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僕がつくる異世界の騎士団  作者: 葉月 優奈
三話:悪魔の砦と分身の騎士団
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033

チャマの魔法は正確だ。

酒樽のまま動いているけど、魔術師の腕は一流だ。

スマホを見ながら、四人で歩く。

チャマはコスト7で火属性しか魔法が使えないけど、かなり掘り出し物の騎士かもしれない。


道を歩き、やがて大きな道へと出る。

まっすぐ行くと、その先には悪魔が潜伏しているチャマの情報。

経験値は欲しいが、それを無視して先に進む選択をした。どれぐらいの敵がいるかわからないからだ。

歩きながら、動く酒樽が僕のそばをついていた。


「そういえば、私たちを石板で呼び出したのですか?」

「まあ、そうだけど」

「すごく高度な魔法文明ですね」

「魔法というか、なんというか、ニクシーの力もあるし……」

「すごいですね、それで私たちを呼び出すんですね」目を輝かせて見てくるセレニエル。

「これ、僕にしか扱えないんだ」

「本当か?」

ラジノが、疑いの目を向けていた。


「本当、このスマホ……いや石板には僕にしかわからない暗号があるんだ」

「試しに解いてみる?」

僕はそう言いながら、ラジノにスマホを渡した。

ラジノは、難しそうな顔でスマホを見ているとロック画面をじっと見ていた。


「これって?」

「数字を入れるんだ、ここをタッチするとキーパッドが出てくる。

四桁の数字をいれて正解を導く。ただし、三回失敗すると起動できなくなる」

「とりあえず……三回以内に正解を出せばいいのだな」

「まあ、そうなるね」数字の入れ方も、僕はラジノに教えた。

説明を聞いたラジノは、じろっと僕を見ていた。


「つまり確率的に、一万分の三、ってことか」

「そういうこと、失敗すると開くのに面倒な処理をしないといけない。

まあ、これも僕じゃないと解除できないけど」

すると諦めたように、ラジノが僕にスマホを返してきた。


「厄介な魔法をかけてあるんだな」

「まあ、そんなところだね。

昔、好きな子にスマホを強引に見られて、それで鍵をかけるようにした」

「それって逆じゃないか?」

「あんまりにも僕の浮気を疑うからね、僕がもし浮気をしていなければ鍵をかけるって。

そして、僕は勝利した。勝利したから、スマホに鍵をかけたんだ」

僕はスマホを見ながら、じっと考えていた。


「そういえば、前に聞きませんでしたよね」

「何が?」

「勇者様の好きな人って、どんな人ですか?」セレニエルが口を挟む。

「えっ?えと……」

「赤くなっていますね」なぜかチャマに、指摘された。

「ああ、いや、その……なんでもない」

「まあ、その話はいいだろ」ここで意外にもラジノが、助け舟を出してきた。

道を歩きながら、僕らは話を続けた。


「そういえば、ラジノもチャマもセレニエルも旅人なの?」

「俺はキメス村に帰る途中だ」

「キメス村?」

「ああ、俺の生まれ故郷で、いずれ決着をつけなければいけない場所。

人生の半分を過ごし、悲劇を見た場所だ。

だけど、あの頃の俺より今の俺は強くなった。

世界も見たし、世界を知った。

だから……帰って故郷を変えようと思っていたのだが……何を言わせる」

勝手に語ってなぜか、僕を睨んできたラジノ。


「へー、意外ですね。詩人です、ラジノさん」セレニエルが興味を示した。

「うるさい、ダメ天使!」やはりセレニエルには厳しく睨むラジノ。

「チャマは?」

「私は、素材を取りに来ました。魔法の素材で……ギルドに帰る途中です……でも……」

「この砦ができて、帰れなくなったのよね」

セレニエルの言葉に、頷くチャマ。


「そっか、じゃあ、セレニエルは?」

「私は天使ですよ、神界が実家で奉公というか修行中です。

ただ先輩みたいに、『石板の騎士団』に入って大活躍ってわけじゃないですが。

そんな私にもようやく巡ってきましたよ、『石板の騎士団』に入れたんです。

嬉しいです、本当にありがとうです、勇者様!」

