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魔王城にて④ 黒猫①

「ほほう、私と戦うつもりですか……この混血魔族と。くっくっくっ、なんて愚かな人たちなのでしょうね……」



 アスレスが2人に話しかけてきました。

 彼は笑っていました。



 その時、一羽のカラスが飛んできます。

 アスレスのところに来ると、耳元でコソコソと話し始めました。


 会話の内容が聞こえてきました。

 


「え!? 前にいるのは南の城で暴れていた女性で、その横にいる男性は勇者の仲間だって!! 勝てないから逃げた方が良いって言うのかい!?」


 うんうんと、カラスは頷いていました。

 アスレスは腕組みをして、前にいる2人の姿を見つめていました。



「いやいや、待ってくださいよ。私だってそれなりに強いはずです……こんなやつらに負けるはずはないのです……」



 カラスは私たちを監視していたようです。だから、私が勇者であると思ったのです。そう思うと、私が偽物の勇者であると告げたら、全てのことが解決するのではないかと思いました。



 そう思っていると、突然、妻がアスレスに殴りかかりました。




 ズドン!!!!!





 凄い音がしました。

 教会の右半分が木っ端みじんになりました。

 大きな壁が消失すると、遠くにある青々した山々が見えています。



 間一髪のところで、アスレスは攻撃を避けました。

 ただ、あんぐりと口を開けたまま、アスレスはその場に立ち尽くしていました。

 殺されることろだった……という表情をしていました。


 すっかり、彼は戦う意志を失くしていました。


 もう一度、妻がアスレスを殴ろうとしています。

 慌てて、アスレスが妻を止めました。



「ちょ、待って! 待って! 待って!!!」


 

 アスレスの息が荒くなりました。

 すぐにカラスはその場から飛び去っていきます。



「ちょっと待って、待って、はあはあ……。なんか2人はずるくないですかね。それだったら、私も仲間を呼ばせてもらいたいですね……」


 アスレスの声は震えていました。


「いいわ、早く呼びなさいよ」

 と、妻の冷たい声が聞こえてきました。


 アスレスは震える手でシャツのカフスボタンを掴みました。

 ボタンには大きな宝石が装飾されています。

 


「後悔しても許しませんよ…。最強の戦士を召喚してあげます!!!」



 宝石を砕くと、結晶から大きな魔人が現れました。

 その魔人は絵本に出てくるランプの精のような強靭きょうじんな姿をしています。

 

 

 ただ、魔人はかわいい黒猫と戯れていました。

 タイミングが最悪でした。

 魔人はヘラヘラした顔をしており、黒猫を抱きかかえると、ふさふさの猫の頭をなでているのです。


「マリンちゃんはかわいいですね~~」


 と、魔人の声が聞こえてきます。

 

 数秒後、魔人は自分が召喚されたことに気が付きました。

 呆然と周りの光景を見つめています。

 

「ふぎゃぁああああ~!!!!」


 突然のことで、黒猫がびっくりして走り去っていきました。



「ああ、マリンちゃ~~~~ん!! 待ってくれぇ~~~~~!!!」



 魔人は猫が走り去っていく方向に手を伸ばしていました。

 しかし、戻ってくることはなくて、黒猫は魔王城の外へと走り去っていきました。



「ああ、ああ~~、あ、ああ~~~~~~~~待って、待って~~~~~~~~~」



 声にならない魔人の声が聞こえてきました。

 黒猫がいなくなると、ずっと魔人は天井を見つめていました。

 

 



「モノレ・グランパ様、こいつらです!! こいつらのせいで、モノレ様をお呼びしたんです!!」


 アスレスが魔人に声を掛けました。

 それを聞くと、魔人は真っ赤な顔をしてこちらを睨みつけていました。



 魔人は泣いているようでした。


ありがとうございます!!

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