表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/70

眠っている異世界人②

 妻は異世界人の少年を目覚めさせる準備をしているようでした。

 その作業をしている姿を見つめていました。



「お願い。あなたの力が必要なの……」



 妻の言葉です。

 ただ、いったい何をしたらいいのだろうかと思いました。

 

 

 だって、私は偽の勇者なのです。



 その言葉が信じられません。いや、どうやったら信じられるのでしょう。偽物である私は何の力も持っていないのですから。そんなことできるはずがないのです。



 青い石の欠片を見つめていました。

 

 試しに青い石の欠片に手をかざしてみます。えいやっと声を出してみました。もちろん、青い石に変化はありません。もしかしたらと思いましたが、それ以上、何かを考えることはやめることにしました。



 妻は異世界人を目覚めさせる準備をしていました。

 

 彼女は魔族であり、王様の前では大立ち回りをして、そこにいた全ての男たちをなぎ倒していました。いまさら私の力を求めるわけがないのです。もう一度、青い石の欠片を見つめてみました。やはり、変化が起きることはなくて、その石を妻に渡すことにします。




 真っ暗な闇の中を歩いていくと、妻が異世界人を運び出していました。

 地面には魔法陣が描かれていました。



 それを見ながら、私は妻に声を掛けました。

 彼女に尋ねたいことがあったのです。


「この青い石は君がぼくに渡すように伝えたの?」



 その時、妻は異世界人の胸のあたりを指さしています。

 妻が返事をしていました。


「ええ、そうよ。ねえ、準備ができたから、その石をここに置いてくれないかな……」



 私は妻の言葉に従ってみることにしました。

 異世界人の横に座りました。



「ここに置いたらいいのかな?」

「ありがとう、そこで、大丈夫だと思う……」



 青い石を異世界人の胸に置きました。 

 青い石が輝き始めていました。



 とっさに、光を放っている青い石から手を放そうとしました。

 

 しかし、私の手は石に掴まれたように離すことができなくなっていました。まったく、私は身動きができなくなっていました。




 青い石の光が、段々と広がっていきます。

 直径約10メートルぐらいの大きさになっているようでした。


 近くにいるため、外の状況はわからないのですが、内部では大きな光が心臓のようにうねっており、周りにある生命エネルギーを吸収しているようでした。



 青い石の影響を受け、植物と木が枯れてしまいました。

 草や木は灰のように変わり、丘の下から吹いてくる風で崩れ落ち、そのまま消滅してしまいました。



 私の中にも何かエネルギーを感じることができました。

 エネルギーが異世界人にそそがれると、その光はだんだん小さくなっていきました。



 光が消えると、私は異世界人から離れることができました。尻もちをついたように後方に座り込んでしまいました。


 

 右手にある石はぼんやりと光を放っていました。



 

 異世界人を見つめていました。

 


「うーーーん……」


 誰かの声が聞こえてきます。

 ゆっくりと異世界人の目が開いていきました。



 起き上がると、異世界人はきょろきょろと周りを見渡していました。

 妻は異世界人の方へ歩いていきます。


「ねえ、よく眠れた? ユウマくんだっけ?」


 声を聞き、異世界人は彼女を見ました。

 真っ暗な闇の中で、目を細めるようにして妻の姿を見つめていました。



 すぐに、異世界人の少年が立ち上がります。



「お、おまえ、ど、ど、どうしてお前が生きているんだ!!!」


読んでくれてありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