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魔王城にて① 追跡者

 ユウマは王女について何も知らないと話をしていました。

 それを聞くと、妻は落胆をしているようでした。

 


 ユウマが訊ねました。


「魔族の王女のことなんだろ、だったらさ、お前の方が王女についてよく知っているんじゃないのか?」


「もちろん、あなたよりは理解をしているつもりよ。ただ、誰に向かってお前なんて言っているの!」


「ごちゃごちゃ、小さいことにうるせーなー。こっちは突然、目が覚めて、何が起こっているのかもわからないんだ。もう少し、この世界で何が起きているのかを教えてらいたいもんだよ」



 2人は言い争いを始めていました。


 ただ、その途中で妻が真剣な顔をしていました。

 妻の声が聞こえました。



「どうやら、わたしたち、誰かに監視されているみたいね……」


 妻が真剣な顔をしていました。

 ユウマお声がしました。


「いったい、お前ら何をしたんだよ?」



 それを聞いて、私は昨日のことを話すことにしました。


 昨日の夜、私たちは食事をしながら南の城で起きたことを話していました。

 それを聞いて、ユウマは笑っていました。


「オレがお前たちの罪を晴らしてやってもいいんだぜ!!」


 ユウマが言いました。

 過去の勇者のパーティーだから、何か方法があるのかと思いました。きっと、無罪とはいかなくても情状酌量を貰えるぐらいにはしてくれるかもしれません。しかし、その話を断ることにしました。



 兵士たちと大立ち回りをしていたのは事実なのです。

 これ以上、この話をすることが得策であるとは思えなかったからです。

 それを聞くと、ユウマは黙っていました。



 私たちは何処に行くかという話をしていました。


 追跡者がいることにより、魔王城に行くことを選びました。

 廃墟である魔王城なら、追跡者の相手をするのに適していると考えているようでした。

 まあ、私は自分の住んでいた村に戻りたかったのですが……。




 ◇ ◇ ◇




「魔王城に出発するぞ~!!!」



 ユウマの声で目が覚めました。

 大きな声でした。


 私たちは魔王城に向かっていました。

 その途中、自分たちが住んでいた村に行くのはどうか? と話をしてみました。

 すると、妻は困った顔をして、



「あの村には何もないわよ……魔王様の作ってくださった結界の中で村の住人たちは自我を留めていくことができなかったのよ……」


 と、言いました。

 すると、ユウマが言いました。


「おもしろい話じゃん。ちょっと詳しいことを教えてくれよ!!」


 しかし、妻は話をしませんでした。

 食事を終えると、妻はいなくなってしまいました。

 


 グレース平原を抜けると、輸送のため作られた村がいくつかありました。

 魔族が滅んだあと、作られた村であるようです。




 村に着くと、私たちは昼食をとりました。

 食事をしていると、ユウマが尋ねてきます。魔族がいなくなって世界は幸せになったのかと。

 小さな村に住んでいたせいで、世界のことを何も知らなかったため、まったく回答をすることができませんでした。



 近くにいる老人が声をかけてきました。

 丸っこい石の上に座りながら、ハトに向かってパンの欠片を投げつけていました。



「村を出ると魔物が出るから気を付けなさいよ。暗くなっちまったら戻ってこれなくなっちまうよ」と老人は言いました。



「ここら辺には魔物が出るのか、ありがとうな、じいちゃん。ただな、オレたちは勇者パーティーなんだ。魔物なんて気にしなくても大丈夫なのさ。ところで、じいちゃんに聞きたいことがあるんだよ。魔族が滅んであんたは幸せになったかい!?」


 と、ユウマが返事をしました。


「わからねーなー。この年になったらな、生きてるだけで幸せじゃよ……」

 

 老人の声がしました。

 

「そりゃそうだな。じゃあ、じいちゃん、もっと長生きしろよ!!!」

「ありがとよ……」



 村を出ると、魔物の咆哮が聞こえてきました。

 ただ、魔物たちは山から下りてくるようなことはないようです。

 

 村を出ると田畑の大地が続いていました。

 耕している農民を見つけると、ユウマは走っていき、「魔族がいなくなって幸せか?」と尋ねていました。


 ずっと、ユウマは嬉しそうな顔をしていました。

 



 田畑を抜けると、大きな谷に向かう岩道を下りていくことになります。窪地には湧水が溢れており、たくさんの苔で埋め尽くされていました。



 谷の近くまで来ると、大木の葉から冷たい水がぽたぽたと落ちてきていました。

 大きな木の根を飛び越え、私たちは雑草が生い茂る小道を歩いていきました。


 

 転ばないようにと、妻に手を差し伸べることにしました。

 その時、私は妻に訊ねてみました。


「ねえ、南の城でどうしてあんなことになったのかな?」


 あの日のことが忘れられなかったのです。

 妻は黙っていました。

 谷の下の方から強い風の音が聞こえてきていました。



「私は異世界人と話をしたかったのよ……こんなことになるとは思わなかった。つい、意地になってしまったのかな……」



 妻は残念そうな顔をしていました。

 それを聞くと、ユウマが大きな声を出していました。

 


「へえ、オレと話をしたかったのか!! じゃあ、ゆっくり話をしてやってもいいんだぜ!!」

「いやよ、もう、あなたとは話したくもないわ……」

「そ、そんなこと言うなよ~」

「さあさあ、魔王城に行きましょう!!」




 もう少しで魔王城に着くはずです。



 ただ、草原の前で立ち尽くしていました。

 そこには魔族と人間との戦いの跡がたくさん残っていました。


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