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狐の恩返しは余命宣告でした【2nd Single MV公開中】  作者: Echo&Ink
包まれるの赤か、それとも赫か
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90/106

幕間 わかっていても


 事件がひと段落し、御言は新と共に花火を見上げた神界のベンチに腰をかけていた。


 夜空を見上げる。

 当然、あの時のような花火はなく、満月が静かに浮かんでいた。


「御言」


 背後から声がかけられる。

 振り返ると、天華が木にもたれ掛かりながらこちらを見つめていた。


「天華お姉ちゃん」

「いつまでへこんでるの?」

「へ、へこんでなんか……」

「私はあなたの姉よ? 気づかないわけないじゃない」


 天華は御言に歩み寄り、隣に腰を下ろした。


「あなたのことだから、婚約者に危険な思いをさせたことを引きずっているんでしょう?」


 その言葉に御言は俯く。

 返事を待たずに、天華は続けた。


「でも、あの子が来なかったら私は愛する妹を一人、失っていたかもしれない。それはわかるわね?」

「……うん。ありがとう」

「姉妹だもの。姉が妹を助けるのは当たり前……でもね御言」


 天華は夜空を見上げる。

 上品な笑みを浮かべながらも、御言と同じ金色の瞳が細められた。


「いつまであの子に嘘をつき続けるつもり?」

「それは……」

「御言の気持ちがわからないわけじゃないわ。あの時から、あの子達のことをずっと見守っていたのは私も知ってるもの。でも、今回あの子が思い詰めたのも、あなたのせいよ」

「……わかってる」

「なら、すぐにでも――」

「わかってるよ! 口出しはしない約束でしょ!」


 柄にもなく、御言が声を荒げて天華の言葉を遮る。

 特に驚く様子もなく、天華は笑みを浮かべたまま口を閉じる。

 短い沈黙の後、御言が再び口を開いた。

 

「……ごめん」

「いいのよ……でもね御言」


 天華は俯く御言の頭をそっと撫でた。


「私達家族の気持ちも……たまには考えてくれると嬉しいわ」

「……うん」


 短く答えた御言はきゅっと両手を握った。


 そう、いつか真実が明るみに出るときは必ず訪れる。

 その時、あの人はどんな顔をするのだろうか。

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