幕間 わかっていても
事件がひと段落し、御言は新と共に花火を見上げた神界のベンチに腰をかけていた。
夜空を見上げる。
当然、あの時のような花火はなく、満月が静かに浮かんでいた。
「御言」
背後から声がかけられる。
振り返ると、天華が木にもたれ掛かりながらこちらを見つめていた。
「天華お姉ちゃん」
「いつまでへこんでるの?」
「へ、へこんでなんか……」
「私はあなたの姉よ? 気づかないわけないじゃない」
天華は御言に歩み寄り、隣に腰を下ろした。
「あなたのことだから、婚約者に危険な思いをさせたことを引きずっているんでしょう?」
その言葉に御言は俯く。
返事を待たずに、天華は続けた。
「でも、あの子が来なかったら私は愛する妹を一人、失っていたかもしれない。それはわかるわね?」
「……うん。ありがとう」
「姉妹だもの。姉が妹を助けるのは当たり前……でもね御言」
天華は夜空を見上げる。
上品な笑みを浮かべながらも、御言と同じ金色の瞳が細められた。
「いつまであの子に嘘をつき続けるつもり?」
「それは……」
「御言の気持ちがわからないわけじゃないわ。あの時から、あの子達のことをずっと見守っていたのは私も知ってるもの。でも、今回あの子が思い詰めたのも、あなたのせいよ」
「……わかってる」
「なら、すぐにでも――」
「わかってるよ! 口出しはしない約束でしょ!」
柄にもなく、御言が声を荒げて天華の言葉を遮る。
特に驚く様子もなく、天華は笑みを浮かべたまま口を閉じる。
短い沈黙の後、御言が再び口を開いた。
「……ごめん」
「いいのよ……でもね御言」
天華は俯く御言の頭をそっと撫でた。
「私達家族の気持ちも……たまには考えてくれると嬉しいわ」
「……うん」
短く答えた御言はきゅっと両手を握った。
そう、いつか真実が明るみに出るときは必ず訪れる。
その時、あの人はどんな顔をするのだろうか。




