国王との謁見④
ギリギリ…ギリギリ…と、骨が砕けるような音が聞こえていました。
棺の穴から真っ赤な血が流れていました。
地面は真っ赤に変わっています。
戦いが終わったと赤鬼の棺が開いていきました。すると、妻の笑い声が聞こえてきます。
千切れてしまいそうな足や腕を見ると、それは人間の姿であるとは思えませんでした。
頬にある大きな穴から笑い声が漏れていました。
「待て! お前、人間じゃないのか!?」
兵士長ジャン・リュック・ブランドの声が聞こえてきました。
腰にある剣を抜こうとしていましたが、その右手はずっと震えているようでした。
「さあ〜、どうなんでしょうね~~」
妻は鬼人の方に両手を伸ばしていました。
真っ黒な刃が具現化されました。
次の瞬間、その刃が鬼人に向けて放たれていきました。
ボウリッグ・スターレンは妹を庇うように前に飛び出しました。
彼女は全ての刃を受け、姉である彼女の体には無数の黒い刃が刺さっていました。
既に絶命しているはずです。
倒れると、だらりとした手は動いていませんでした。
妹の鬼人が怒りの声を上げました。
しかし、声が出ていませんでした。背後からきた刃が彼女の胸を貫いていたのです。
「あら、一人仕留めそこなっちゃったみたい……」
妻の声が聞こえてきました。
既に、妻の傷は回復しているようでした。
胸に黒い刃が刺さり、鬼人の口から真っ赤な血を吐き出していました。
虫の息であり、すぐに死んでしまいそうでした。
鬼人の姿から人間に戻っていきます。
意識はないようで、ピクリとも動こうとはしませんでした。
すると、アティーナは倒れている彼女の前に立ち塞がっていました。
アティーナは兵士長に話しかけています。
「兵士長……、この子、医療班の所へ運んでもらえないかしら? 後は私が対応をするから……」
「わかりました……。後は頼みます!!」
そう言い、兵士長は鬼の子を抱き抱えていました。
兵士長が飛び出していきました。
兵士長リュック・ブランドが部屋から出ると、すぐにギルド長が来て妻に語りかけてきました。
ただ、ギルド長は戦う意志がないようでした。
「いったい、あなたたちは何をしているのです……たくさんの兵士たちが怪我をしてしまい、町の防衛体制が正常に動かなくなると思います。この状態がどういうことかわかりますよね? たくさんの魔物たちが襲ってきたら対応ができるかどうか……。もうこのぐらいで止めてもらえないでしょうか?……」
「そうですよね。気持ちはわかります。それに、私たちは王様との謁見のために来ただけですから、まったく争うつもりなんてなかったんですよ……。早く、王様に合わせてもらえないかしら?」
「この状態では王様に会うことは難しいでしょうね……」
ギルド長は困ったような顔をしていました。
「ホント、勇者というのも嫌になっちゃうわね~、冒険の旅に出るための軍資金だって必要だからね……」
「お金ですか…、なら、ここに100枚の金貨があります。これで終わりにしてもらえないでしょうか?」
ギルド長は金貨の入っている袋を取り出しました。
袋を妻の前に放り投げています。
「まあ、そんなことを求めていたわけじゃないけど、でも、一応、もらっておくね……ただ、あっちにいる子は納得いってないみたいよ」
そう言うと、妻はその袋を受け取りました。
アティーナの姿を見つめています。
アティーナは怒りに満ちた顔をしていました。
ドンドンと足音を鳴らしながら、こちらの方に歩いてきました。
右手には背負っていた大きな斧を持っています。
アティーナの声が聞こえてきました。
「お前は魔族なのか!?」
「ええ、そうよ」
妻は笑っていました。
「簡単に言うな……。何故、魔族が生きている……。まあ、いいさ……私がお前を倒してやる!!!」
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