嬉しそうに、僕に抱きついてきたセレニエル。

純粋無垢な少女だけど、胸だけ大きいのでおっぱいが当たるのだが。

とりあえず、セレニエルを暑苦しいので引き離す。


「そういえば、先輩が入っていた『石板の騎士団』って?」

「その話、俺も少し気になる。もしかして、あれか?」ラジノも興味を持ってくれたようだ。

「はいっ、魔神ベヒモスを倒した『ペンティング』ですね。彼らも英雄です、立派な勇者です」

「そういえば、前にも言っていたが先輩って?」

「天使の先輩です、私と同じで下界で修行しているのですよ。

先輩は『ペンティング』の一人で、ベヒモス戦にも貢献したと~ってもすごい方ですよ」

「ふーん」そういいながら僕は、スマホでセレニエルのステータス画面を見ていた。


「先輩は強くて優しくて、暖かくて、凛々しくて」

「セレニエルは、先輩が好きなんだね」

「はい、大好きです」セレニエルは迷いなく答えた。


「ペンディングのメンバーだし、私なんかよりずっとすごくて完璧で。

私なんか、天使なのに空すらまともに飛べなくて」

「空が飛べると、そんなにすごいの?」

「天使はみんな飛べます。飛べないのは私だけ。

だから私は、憧れているんです。空を飛ぶの」

「飛んだことないの?」

「いいえ、あるにはあるのですが……」セレニエルは難しい顔を見せた。


「どうしたの?」

「あまり上手く飛べなかったので……バランス崩して落ちちゃったんです。

何度かチャレンジしたのですけど、ダメダメです」苦笑いをしたセレニエル。

「そうか……」そう言いながら、僕はなぜかスマホを見ていた。

それは『セレニエル』のステータスだ。

そこに書かれている進化条件を見ていた。


進化とは、『騎士(ナイト)』であるキャラクターのパワーアップだ。

能力が上昇するもの、通常技や必殺技が上昇するとかそれは騎士によって様々だ。

ちなみに騎士とは、僕が召喚するキャラクターのことをそう呼んでいる。

職業というものではないので、ラジノもチャマもセレニエルも『騎士(ナイト)』と言われるわけだ。


『ユーベル ファンタジア』のスマホゲームでも、進化はある。

進化をすれば、能力も上がるし、レベルも上がる、おまけにスキルも覚えるが、召喚コストも上がる。

進化すると騎士の名前に+がつく(セレニエル+とか)。

騎士によって、進化は二段階存在する。セレニエルも二段階あるみたいだ。


「空を飛ぶことが、進化の条件?はあ?」

「なんですか?それは」

「わからないけど、セレニエルは近いうちに空を飛べるようになると思うんだ、うん」

条件が提示されていることは、必ずそうなる未来を意味する。

僕はポジティブにそう解釈した。


「ありがとうございます。そう言ってもらえると、嬉しいです」

純粋にいつもどおり、嬉しそうな顔を見せた。


そんな僕らは、丁字路にぶつかる。

前に行く道と、右に行く道だ。


「前に行く道って、たしかつながっていたよな」

「そうですね、ここは一周回ります」

「なら右に行く道だ」

「だけど、なんか音しないか?」

かすかにズンズンと音が聞こえる、前からだ。


「確かに、小さいけど聞こえるね」

「なんでしょうか?」

「わかりませんが、多分魔物が……」

「面倒な戦いをしないで、先に急ごう」

ラジノの言葉に、僕ら三人は同意した。右の道を曲がって先を進む。

しかし、後ろの方から直ぐに音が大きくなった。

僕らは歩きから、徐々に早歩きにシフトチェンジした。


「くうっ、追ってくるな」

さらに早歩きをすると、後ろの方から一体の壁らしきものが見えた。


「なんで、戦ってくれないんだ?」

それは巨大な壁だ。僕はそのモンスターを知っていた。

壁に顔が埋め込まれていて、単純に気持ち悪い。その壁が喋るので、さらに気味悪い。


「『デモンズウォール』、壁型モンスターか」

それは動く壁だ、壁の表面にはトゲの突起物もついている。刺さると痛そうだ。

デモンズウォールは、ボクらを見つけては追いかけて迫っていた。



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