魔王城にて⑤ 黒猫②
愛でていた黒猫がいなくなってしまったせいでしょうか。
魔人は泣いていました。
ただ、魔人は攻撃を始めました。
泣きながら、魔人はユウマを攻撃していました。
召喚の契約により、魔人は召喚師の命令に従わなくてはならないのです。魔人は立ち止まることもできず、大きな拳を振り回すことしかできませんでした。自分の体を制御することができませんでした。
ただ、感情をなくしたように、魔人はユウマの顔を殴り続けていました。
ユウマの顔の形が変わっていきます。
その光景を見ると、妻の声が聞こえてきました。
「あんたさ~。剣を使うより素手で戦った方が良いと思うわよ!!」
妻はアスレスと対峙しています。
その声を聞いて、ユウマは不満そうな顔をしていました。
「そんなことねー!! オレは剣士なんだ! それに、ここに来る前、オレはたくさんの人の幸せの言葉を聞いてきた。それを聞くと、オレは数倍の力を出すことができるのさ。オレはそんな幸せなスキルを持っているから大丈夫なんだ!!!」
ユウマは大剣を振り回しています。
傷だらけになっても、ずっと、彼は剣を振るっていました。
「へ~、ただ、全然、強くなってないけどね……」
「わかってねーな。人間の心って言うのはそういうものじゃねーんだよ。よーく見てやがれ!!」
ユウマは剣を振り続けています。
ただ、何故か、彼は剣の攻撃を魔人に当てないようにしていました。
横では妻がアスレスと戦っています。度々、ユウマの姿を確認しているようでした。きっと、何かあれば手助けしようと思っているようです。
ユウマは妻のことに気が付いているようでした。
「こっちばっかり見ているんじゃねー! オレはこんなやつに負けることなんてねーんだからな。ただ、お前が邪魔で倒せてねーだけだ」
「じゃあ、魔人を倒してから、私の手助けをしてくれないかしら?」
「もちろんだ。待ってやがれ!!!」
そう言いましたが、何度も魔人のパンチを食らうと、ユウマはその場に倒れてしまいました。
「くそっ、魔人さ、悲しい顔をするんじゃねーよ! オレは悲しい顔をしているやつを殴ることができねーんだわ……。魔人、お前が泣いている限り、オレはお前を殴ることができなねー……」
泣いている魔人を見ると、ユウマがそう言いました。
それを聞いて、魔人はたじろいでいました。
とっさに、殴ろうとする拳を止めようとしました。しかし、召喚者の指示には従わなくてはならないのです。
魔人はユウマを殴り続けていました。
強く握った拳を振り下ろします。
ウマは立っているだけの状態でした。
その時、ユウマの前に一匹の黒猫がやってきました。
魔人の飼っていた黒猫です。
黒猫を見て、魔人は殴る手を止めようとしました。しかし、もう止めることができなくなっていました。
バチン!! という音が聞こえてきました。
その時、ユウマの左手が魔人のパンチを受け止めていました。
「お前、笑いやがったな……。コノヤロー……」
そう言うと、ユウマが笑っていました。
魔人も笑っています。
次の瞬間、ユウマは魔人を殴りました。
魔人は空高く飛んでいき、何処かへ消えてしまいました。
その途端、ユウマは膝をつきました。
「ほら、見たか!! お前の力なんていらねーんだよ……」
ユウマは傷だらけの姿です。
彼はゆっくりと右の拳を上げました。
ありがとうございます!!




