不恰好な包帯、でも金の瞳は真っ直ぐと
血塗れの右手をそのままにするわけにはいかず、叶は御言と共に保健室に立ち寄った。
室内には、養護教諭や他の生徒はいない。
そんな二人だけの空間で御言は叶の右手に包帯を巻いていた。
「はい」
消毒液の匂いが漂う中で御言は包帯の端を留め、叶の右手からそっと手を離す。
巻き終えた包帯は少し歪んでいて、ところどころ不格好に重なっていた。
「できたよ。痛くない?」
「うん。ありがとう、御言」
叶が微笑むと、御言は安心するどころか、納得できない様子で眉を寄せた。
「……それで、どうしてあの人を庇ったの?」
「か、庇ってないよ」
「隠したって無駄。叶が言わないなら、私が先生に言ってくるけど」
「そ、それは……」
御言の金の瞳は、視線を逸らしたくなるほど真っ直ぐだ。
これ以上、誤魔化すことはできない。
意を決した叶は、一度深呼吸を挟んだ。
「あの人は……青潟綾乃。私や新と中学校で同じクラスだったの」
「ふーん。それで、どうして叶にあんなことしたの?」
御言の問いに、叶は包帯の巻かれた右手に視線を落とした。
「あの人は……私が新の傍にいるのを良く思ってないの」
御言の金の瞳が鋭くなった。
「それはなぜ?」
叶はすぐに答えられなかった。
どこから話せばいいのか。
そもそも、自分でも整理できていないことを、本当に話してしまっていいのか。
ただ、目の前の御言は急かさなかった。
ただ真っ直ぐに、叶が話し始めるのを待っている。
彼女になら、話していいかもしれない。
自然にそう思えた叶は口を開いた。
「……御言」
「うん」
「少し、長くなるかもしれないけど……聞いてもらってもいい?」
恐る恐る尋ねると、御言は迷うことなく頷いた。
「聞かせて」
その短い返事に背中を押され、叶は胸の前で左手を握った。
「あのね――」




