かうことにしました。
妻がいるはずだと思ったのです。
森の中をどのくらい歩いたのか、夜になっても歩き続けていました。疲れ果てて、森を抜けて草原に着くと私は倒れてしまいました。
夜の景色を眺めて、亜人たちの歌を聞いいていました。
まだ、妻を見つけることはできません。
体力が戻ると、私は森を歩きました。
気が付くと、そのまま私は眠っていたようでした。
既に、疲弊していました。
ずっと、私は歩き続けていました。
数日が過ぎていていました。
意識を失ったかのように眠りについてしまいました。
起きると、また歩いていました。
そんな日々を繰り返していたのです。
気が付くと、私は眠っていました。
疲弊していました。
その時、誰かの声が聞こえてきました。
「助けてください……」
何度も、誰かの声が聞こえました。
夢ではないと思い、私は立ち止まることにしました。
「助けてください……」
遠くから声が聞こえてきました。
誰の声だろうかと思い、私は声の聞こえる方向へ歩いていきました。
草原の中を歩いていき、その声がする近くまで来ました。
背丈ほどの雑草をかき分けると、そこには緑色の足が見えていました。
一匹のゴブリンが横たわっていたのです。
私は立ち止まりました。
ゴブリンは魔族と共に絶滅したと聞いていたせいです。
ここにいるはずがないのです。
ゴブリンは苦しそうな声を発していました。
怪我をしているようでした。
右足からたくさんの血が流れています。
よく見ると、足に弓矢が刺さっていました。
その矢を抜くと、ゴブリンのうめき声が聞こえました。
毒矢ではないようです。
私はその矢を投げ捨ててしまいました。
治療のため、私はゴブリンの足に触れました。
人間と同じようです。
ただ、とても冷たいのです。
氷のように皮膚が冷たく、とっさに手を放そうとしました。
触れていた部分が光を放っていました。
もう一度、私はその部分に触れてみることにしました。
その時、誰かの声が聞こえた気がしました。
私は顔を上げます。
しかし、誰もいませんでした。
当然です。
私の声が聞こえます。
その声は私の声だったのです。
突然、私は魔法の詠唱をしていました。
口が勝手に動き、知らない魔法を唱えていました。
何故、魔法を唱えているのか……。
必死に、自分の口を閉じようとしました。
それなのに、感情すらない私の声が聞こえてくるのでした。
言葉から禁術だと思いました。
魔法の詠唱を続けていくと、段々と皮膚を刺すような痛みを感じました。
茨の刃が心臓を刺しているような痛みを感じました。
ズボンのポケットにある青い石の欠片が光を放っています。
破片が輝き始めると、その光がゴブリンを覆っていきました。
段々と、ゴブリンの姿が変わっていきました。
人間の姿に変わっていきます。
数分後、光が収まっていきます。
すると、そこには1人の少年が倒れていました。
ゴブリンが1人の少年になったのです。
その少年は貴族のような恰好をしていました。
「どうして……どうしてこんなことに……」
小さな、小さな、少年の声が聞こえてきました。
ありがとうございます!!




