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僕がつくる異世界の騎士団  作者: 葉月 優奈
三話:悪魔の砦と分身の騎士団
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034

やっぱりアモンの砦でも、必死に走るのは変わらない。

僕ら四人の乾いた足音が、砦の中に響く。

僕らを押しつぶそうと言わんばかりに、デモンズウォールが背後に迫っていた。


「戦ってくれよ、待っていたんだから!」野太い声が聞こえる。

「ていうか、悪魔がいたらそっちのルートを選んで戦うバカいねえよ!」

ラジノがいちいち反論する。


「でも、あいつの足早くない?」

「もっと走れってことだろ。遅れたら串刺し覚悟で」

「うわっ、やだっ!」チャマが、いつの間にか酒樽を脱ぎ捨てた。

脱ぎ捨てた酒樽は、デモンズウォールの刺に刺さるとバラバラになっていく。


「確かに痛そうですね」実は一番足だけは早いセレニエル。

「とにかく、走れっ!」僕らは無我夢中で走る。

デモンズウォールは、ひたすら僕らを追いかけていく。

だけど、必死で逃げている僕らは気づかなかった。


走っている先で、僕らは一人の人間とすれ違ったのを。

その人間を僕はじっくり見ることもなく、かけながらすれ違ったのだ。

後方のデーモンウォールがバテ気味で、次第に足が遅くなっているのを。


それを気づかずに、僕らは必死に走った。

長いストレートの砦の道。

そんな僕らの目の前をさらに恐怖が襲う。


「げっ、前に鉄格子が!」叫んだラジノ。

僕らの前の行く手を阻むように、鉄格子がゆっくりと下がってきた。


「このままでは、閉じ込められてしまう」

「大丈夫です、私に任せて」

セレニエルはそう言いながら立ち止まった。

そのまま走る僕らと距離を置く。

大きな盾を持ったまま、右足を後ろに引いて屈んだ。


「シールドアタックっ!」

大きな盾を前に突き出すように、僕らに体当たりをしてきたセレニエル。

それと同時に、彼女の強烈なタックルが盾を通じて僕らを押す。

実はよく見ると、その盾はさらに見えない光の膜が見えた。

それはまるで巨大な壁のように、僕らの背中を強く押していく。


タックルされた僕とラジノ、チャマは、思いっきり前に突き飛ばされた。

そして、下がってくる鉄格子よりも先にその下を転がり込んだ。


ガシャン、鉄格子が下に下がりきった。

「ふうっ、セーフか?」

僕は下がった鉄格子を、じっと見ていた。


「ああ、無事だ」

「セレニエルさんは?」

親指を立ててラジノが無事を伝え、チャマが心配して鉄格子を見ていた。

そこには僕ら三人とセレニエルの間が、鉄格子で隔てられていた。


「セレニエル、グッジョブ!」

「はい、天使としてやってやりましたよ」笑顔で、手を振っていた。


「セレニエル、達者でな。お前の命は無駄にはしない」

ラジノは鉄格子に囚われた天使セレニエルを、見送っていた。

チャマは心配そうに鉄格子の中にいるセレニエルを、じっと見ていた。

セレニエルは、それでも笑顔で手を振っていた。

恐怖というものは、全くないのだろうか。


「はい、私は頑張って死んでおきます。犠牲になるのも天使のお勤めです」

などと、いかにも天使っぽいことを言いながら微笑んでいた。


「そういえば、なんかさっきほかの人を見たような」

「気のせいだろ、だいたいここには人なんかいない。

いるのはどうせ、悪魔ぐらいだ」

ラジノの言葉に、僕も頷いた。


「あ、あれは?」

そんな時、僕らの目の前に一人の人間が現れた。

それはフクロウの頭をした男、僕らを見つけてゆっくりとこちらに近づいてきた。

やはり紫褐色の肌に、ガリガリの上半身。

ケンコが、北砦で闘っていたやつと同じだ。


「あわわっ、こっちにも!」

そんな時、鉄格子の後ろの方からもフクロウ頭の男がセレニエルに近づいて来るのだった。

こちらも、全く同じ姿のフクロウ頭が現れたのだ。



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